2024/5/6(火)第6週「くるしむのか愛するのか」
あらすじ
のぶが体育大会への参加を志願するものの黒井は一蹴。のぶは黒井が求める「忠君愛国」を理由にすることに抵抗を感じていたのです。昭和12年(1937年)7月。支那事変が勃発。黒井は生徒たちに「忠君愛国」を訴えました。
同じころ嵩は、意味のまったくわからない不思議な歌詞の『図案科の歌』の解釈を座間から絶賛されていました。そして嵩は『図案科の歌』を座間や同級生たちとカフェで熱唱。軍人から苦情を言われても座間は熱唱をやめようとしませんでした。
そんなある日、豪のもとに召集令状が届きました。「人並みにご奉公出来る」と語る豪に、朝田家の面々は口では「おめでとう」と祝福するものの、豪が戦地へと旅立つことへの不安を隠しきれませんでした。
豪の出征を知ったのぶは朝田家に戻ると蘭子に告げました。蘭子の好きな人は豪ではないのか。蘭子の気持ちを豪が知れば、豪はきっと帰ってくる。蘭子を悲しませないためにも、豪は戦地で生き抜くだろうと。
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感想
ついに戦争の時代に突入しました。
のぶちゃんと黒井先生
体育大会への参加の希望を黒井先生から一蹴されてしまったのぶちゃん。
うさ子ちゃんに言われなくても、のぶちゃんには一蹴されることが分かっていたようです。
ただ走りたい、それだけの理由では。
女子師範学校の名誉のため、お国のため。
これさえ言えば黒井先生から参加を認められることは分かっていても言えないのぶちゃん。
一方でうさ子ちゃんは入学当初と比べて別人のようになってしまいました。
以下、少しだけネタバレが含まれます。
あの時代の価値観では、うさ子ちゃんはのぶちゃんよりもずっと先を走り続けている状態です。
のぶちゃん、かなり遅れをとっています。
しかし、のぶちゃんは足は速い。
これから遅れを取り戻すことになるのでしょう。
このような分野においても。
支那事変が勃発し、黒井先生はますますヒートアップすることになるかと。
そんな黒井先生のもとで学んでいるのぶちゃん、さらに豪くんの出征がトリガーとなって、これから全速力で走り始めるのかも。
そして、遅れを取り戻すことで嵩くんとのすれ違いが生じてしまう。
そんな展開が見えてきました。
嵩くんと座間先生
前回も、黒井先生と座間先生の対比が描かれましたが、今回の二人の教師の対比の描写は前回よりもその差が明らかになりました。
「忠君愛国」を繰り返す黒井先生。
それに対して今回の座間先生は、モデルさんをデートに誘うお気楽ぶり。
残念ながらフラれてしまいましたが。
さて、のぶちゃんが黒井先生のもと時代の風に乗ってしまいそうなのに対して、嵩くんの師・座間先生は時代に逆らっています。
座間先生、見かけによらず骨のある人物らしい。
軍人さんから苦情を言われても、その苦情を完全に無視。
軍人さんから高圧的な態度に出られても、ひるむことなく苦情のもとになった歌を歌い続ける座間先生。
デートは惨敗でしたが、その後にカッコいいところを見せてくれました。
こんな先生のもとで学んでいる嵩くん、のぶちゃんとは正反対の方向に行きそうです。
豪くんに赤紙
次回かなと予想していました。
豪くんに赤紙が届くタイミングは。
なんと今回、赤紙が届いてしまいました。
朝田家に人々の前では「わしも人並みにご奉公できます」などと言って気丈に振る舞っていましたが、赤紙を受け取った直後の豪くんはかなり沈痛な表情を浮かべていました。
朝田家の人々も口では「おめでとうございます」と言いながら、顔はまったく別の感情を物語っています。
もちろん蘭子ちゃんも。
つら過ぎる場面でした。
さて、豪くんの出征を知ったらしいのぶちゃんが朝田家に戻ってきました。
そして蘭子ちゃんの背中を押すのぶちゃん。
蘭子ちゃんが好きなのは豪くんではないのか。
蘭子ちゃんのその気持ちを豪くんが知れば、優しい豪くんなら蘭子ちゃんを悲しませないためにきっと帰ってくる。
優しい言葉に朝から泣かされました。
予習レビューと史実のリアルエピソード
嵩くんが東京高等芸術学校に入学
今週は昭和12年(1937年)春からスタート。
嵩くんが東京高等芸術学校に入学します。
受験会場で嵩くんに声をかけてきた辛島健太郎も補欠で合格。
