2024/5/22(木)第8週「めぐりあい、わかれゆく」
あらすじ
蘭子がのぶを問い詰めました。お国のために戦って死んだなんて嘘っぱちだと。蘭子に問い詰められて以来、のぶの中で変化が生じていました。小学校の授業で教育勅語を暗証する子どもたちの姿を見て、のぶはつらさを感じるようになっていたのです。
一方、嵩のもとに千尋からの手紙が届きました。その手紙には、豪が戦死したこと、そしてのぶに縁談が舞い込んでいることが記されていました。千尋は手紙の中で、のぶに気持ちを伝えるなら早くしたほうがいいと嵩に告げました。
そんなある日、のぶが見合いをした相手・次郎が朝田家にやって来ました。見合いの席では結婚の意思がないと言っていた次郎でしたが、のぶに正式に求婚したのです。しかし、のぶは決心がつきませんでした。
朝田家の人々が、のぶの態度を見守っているころ、東京の嵩は卒業制作に取り組み始めていました。そして嵩は、卒業制作を仕上げたら自分の気持ちをのぶに伝えようと心に決め、そのことを健太郎に宣言しました。
第13週
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感想
カマジイ、蘭子ちゃん
豪ちゃんの墓石を掘り始めようとしたカマジイがその手を止めてつぶやきました。
「豪、すまん、わしには彫れん」
カマジイ、豪ちゃんが亡くなったことがよっぽどこたえたらしい。
結太郎さんが亡くなったときには、泣く泣く墓石を彫ったカマジイでした。
しかし、豪ちゃんの墓石は彫れないと言う。
今回の終わりごろ、再びカマジイの姿が映し出されました。
その時もまだ墓石は手付かず。
カマジイ、豪ちゃんの死がかなりこたえているらしい。
蘭子ちゃん以上に悲しんでいるようにさえ見えます。
一方の蘭子ちゃんは、豪ちゃんの死を受け入れる努力をしている模様。
豪ちゃんの満期除隊の日を数えていた帳面を閉じ、豪ちゃんの遺品になってしまった袢纏を見つめながらも涙を流さない蘭子ちゃん、本当に強い。
本作の脚本家・中園ミホ先生の前作の朝ドラ『花子とアン』でも、主人公の妹が最愛の人を亡くす場面がありました。
その時、主人公の妹は立ち直るまでにかなりの時間がかかったと記憶しています。
そして、立ち直るまでは半ば廃人のようになっていました。
蘭子ちゃんもそんなことになってしまうのかとブログ主は心配していましたが、心配は杞憂だったようです。
もちろん愛した人の死からは簡単には立ち直れないでしょう。
しかし、蘭子ちゃんは悲しみをこらえながら郵便局勤めもしっかりと続けているらしい。
強い蘭子ちゃん、将来はどんな女性になるのでしょうか。
のぶちゃん、次郎さん、そして嵩くん
豪ちゃんの戦死に次いで、また新たなストーリーが進行を開始しました。
次郎さんのプロポーズ。
その一方で告白すると心に決めた嵩くん。
のぶちゃんをめぐる二人の男のストーリーです。
見合いの時点では結婚する意思はまったくなかった次郎さん。
あのときはまだ次郎さんは見合い相手がどんな女性か知らなかったわけで、結婚する意思がなかったというのは本当のことでしょう。
しかし見合いの席で実際にのぶちゃんと会い、一目惚れかそれに近い感情を抱いたのかも。
見合いの後、のぶちゃんのことを忘れられなくなったらしい。
次郎さんのプロポーズに対してのぶちゃんは即答できませんでした。
しかし、のぶちゃんの知らないところで家族がにわかに盛り上がり始めています。
特にクラバア。
「次郎さんは結太郎が連れてきた人にしか思えない」
「忙しく飛び回って命を縮めたが、のぶを幸せにしてくれる人を見つけてくれた」
真剣に結太郎さんが持ってきてくれた縁談だと信じている様子。
そのクラバアの言葉に羽多子さんは同意もせず否定もせず。
羽多子さんは母親として、のぶちゃんが「華やいだ気持ち」になれないまま縁談を進めてしまうことを躊躇しているのでしょうか。
それとも、のぶちゃんが心に決めた人がいると思ってるのかな?
