あんぱん

たくやの再度の依頼断る / あんぱん 第100回

2025/8/15(金)第20週「見上げてごらん夜の星を」

あらすじ

ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の公演は大成功して幕を閉じました。ミュージカルの仕事が終わり嵩はふさぎ込みがちになりました。一緒に仕事をした面々のような情熱を持てない自分が不甲斐なかったのです。

公演が終わった数日後、たくやが嵩を尋ねて来ました。たくやは自分が曲を書くので作詞をしてほしいと嵩を誘いました。しかし嵩は、漫画家は漫画を描くべきだと言ってたくやの誘いを断りました。

のぶはたくやの頼みを引き受けてみてはと提案。しかし、のぶの提案に対して嵩は余計な口出しはしないでくれと言い放ちました。その頃、のぶは帰宅が遅くなる日が続いていました。しかしその理由を嵩は知りませんでした。

ある日、嵩は八木の店に足を運び、のぶが嵩を支えるために夕方から八木の店で働いていることを知りました。その日の夜、嵩はのぶに謝罪。その時停電が発生し、取り出した懐中電灯で透かされた手の血流を見た嵩はその感動を口にしました。

「手のひらを透かして見れば…」

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感想

嵩くんの才能が開花するフラグが随所に立ちまくる回でした。

栄輔くん

おそらく今回が最後の出番になるであろう栄輔くんが、ミュージカルの打ち上げのパーティーで嵩くんに言いました。

「あなたは人を書ける人だ」

栄輔くんの変人ぶりからして、彼がお世辞を言う人とはとうてい思えない。

本心から栄輔くんは言ったんでしょう。

さらに栄輔くんは嵩くんの「人を書ける」才能が開花するのを期待していたのかもしれません。

しかし栄輔くんの言葉を嵩くんは否定。

それでも栄輔くんは言いました。

自分には分かるのだと。

栄輔くんという天才のお墨付きをもらった嵩くん。

でも嵩くんは自分の才能の一つがどこにあるのかを分かっていない様子です。

たくちゃん

ミュージカルが幕を開けた数日後。

たくちゃんが嵩くんを訪ねて来ました。

たくちゃんがやって来た目的は嵩くんに作詞してもらうこと。

たくちゃんも嵩くんに言いました。

「人間を書ける」と。

たくちゃんが口にした言葉は栄輔くんの言葉を借りただけではありますが、本心は栄輔くんとまったく同じだったはず。

たくちゃんは今や売れっ子の作曲家です。

数多くのヒット曲を生み出す中で、膨大な数の詞を読んできたはず。

そんな経験を積んだたくちゃんが嵩くんの漫画を読んで気がついたらしい。

嵩くんには詩人の才能があるのではないかと。

しかし嵩くんはたくちゃんの依頼を断ってしまいました。

たくちゃんという天才からもお墨付きをもらったものの、嵩くんは自分の才能の一つがどこにあるのかが分からない。

残念。

八木さん

栄輔くん、たくちゃんに次いで嵩くんの隠れた才能を指摘したのは八木さんでした。

八木さんは言いました。

「あいつの言葉は全部俺には詩に聞こえるけどな」

八木さんは若い頃は文学青年でした。

今も文学をこよなく愛しているはずです。

その八木さんの耳には、嵩くんの言葉が詩に聞こえるらしい。

しかも「全部」詩に聞こえるのだとか。

八木さんはおそらく、栄輔くんやたくちゃんが気づく前から嵩くんの詩人としての才能に気がついていたのでしょう。

嵩くん、八木さんのお墨付きまでもらいました。

それでも自分の才能に気がついていない嵩くん。

しかし八木さんの一言で、のぶちゃんは嵩くんの秘めた才能に気がついたようです。

そして、のぶちゃんが嵩くんの才能に気がついた夜。

停電が発生する中、嵩くんがさりげなくある一言をつぶやきました。

いつもなら、のぶちゃんは嵩くんのその言葉を聞き流して終わっていたかもです。

でも、あの時ののぶちゃんは「嵩くんの言葉は詩」という捉え方をするようになっています。

そして嵩くんのつぶやきにのぶちゃんは何かを感じたらしい。

でも嵩くんは自分のつぶやきに何を感じていたのかな?

蘭子ちゃんと八木さん

蘭子ちゃんと八木さんが出会う瞬間が描かれました。

わずかな時間の場面でしたがとても重要な場面だったと思います。

八木さんが嵩くんについて言った言葉。

「あいつの言葉は全部俺には詩に聞こえるけどな」

この八木さんの言葉に蘭子ちゃんがするどく反応しました。

「そんな風に感じるあなたも詩人ですね」

この蘭子ちゃんの返しを聞いて、八木さんも次のように感じたかもです。

「そんな風に返してくるこいつも詩人だな」って。

蘭子ちゃんと八木さん、心が通い合った瞬間を見たような気がしました。

二人の間でこれから何かが始まる予感でいっぱいの出会いの場面でした。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

