2024/7/3(水)第14週「女房百日 馬二十日?」
あらすじ
昭和25年(1950年)10月。寅子が日本人男性とフランス人女性の夫婦の離婚調停を担当することになりました。この夫婦は二人揃って息子の親権を手放したがっていました。息子の栄二は窃盗事件を繰り返していたのです。
そんな中で寅子は息子の栄二を救うことはできないかと、その方法を模索しました。家事部と少年部が力を合わせれば栄二を救うことができるのではないかとも考えました。しかし少年部は寅子の考えを一蹴しました。
そのころ寅子は相変わらず多忙を極めていました。そんな中で、寅子に構ってもらえない優未は寂しさを募らせていました。直明は優未の孤独な気持ちを察するものの、寅子は優未の気持ちには気づいていませんでした。
一方、最高裁では自分よりも年長者を死なせてしまう「尊属殺の規定」は合憲であるという判決が下されました。その裁判の15人の最高裁の裁判官の中には穂高も名を連ねていました。穂高はその判決に反対しました。
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優未ちゃん
今週の月曜日、火曜日と優未ちゃんの孤独な気持ちを暗示する場面がいくつかありました。
しかし今回は暗示では済まされない描写がありました。
優未ちゃん、かなりまずい状況です。
しかし忙しすぎるトラちゃんは、優未ちゃんのまずい状況にまったく気がつかない。
優未ちゃんがテストで84点を獲得。
優未ちゃんはお母さんに褒めてもらいたかったはずです。
従兄弟たちが言ってくれたように、よくがんばったねと褒めてもらいたかったはず。
ところがトラちゃんは出来たことを褒めるのではなく、出来なかったことだけを指摘しました。
出来なかったことをしっかり勉強すれば次は100点だと。
トラちゃんは頭脳明晰な学生でした。
はるさんもまた、女学校には行けなかったけれど頭脳明晰でした。
頭脳明晰な母親に育てられ自分自身も頭脳明晰なトラちゃんからすれば、100点を取るのは当たり前のことくらいに考えているのかもしれません。
でも、もしかすると優未ちゃんは、100点が決して当たり前ではなかった優三くんに近いのかも。
優未という名前の「優」が優三くんの血を引いていることを暗示しているような気がします。
娘の寂しさを気づく余裕がない今のトラちゃんに、娘と自分の能力の差に気づけるわけがない。
トラちゃんと優未ちゃんの間に生じた溝が少しづつ顕在化してきました。
でもトラちゃんはまだそのことに気がついていない。
気がついているのは優未ちゃんと直明くんだけ。
以下、ちょっとだけネタバレが含まれます。
次週、優未ちゃんとの間に生じた心の溝を、ついにトラちゃんも気づくことになるようです。
気づく、ではなくより正確に言うと知らされるのですが。
トラちゃんに溝の存在を知らせるのは直明くん。
直明くんだけが優未ちゃんの孤独を察したのは次週のフラグかと思います。
こんなときにはるさんがいてくれたら・・・
はるさんがいたら、ここまで溝が拡大することもなかったかもしれませんが。
穂高先生
最高裁判所の場面は、朝ドラらしからぬ硬いイメージ。
でも、そんな硬いイメージの中で苦悩が見え隠れする穂高先生の描写の繊細さは、やっぱり朝ドラです。
今週は、そんな穂高先生の週でもあるのでしょうか。
予告映像では、穂高先生が「若い世代に託す」みたいな発言をしていました。
前回も、星長官と話し合う穂高先生が、星長官の「出涸らし」という言葉に共感。
星長官が亡くなった直後の桂場さんとの場面では、若いときのようにお酒を飲めなくなったみたいな発言も。
穂高先生の時代の終わりを告げるようなセリフや場面が続く一方で、今回の最高裁の判決の場面では、穂高先生は今もなお時代を先取りする人であることが示されました。
「尊属殺の規定」は合憲であるという判決に穂高先生は反対しました。
引退を示唆するような発言がある一方で、時代遅れのおじいちゃん裁判官よりも時代の先を行く穂高先生。
時代遅れのおじいちゃん裁判官こそ、穂高先生よりも先に引退してもらいたいところ。
穂高先生、理想の法律をつくるのは自分の代では無理。
だから、自分の志を若い世代を託したい、そう考えての発言が、予告編で登場したセリフだったのか。
時代を先取りした考え方の持ち主でありながら、一方で引退が見え隠れする穂高先生。
明日または明後日、穂高先生は何か大きな決断を下すのでしょうか。
予習レビューと史実のリアルエピソード
最高裁長官・星朋彦の実在モデル:三淵忠彦
今週は、リアルトラちゃんの未来の再婚相手と思われる重要キャラ・星航一が登場。
星航一の登場を機に、すでに登場はしていた最高裁長官・星朋彦との交流も始まる模様。
そこで、星朋彦の実在モデルである三淵忠彦氏についてまとめました。
昭和22年5月、日本国憲法の施行と同時に最高裁判所が発足。
その三ヶ月の昭和22年(1947年)8月、初代最高裁長官に就任したのが三淵忠彦氏です。
三淵忠彦氏は明治13年(1880年)3月3日、岡山県生まれ。
東京帝国大学を家庭の事情から中退後、京都帝国大学に入学し直し卒業。
卒業後は東京地方裁判所の判事をつとめました。
しかし45歳のときに判事を退官し、三井信託の法律顧問に就任し同職に60歳まで就いていました。
60歳で三井信託の法律顧問を辞任。
その後はリタイア生活を送っていたものの、昭和22年(1947年)8月、67歳のときに初代最高裁長官に就任しました。
初代最高裁長官に就任した三淵忠彦氏は裁判官の処遇改善に尽力。
一方、当時の三淵忠彦氏は病気がちでした。
三淵忠彦氏は最高裁長官職を定年までつとめあげ、昭和25年(1950年)3月、70歳のときに退官。
三淵忠彦氏の最高裁長官の任期は昭和22年(1947年)8月4日から昭和25年(1950年)3月2日まで。
そして最高裁長官を退官した三ヶ月後の昭和25年(1950年)7月14日、死去しました。
リアルトラちゃんと三淵忠彦氏の長男・三淵乾太郎氏が再婚したのは、三淵忠彦氏の死後6年後のことでした。
追記:三淵忠彦氏が別荘として建て晩年を過ごした家が『三淵邸・甘柑荘』として神奈川県小田原市に保存されています。
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寅子のセリフ通り尊属殺重罰規定は、昭和48年に最高裁で違憲判決が出されることになります。娘が父親を◯害し尊属◯人罪に問われました。父親を◯害した娘は長年、父親から◯的虐待を受け父親との子供を5人出産するというなんともおぞましい話です。
寅子「『おかしい・・・・・。』と声をあげた人の声は決して消えない・・・・・。」
現代のネット社会において「おかしい。」と「声」をあげた人の「声」は一つ間違えたら数十人以上の「大炎上」を呼ぶことがありますよね。
山本長官には矢島健一さん。北野武監督の「首」では本多正信役。「どうする家康」では松山ケンイチさんが演じていました。大丈夫かなあ優未ちゃん。困難な案件に体調不良。前途多難。航一さんの助言。尊属殺人不条理極まりない。だけど希望も。