2024/8/29(木)第22週「女房に惚れてお家繁盛?」
あらすじ
寅子は女性法曹の職場環境の改善を求めて意見書をつくり、その意見書に女性法曹たちの署名を集めました。一方、寅子から渡された意見書を一蹴した桂場も、女性法曹の職場環境の改善に無関心ではありませんでした。
一方、星家では優未の提案によって、昔、猪爪家にあった番号付きの棚を設置することになりました。航一から協力を求められた朋一も棚づくりの手伝いを引き受けるその一方で、のどかは疎外感を募らせていました。
昭和31年(1956年)秋、朋一が寅子と航一に心を開き始めたある日。深夜にのどかが警察に補導されました。その日の翌朝、朋一とのどかが口論を始めたのをきっかけに、のどかが家を出て行くと言い始めました。
そんなのどかに優未は麻雀の勝負を挑みました。麻雀で自分が勝ったら、のどかが自分たちを好きになれない理由を教えてほしいと。のどかは麻雀の勝負を受けて立つものの、麻雀の最中に優未が腹痛を訴え始めるのでした。
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感想
星家の描写が見応えのある回でした。
ブログ主の中では静かな神回かも。
心を開き始める朋一くん
朋一くんがついに航一さんとトラちゃんに心を開き始めました。
涙が出るほど嬉しいです!
番号付きの棚を作ろうと優未ちゃんが提案し、その話し合いをする場面の朋一くんの心理描写が実に繊細でした。
棚づくりを手伝って欲しいと航一さんが恐る恐る朋一くんに頼む。
その時、一瞬だけ見せた朋一くんの嬉しそうな目。
次の瞬間、朋一くんは「ちょっとぐらいなら息抜きになるし」と照れ隠しに走りましたが、朋一くんは嬉しい気持ちを隠すが必死なのが見え見え。
それに続いて百合さんが朋一くんは手先が器用と言ったのを受けて、トラちゃんの「カッコいい」発言。
これが亡きお母さんの言葉に重なりクリーンヒット。
朋一くんはここらあたりから心を開き始めました。
「お母さんもかっこいいなと褒めてくれた」
「寅子さんを紹介されてからお母さんのことを思い出す」
「最近はつらくないことを思い出す」
朋一くんは、こういった言葉をこれまで一度も口にしたことがないに違いない。
だから航一さんが反応しました。
「お父さんも聞きたいな」
この航一さんの言葉の直後の、朋一くんの驚きと喜びの混ざった表情と言ったら…
朋一くんは本格的に心を開き始めたのでしょう。
お母さんの思い出を語り始めました。
「例えば一緒にピアノを弾いたこと」
この朋一くんの思い出に応えて航一さん曰く
「照子がピアノが好きだから、ピアノを譲り受けた」
この航一さんの言葉に対する朋一くんの反応が忘れられません。
いつも冷静な朋一くんが、身を乗り出し目を丸くして航一さんに尋ねました。
「そうなの?」
まだ幼かった朋一くんが、自宅にピアノがある理由など分かるはずもありません。
しかし、それは大好きだったお母さんのためにお父さんが手に入れたものだと分かった瞬間、朋一くんの中のお父さんへの不信は消えたと思います。
本当に素晴らしい描写でした。
思い出すだけで泣けてきます。
しかし、朋一くんが心を開けば開くほど、それまで朋一くんが唯一の同志だったのどかちゃんは疎外感を感じ始めたようです。
のどかちゃんの疎外感
上の場面からしばらく経った頃なのでしょうか。
のどかちゃんが警察に補導された翌朝。
のどかちゃんがついに感情を爆発させました。
「家族のようなものはやっぱり無理」
「この人たちがどうしても好きになれない」
のどかちゃんは、お父さんをとられただけでなく、お兄ちゃんまでとられた気持ちになっていたに違いない。
そんな行き詰まりの状況を優未ちゃんが引っ掻きまわす。
しかも優三から遺伝したあの弱点が、緊張のあまり出てきてしまったらしい。
そんな優未ちゃんのことを、のどかちゃんが珍しく心配する。
優未ちゃんの腹痛がきっかけとなって、のどかちゃんの気持ちも明日には良い方向に向かうのかな。
予習レビュー
今週、ドラマの中でトラちゃんは星家の家族の中で受難を経験するはずです。
星家の人々がトラちゃんに対してどのような受難を与えるのかは不明。