サブタイトル「見上げてごらん夜の星を」

今週のサブタイトル「見上げてごらん夜の星を」は同名のミュージカル『見上げてごらん夜の星を』に由来します。

『見上げてごらん夜の星を』は夜間高校に通う学生たちの青春群像を描いた作品です。

本作の初演当時は『ひよっこ』で描かれた集団就職の時代。

地方から上京して働きながら夜間高校に通う高校生が少なくありませんでした。

そのような時代を背景に、夜間高校に通う男子生徒・坂本と昼間部の女子生徒・ユミコが、教室の机を通じて文通をする物語。

昭和30年代に舞台監督をしていた永六輔氏が台本を書き、当時の日本ではなじみの薄かったミュージカルを広めることを目指し、いずみたく氏に企画を持ちかけました。

同名の主題歌『見上げてごらん夜の星を』は大ヒットし、日本全国の高校演劇部が同作品をこぞって上演するほどの人気作でした。

ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』上演歴

昭和35年(1960年)7月
大阪フェスティバルホールで初演。

スターが一人も出演していないにも関わらず高評価を獲得し、翌年には東京でも上演。

昭和38年(1963年)
舞台を見た坂本九氏が感激し、自分にもやらせてほしいと永六輔氏に懇願。

坂本九氏主演により東京と大阪で再演。

翌年にはミュージカル全編を収録したLPレコードも発売される。

昭和54年(1979年)
いずみたく氏の演出により全国20都市で再演。

出演者もすべていずみたく氏の劇団員。

平成24年(2012年)
いずみたく氏の没後20年を記念して再演。

いずみたく氏が生前に設立した「アトリエフォンテーヌ」で上演。

同作品の上演を最後に「アトリエフォンテーヌ」は閉館した。

【ドラマ】『見上げてごらん夜の星を』

ドラマの中での『見上げてごらん夜の星を』の描かれ方は次のとおりです。

昭和35年(1960年)嵩くんは独立してからも漫画家として売れていない状態。

そんな中、すでに嵩くんと面識があり、売れっ子作曲家となったいせたくやが、嵩くんが不在時に六原永輔を連れて柳井家を訪問。

そのとき家にいたのぶちゃんに要件を伝えます。

いせたくやは六原永輔とともに日本初の日本人のためのミュージカルを制作することになったこと。

そのミュージカルの舞台美術を嵩くんに頼むために来たこと。

いせたくやは、嵩くんが三星百貨店時代に手がけた舞台がとても好きだったこと、などなど。

その日の夜、帰宅したのぶちゃんが嵩くんに一部始終を伝えます。

しかし、舞台美術の経験がない嵩くんは、その依頼を引き受けることを躊躇。

そこですかさずのぶちゃんが「たっすいがーはいかん!」の一言。

翌日、嵩くんはしかたなくいせたくやは六原永輔のアトリエを訪問。

六原永輔の強引さに押し切られる形で嵩くんは舞台美術を引き受けることになりました。

しかし、いせたくやと六原永輔の中間たちと仕事をするうちに、いつしか嵩くんも舞台美術の仕事に楽しさを見出すように。

そしてミュージカルは上演され大成功。

以上がドラマの中で描かれるミュージカル『見上げてごらん夜の星を』です。

【史実】『見上げてごらん夜の星を』

史実の『見上げてごらん夜の星を』が出来るまでは次のとおりです。

リアル六原永輔がリアルいせたくやにミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の企画を持ちかけたことは上に記したとおりです。

昭和30年代、リアル嵩くんは、漫画以外にも様々な仕事を引き受け、著名人にインタビューを行う記者のような仕事をしていました。

ある日、リアル嵩くんは女優の丹下キヨ子さんを取材。

その際、丹下キヨ子さんは「リアル六原永輔」という才能豊かな青年がいることを語り、リアル嵩くんはそのことも記事に書きました。

その記事を読んだリアル六原永輔は、自分の名前が雑誌で初めて紹介されたことに感激。

この記事を書いた人物といつか一緒に仕事をしようと決意。

そして昭和35年(1960年)、リアル六原永輔はリアル嵩くんを訪問。

これから制作するミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の舞台美術を引き受けてほしいとリアル嵩くんに依頼。

リアル嵩くんは舞台美術の経験はなかったものの依頼を快諾。

そして、ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』が上演されると大ヒット。

リアル嵩くんの舞台美術も高評価を受け、その後リアル嵩くんのもとには舞台美術の仕事も殺到するようになりました。

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POSTED COMMENT

  1. 名乗るほどの者ではない より:

    あいつの言葉は全部詩に聞こえる

    ながら観の今作だけど、このセリフにはあるマンガ家さんのことを思い出し「あっ!」と唸ってしまった、トキワ荘のアニキとして関連の作品では主要人物として出てくる悲運のマンガ家のテラさんこと寺田ヒロオ先生を思い出した
    先生が逝去なされた時に同郷で親友だった劇画家・棚下先生(後に奥様になるボンカレーでおなじみの松山容子さん主演で何作品か映画化もされています)が追悼で「あいつは絵はヘタだったが言葉には力があったんだよ、あいつは童話を描くべきだったんだ」と述べられてましたが、もしかしたら、「あんぱん」というのはあったかもしれない寺田ヒロオ先生の後年だったのかもと感じちゃいましたね

  2. よるは去った より:

    のぶ「血が流れゆう・・・・。」

    そして幼かったあの日、寛伯父さんが自分やのぶちゃんまで励ましてくれたあの言葉

    寛「生きとるき・・・・悲しいが・・・・。」

    そして、あの名曲か・・・・。

  3. 名乗るほどの者ではない より:

    次回予告見てびっくりした
    乃木坂の久保ちゃん、宮城まり子さんのイメージに驚く程マッチしている

  4. 名乗るほどの者ではない より:

    けどさあ
    「ウイークエンダー」「連想ゲーム」の加藤芳先生も「クイズダービー」の黒鉄先生・はらたいら先生も「お笑いマンガ道場」の鈴木先生・富永先生もマンガ家としてよりもタレントとしての立場の方が有名なんだよね

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