そんな中で、しばらくのぶちゃんと口を聞かなかったらしい蘭子ちゃんが、遠慮なく結婚しろとのぶちゃんに告げました。
のぶちゃんの決心がつかない中、朝田家の人々の決心は語りつつあるようです。
そんな状況を全く知らない嵩くん。
ついに、のぶちゃんに自分の気持ちを打ち明けると心を固めました。
ただし、のぶちゃんに自分の気持ちを打ち明けるタイミングは卒業制作が仕上がってからのことなので、まだかなり先の話です。
その間に、のぶちゃんが決心してしまうこともあり得るわけですが、のぶちゃんがそんな状況にあることを嵩くんは知りません。
知っているのは、のぶちゃんに縁談が次々に舞い込んでいること。
しかしのぶちゃんはそれら縁談をことごとく断っていること、この二点だけです。
前週まで、のぶちゃんと嵩くんの気持ちのすれ違いが描かれました。
今週から次週にかけては、気持ちレベルでは済まされないのぶちゃんと嵩くんのすれ違いが生じてしまうようです。
嵩くん、線路で再び寝ませんように。
予習レビューと史実のリアルエピソード
豪くんの帰りを待つ蘭子ちゃん
今週は蘭子ちゃん週と呼べるような週になるかもです。
今週の蘭子ちゃんは豪くんの満期除隊の日を指折り数えて待っています。
あと345日。
毎日数字をカウントしながらその日を待つ蘭子ちゃん。
そんな蘭子ちゃんの姿を見ながらメイコちゃんが言います。
豪くんも戦場で同じことをしているのだろうと。
一方、のぶちゃんは蘭子ちゃんにこう言います。
結婚の順番が姉より先になってもいい。
豪くんが戻ってきたら祝言をあげて石屋を継いでほしいと。
そのころ、カマジイも酒を飲みながら「豪よ、早く戻ってこい」と独り言を繰り返す。
朝田家の誰もが豪くんの帰りを待ち侘びている。
そして蘭子ちゃんとの祝言を信じて疑わない。
そんな日常の描写が今週のはじまりです。
蘭子ちゃんの悲劇
のぶちゃんが初めてのお見合いに挑んだ数日後。
蘭子ちゃんのストーリーが動き始めます。
兵事係が朝田家を訪問し、作業場で仕事中のカマジイに通知を渡します。
カマジイ、その紙を持ったまま涙を流す。
兵事係の訪問とカマジイの涙、この二つだけで何が起こったのか明らかです。
豪くんの戦死です。
兵事係の訪問とカマジイの涙で、クラバアと羽多子も何も聞かなくても何があったかを察します。
そこへ蘭子ちゃんが帰ってきます。
蘭子ちゃんがどのような反応を示すのか。
切なすぎて想像することさえできません。
その日の夜、蘭子ちゃんは線香を絶やさぬよう夜を徹して豪を弔います。
しかし遺影も遺骨もありません。
蘭子ちゃんは涙一つ落とさない。
感情が抜け落ちたようになってしまうのだそうです。
のぶちゃんと蘭子ちゃん
豪くん戦死の知らせがあった翌日、国防婦人会の面々が朝田家に線香をあげに来て口々に言います。
「原豪さんは英霊になられた」
「ご立派に本望を遂げられた」
のぶちゃんの学校の生徒たちもやって来てこんなことを言います。
「自分たちもいつか兵隊さんになって、お国のために奉公したい」
当時はきっとこれが通常の反応なのでしょう。
そんな通常な反応の描写を経て、のぶちゃんが蘭子ちゃんと向き合う場面が描かれます。
その場面でのぶちゃんが蘭子ちゃんに言います。
「豪ちゃんはこの国の人々のために命をかけて戦った、立派だと言ってやりなさい」
「豪ちゃんの戦死を、誰よりも蘭子が誇りに思ってあげないと」
のぶちゃんの言葉も当時としては通常の言葉なのだと思います。
しかし身内に言うにはあまりにも酷な言葉でした。
のぶちゃんの言葉に対して蘭子ちゃんが感情を爆発させてしまいます。
「本気でそう思ってるのか?」
「学校の子供たちにもそう教えているのか?」
「そんなの嘘っぱちだ」
この蘭子ちゃんとの会話がきっかけとなり、かつては軍国の鑑とまで言われたのぶちゃんは、授業をするのがつらくなってしまいます。
のぶちゃんの心の転機が豪くんの戦死をきっかけに訪れるようです。
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