そこで、これまでを振り返りながら星家の人々の心の闇を推察してみました。
星家の二人の子供たちの航一さんへの気持ち
星家の家族の人々、特に二人の子供たちの心の闇を推察する上で忘れてはいけないのが航一さんの二つの言葉です。
正確なセリフは忘れましたが、
「心の溝を埋めようとしない」
「妻が亡くなり残りの人生は余生」
という二つの言葉です。
航一さん、奥さまを亡くしてかなり意気消沈したらしい。
最愛の妻を亡くして自分の人生はこれで終わったぐらいに考えたのかもしれません。
奥さまを亡くしたこと自体は気の毒です。
しかし、人生が終わったみたいに考えたのはまずかったのではないか。
というのも、これから人生が始まろうとしている二人の子供が航一さんにはいるからです。
これから人生を始めようとしている二人の子供にとっては親の支えが必要なときです。
母親が亡くなったのだから、父親だけが頼りです。
しかし、その父親が頼りにならない。
自分の人生は終わったぐらいに考えているのだから。
父親に頼りたくても、絶望し生きる気力すら失っている父親は頼れない。
心の溝が生じても当然な状況です。
さらに、その心の溝を父親は放置した。
二人の子供たちからすれば自分たちは父親から見捨てられたと考えても不思議はない。
自分たちは父親に見捨てられたのだから、絶望している父親のことも自分たちは見捨ててやろう。
二人の子供たちはそんな気持ちになっていることも考えられます。
星家の二人の子供たちのトラちゃんへの気持ち
トラちゃんと優未ちゃんが星家にはじめてやって来たときのことです。
トラちゃんと優未ちゃんが、航一さんと一緒に三条のお祭りに行ったときのことを楽しそうに語り始めると、二人の子供のどちらだったかが反応しました。
「お祭り?」と。
二人の子供は考えたはずです。
お母さんが亡くなってから、自分たちは父親から見捨てられたも同然だった。
お祭りに行きたくても連れて行ってもらえなかった。
それが、赤の他人と一緒にお祭りに行ったらしい。
しかもお祭りを心から楽しんだらしい。
二人の子供たち、どれほどショックだったか。
実の子供である自分たちよりも父親が優先した存在。
そんな存在が自分たちの生活圏に入ってくるわけです。
気持ち良いはずがない。
しかし、父親への期待すらも失っているらしい二人の子供たちは、父親への反発心すら失っているらしい。
実際、航一さんがトラちゃんにプロポーズをしたとき、二人の子供たちは冷ややかな反応を示しました。
二人の子供たち、トラちゃんに対してもきっと冷ややかな態度をとるのではないでしょうか。
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のどかさんの屈折した気持ちは哀しいですね。複雑ですが,いくつかの理由が考えられます。のどかさんは優羊さんと6歳くらい違うのでしょう。でもまだ本当に大人にはなっていません。女の子同士ということも,反発の一つの理由です。そして,母親が亡くなった時,多分まだ4−5歳ではなかったでしょうか。ですから朋一さんほど,お母の記憶がないのです。皆がお母さんの話をしても自分は入っていけない、疎外感があります。お父さんに親しくしてもらった記憶もない,,それなのに優羊ちゃんは無邪気に自分のお父さんと親しくしている,,色々なことがごちゃごちゃになり、とにかく「嫌い」という言葉が出たのだと思います。 この「嫌い」には様々な意味が込められています。 ここは腹を立てずに、航一さんが寄り添ってあげることですね。 優羊ちゃんはギリギリの我慢をしていますが、どうして嫌いなのかという理由を訊くのはなかなか度胸が要ると思います。猪爪家にはもう自分の場所はない,ということを子供なりに理解しているのかもしれません。この家で生きていく覚悟ですね。
皆少しづつ成長することを願っています。
根回ししたのはライアンさんじゃなくて桂場さんだったのか。甘味の奢りも桂場さん。ライアンさんおいしいとこだけ持って行き。星家の棚、これをきっかけに良い方へいけば良いけど。のどかさんの反発。優未さん提案の麻雀大会、突然の体調不良。優未さんのしっかりした所と子供っぽい所両方出てたね。寅子さん呑気にたい焼き買ってる場合じゃないよ。