ブギウギ

スズ子と茨田の合同公演 / ブギウギ 第49回

2023/12/7(木)第10週「大空の弟」

あらすじ

羽鳥が企画したスズ子と茨田りつ子の合同コンサートの日を迎えました。ブルースの女王とスウィングの女王の共演は評判となり、その日のコンサートは満席。満席になった会場の中には、六郎のカメを連れてきた梅吉の姿もありました。

茨田りつ子はその日のトリをスズ子に譲ると、心のこもったスピーチの後に『雨のブルース』を歌い始めました。茨田りつ子が自分の歌を歌い終えると、いよいよスズ子が舞台に立つ番を迎えました。

舞台に姿をあらわしたスズ子は、羽鳥が弟を亡くしたスズ子のために書き下ろした『大空の弟』を歌い始めました。指揮をする羽鳥や観客席の梅吉に見守られながら『大空の弟』を歌いきったスズ子はその場に泣き崩れました。

スズ子は観客席の中に六郎の幻を見ました。我に返ったスズ子は立ち上がると『ラッパの娘』を歌い始め、スズ子の歌声は会場を大いにわかせました。その日、スズ子と茨田りつ子の合同コンサートは大盛況のうちに終わるのでした。

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感想

スズ子ちゃんが復活する瞬間

六郎くんの死のショックで歌えなくなっていたスズ子ちゃんが、羽鳥先生によって救われました。

スズ子ちゃんの六郎くんへの想いを聞かされた羽鳥先生は、その想いを『大空の弟』という歌にしました。

スズ子ちゃんの悲しみを歌によって浄化しようとしたのでしょう。

六郎くんのことを思い出し歌が歌えなくなっていたスズ子ちゃんでしたが、六郎くんのことを思い出しながら歌う歌は、歌いきることができました。

それはスズ子ちゃんは六郎くんへの想いと向き合うことになったのかな。

歌を歌いきるとスズ子ちゃんはその場に崩れ落ちてしまうものの「しっかりしなさい」と言う羽鳥先生が厳しくも優しかった。

羽鳥先生の厳しい言葉で我に返ったスズ子ちゃんは六郎くんの幻を見ました。

この瞬間がスズ子ちゃんが救われた瞬間。

その後に歌った『ラッパと娘』は、三尺四方の枠の中からはみ出ない歌い方ではありましたが『ラッパと娘』初披露の圧巻のパフォーマンスと遜色がないほどの出来栄え。

こちらはスズ子ちゃんが復活する瞬間でした。

しかし・・・

復活したとは言っても、公演の開催が困難なことには変わらない。

本作の第1回で描かれた『東京ブギウギ』のステージを見ることができるのは、いつのことになるのでしょうか。

梅吉さんも復活か

前回、梅吉さんは珍しくずっとシラフでした。

自ら酒を絶ったのではなくおでん屋の酒の在庫がなくなったのがシラフの理由ですが。

シラフになる時間が増えて、自分に向き合う機会が以前より増えた梅吉さんは、おそらくシラフの状態で故郷に帰る決断を下したいたのでしょう。

しかし前回、スズ子ちゃんは梅吉さんの気持ちを理解できなかった。

理解しようとすらしませんでした。

スズ子ちゃんに心の余裕がなかったので、それは仕方のないこととは思いました。

スズ子ちゃんは今回ようやく心の再生を果たしました。

まだ完全な再生ではないでしょうか。

でも、スズ子ちゃんは心の余裕を取り戻したはずです。

次回あたり梅吉さんの気持ちをしっかりと受け止められるのかな?

一方、今回の梅吉さんの表情は悲しみにあふれながらもどこか晴れやかでした。

やっと梅吉さんが本来の姿を取り戻したような気がします。

ツヤさんを亡くし六郎くんも亡くし、気の毒この上ない梅吉さんですが、スズ子ちゃんが歌う『大空の弟』を聴いて、梅吉さんもまた救われました。

そして、故郷に帰るという決断はより強固なものとなり、故郷に帰ってから立ち直ろうとする決意も固まったかと。

梅吉さん、故郷で間違いなく立ち直るでしょう。

そして、そんな梅吉さんの気持ちを今のスズ子ちゃんなら受け入れられるはず。

ここしばらく長いトンネルの中を通っているような描写が続きましたが、ようやくトンネルの出口が向こうの方に見えてきたような気がします。

一方で戦争は始まったばかり。

困難な日々もしばらくは続くのでしょう。

茨田りつ子

話が前後しますが、舞台の上で泣き崩れてしまったスズ子ちゃんに対して、茨田りつ子は困難な時代であることを訴えるものの、涙ひとつ流そうとはしない。

茨田りつ子の実在モデルである淡谷のり子さんは観客の前では絶対に涙を見せないことを自分自身と約束していたのだとか。

そんなプロの矜持がみごとに演じられていました。

しかし、そんな茨田りつ子が涙を流さずにはいられない場面が年明け早々に準備されているようです。

その回はきっと号泣回になるだろうなと思いながら、茨田りつ子が歌う姿を堪能した『ブギウギ』第49回でした。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

今週、羽鳥先生が、戦死した六郎くんを想うスズ子ちゃんのために『大空の弟』という曲を作曲します。

この『大空の弟』という曲、曲名だけは記録に残っていたものの楽譜そのものが発見されたのは2019年のことでした。

楽譜が発見されたのは羽鳥先生の実在モデル・服部良一氏が残した資料の中。

倉庫に保管されていた資料の束の中から、服部良一氏が書き溜めていた手書きの楽譜が見つかったということです。

楽譜は読み取るのが困難なメモ書き程度のものだったとの由。

ドラマの中では八郎くんの戦死を知らされ悲しむスズ子ちゃんのために羽鳥先生が作曲するという展開のようです。

一方、史実の『大空の弟』は、笠置シヅ子さんと戦地に行った弟の八郎さんの手紙のやりとりをもとに作曲されました。

なお、『大空の弟』は楽譜発見後、2019年11月に音楽劇『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』で初披露されています。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』はその名が示すとおり笠置シヅ子さんの生涯を描いた作品。

本作で笠置シヅ子さんを演じたのは演歌歌手の神野美伽さんです。

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POSTED COMMENT

  1. ばなななち より:

    弟の歌からの女王復活!神回でした!

  2. 還暦のたつお より:

     合同コンサート。大家さん小村夫妻、梅吉さんも亀を連れて客席に。茨田さんの口上、心に響く「大空の弟」今までより曲調も違うし、何より表面的には好戦的な歌詞。でも根底には家族への想いと戦争への嫌悪が透けて見える。感極まって泣き出すスズ子さん「しっかりしなさい。」羽鳥先生の叱責で我に返る。続けていつもの曲。巧くはみ出さないように歌ってる。何とか立ち直ったみたい。

  3. 名乗る程の者ではないでおま より:

    「あまちゃん」の紅白歌合戦と「エール」の最終回と同じくほとんど歌だけの回なんだけどめちゃめちゃ良かったわ、3曲だけなんだけどコンサート終了後みたいな満足感あるわさ、ホンマ言葉にならんわ☺️

  4. 丹善人 より:

    2曲フルバージョン、圧巻の歌声で聴かせてくれました。
    きちっと本物を練習した成果は心に届きます。
    某いい加減な物語と比較すべきもなく(しつこいが)

    六郎君があの世から迎えに来ました。(違うって)

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