健太郎くんが嵩くんの友達になることはこの登場のさせ方で確定ですね。
嵩くんの専攻は図案科、今でいうデザインです。
図案科の担任の先生の名は座間晴斗。
嵩くんのライフワークの分野での最初の師となる重要な人です。
授業が始まって早々、座間先生が嵩くんに問いかける場面があります。
君は何になりたいのかと。
この問いかけに対して嵩くんは答えられません。
今の段階では嵩くんの将来は漠然としたままなので。
そして答えられない嵩くんに対して座間先生は言います。
それでいい。
嵩くんたち新入生のの将来は真っ白だ。
デザインの学校に入ったからってデザイナーになる必要なんかないと。
この座間先生の考え方は、のぶちゃんが入学した女子師範学校の担任教師の考え方と正反対。
そして、それぞれの担任の先生の考え方の違いが、今後のぶちゃんと嵩くんの間にすれ違いを生じさせることになります。
下宿生活
嵩くんの下宿生活が始まります。
嵩くんが暮らすのは大森。
なお史実では、リアル嵩くんが入学した東京高等工芸学校は現在の田町にありました。
田町は銀座に近く、大森からも今ならドア to ドアで余裕で30分で行ける距離です。
さて、ドラマの中で嵩くんは一人で暮らすつもりでした。
しかし、健太郎くんが親戚の家から通うのは遠いという理由で転がり込んできます。
というわけで、嵩くんと健太郎くんの大森の下宿での共同生活が始まります。
そして下宿生活が始まって早々に嵩くんはのぶちゃんに手紙を書きます。
女子寮に送ることになるため「柳井嵩子」という女性名で。
この手紙の中で嵩くんは「東京には自由がある」と書くのですが、嵩くんが使った「自由」という言葉ものぶちゃんと嵩くんのすれ違いの一員になるかもしれません。
嵩くん銀座へ
担任の座間先生が生徒たちに銀座に行くことを推奨。
時代を体感せよと言うことなのでしょう。
そんなわけで嵩くんが銀座に行く場面が今週だけで二度はあるはずです。
一度目は映画を観に銀座へ。
観る映画は『フランケンシュタイン』です。
ジェームズ・ホエール監督作品、ボリス・カーロフ主演の大ヒット作と思われます。
二度目は嵩くんの思い出のあんパンがある美村屋へ。
嵩くん、どうやら東京に来てから方々のあんパンを食べるらしい。
そして、美村屋のあんパンと朝田パンのあんパンが同じ味であることに気が付きます。
そんな中、嵩くんは美村屋の店内の壁に飾られた一枚の写真の中にヤムおじさんらしき人物が写っているのを発見。
ヤムおじさんの過去のフラグが立ちます。
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昨日のネタ、で恐縮。座間先生「おはーっ」は局違いますよ。「フランケンシュタイン」ホラー史に残る不朽の名作。監督は不遇の天才ジェームス・ホエール。主演はご存知ボリス・カーロフ。
座間先生、なかなか気骨のある人物でした。
軍人さんにもひるむことなく、自分を貫く姿勢が印象的でした。
自分を貫くにしても、この点でも黒井先生とは対照的ですね。
口ごもることを許さない黒井先生と、生徒たちの将来は生徒たちに任せようとする座間先生。
お国が一番大切な黒井先生と、自分を貫くことを教える座間先生。
対照的な先生に導かれる嵩くんとのぶちゃんの距離が離れていくことが、心配です。
豪ちゃんも蘭子ちゃんが好きらしい、とドラマの外の視聴者はわかっていますが、ドラマ内の蘭子ちゃんやのぶちゃんはわからない
でも、恋愛感情でなくても、ずっと一緒に住んできた家族を悲しませるようなことを豪ちゃんはしないはずだ、というのぶちゃんの考え方が素敵です
ところで、「ひよっこ」「なつぞら」ではコック、「ブギウギ」ではミュージシャンだった陰山泰さん、今回はカフェのマスターとは、両者の中間のような仕事で適役では?
それにしても、ずっと昭和の東京に住んでいるのですね笑
雪子「忠君愛国の精神を肝に命じなさい・・・・」
晴斗「つまり・・・・自由ってことだ・・・・。」」
中園さん脚本というと個人的に連想するのは30年ぐらい前のドラマ「エイジ35」
何がスゴイかと言えば主役だった中井貴一さんが当時からキャラクターだったミキプルーンCMが今でも継続されていることと相変わらず田中美佐子さんが元気過ぎるということ