NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ばけばけ』
2026年2月9日 〜 2月13日放送

あらすじ

松野家を襲った騒動

松野家の借金完済が「ヘブン先生日録」の記事になった直後に松野家を襲った騒動も、ようやく一段落。

トキとヘブンは、騒動以前と同じように平穏な日々を取り戻すことができました。

松江を離れたがるヘブン

松野家に再び平和がやってきたある日、ヘブンが言い出したことがトキを驚かせました。

ヘブンは「マツエ、フユ、ジゴク。ハナレマショ。」と言い出し、松江を離れることを希望し始めたのです。

家族にも問いかける

トキはヘブンの希望に同意することも受け入れることもできませんでした。

一方のヘブンは、司之介とフミ、勘右衛門やタエたち家族にも一緒に松江を離れようと問いかけました。

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今週の展開

91: 2/9(月)
92: 2/10(火)
93: 2/11(水)
94: 2/12(木)
95: 2/13(金)

結婚後の松江編の振り返り/h2>
今週第19週で松江編は終わり。

次週第20週から物語の舞台は熊本に移り、ストーリーのクライマックスが近づいてきました。

そこで今週の本欄では、トキちゃんの実在モデルである小泉セツさんが晩年に出版した著書を参考に、小泉セツさんから見たラフカディオ・ハーンについてまとめてみます。

ドラマの中のトキちゃんとヘブンさんの二人を振り返りやすくするため、名前は「トキ」「ヘブン」にしてあります。

一方、実在の人物と著書名はそのまま表記しています。

トキちゃんが語ったヘブンさん

トキちゃんは晩年、ヘブンさんと過ごした日々の思い出をまとめた『思い出の記』を著しています。

『思い出の記』には、ヘブンさんの性格や日々の姿がトキちゃんのあたたかい語りによって生き生きと描かれています。

そこに記されたヘブンさんは、有名作家としての姿ではなく、妻に愛され家族とともに暮らした一人の人間としての姿です。

たとえば、松江時代の何気ない日常を語る場面があります。

トキちゃんはこう述べています。

「山で鳴く山鳩やがよいお友達でした」

ヘブンさんは山鳩の声が聞こえると大喜びし、トキちゃんを呼んで「この声、面白いですわ」と言って、テテポッポと真似をしたといいます。

この鳴き声の真似はドラマの中でも再現されていました。

晩年に近づいたころの語りでは、ヘブンさんが何を嫌ったかが語られています。

「嫌いなものは、うそつき、弱いものいじめ、フロックコートやワイシャツ、ニューヨーク、そのほかいろいろあります」

れは、ヘブンさんがどんな価値観を大切にしていたのかを示す貴重な言葉です。

これらのエピソードは、夫婦として過ごした時間が積み重なければ語れないものであり、トキちゃんの語りの行間には深い愛情がにじんでいます。

ヘブンさんの思い出を描くその文章からは、作家としての名声よりも人としてのヘブンさんの素顔を残そうとするトキちゃんの思いが感じられます。

『思い出の記』は、ヘブンさんの思想や作品を語る資料であると同時に、夫婦の日々の記憶が息づく「生活の記録」ともいえます。

山鳩の声に喜ぶ姿、自然を友達のように愛する心、昔話を慈しむ感性。

それらは、ヘブンさんが生涯にわたり求めていた「静かな幸福」の一部だったのでしょう。

そして、それらの記憶はすべてトキちゃんが自らの言葉で語り、編集者の三成重敬の手で整えられ後世に伝えられました。

『思い出の記』が今日に受け継がれているのは、ヘブンさんの内面を知る最も貴重な記録としてだけではなく、夫婦の情愛が結晶した作品であるからこそなのでしょう。

三成重敬

三成重敬という人物は実在の人物です。

ドラマの中で登場するかどうかは今のところ不明です。

『思い出の記』は、トキちゃんが語った思い出をまとめた追想記です。

しかしこの本はトキちゃんが一人で書き上げたものではありません。

イライザさんがヘブンさんの伝記に掲載するためトキちゃんに執筆を依頼したところ、最初はトキちゃんは執筆することにためらいを見せていました。

そのトキちゃんの背中を押したのが、三成重敬という人物でした。

三成重敬は六法全書の編集に関わった経験もある編集者でした。

三成重敬は、トキちゃんがためらいを抱えながら語る内容を真摯に受け止めました。

三成重敬はトキちゃんの言葉を丁寧に書き留め、草稿をもとに必要な手を入れながら決してトキちゃんらしさを損なわないよう心を配りました。

トキちゃんの語り方の特徴や感情のリズムをできる限り残しつつ、読み手に伝わる美しい文章へと仕上げていく。

その姿勢は「影で支える編集者」と呼ぶにふさわしいものでした。

三成重敬が編集に関わった背景には、トキちゃん自身の「語りの技術」がありました。

日々、ヘブンさんに怪談や昔話を語り続けてきたトキちゃんは、人に物語を語る力を自然に身につけていたのです。

それを三成重敬は感じ取り、トキちゃんの語りの魅力を損なわないよう、手を入れるべき部分と残すべき部分を見極めながら編集していきました。

こうして形になった『思い出の記』の一部は英訳され、明治39年(1906年)年にアメリカで出版されたイライザさんの著書『ラフカディオ・ハーンの生涯と書簡』に収録されました。

その後、日本では大正3年(1914年)にヘブンさんの愛弟子・田部隆次の著書『小泉八雲』に初めて収められます。

この記録を読んだ坪内逍遥は家族とともに涙したというほど深い感動を呼び起こすものでした。

『思い出の記』は、トキちゃんの語りの力だけでなく、三成重敬の静かな支援があったからこそ、確かな形として残りました。

語り手と編集者が寄り添い合い、一人の作家とその家族への愛情を丁寧にすくい上げた稀有な記録と言えるでしょう。

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