2024/5/31(金)第9週「男は度胸、女は愛嬌?」
あらすじ
寅子が手にした新聞には「日本国憲法」の公布が報じられ、そこには「すべて国民は法の下に平等」と書かれていました。その新憲法を報じる記事を読んだ寅子の中で前を向いて生きる力がよみがえってきました。
家に戻った寅子は家族会議を開きました。そして、家族に二つの提案をしました。もう一度法律の世界に飛び込み自分が一家を支える。だから直明は大学に進学しろ、直明が幸せになるところを見たいのだと。
昭和21年(1946年)11月3日、「日本国憲法」が公布されました。時は流れ昭和22年(1947年)の春。直明は大学に入学。一方、法律の世界に戻る決意を固めた寅子が向かった先は法務省でした。
寅子は法務省の人事課長を訪問。人事課長に就いているのは桂場でした。寅子は桂場に自分を裁判官として採用してほしいと直談判しました。しかし桂場は寅子に問いかけました。なぜ、君を採用しなければいけないのだと。
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感想
通常、半年の区切りで行われる演出が今回早くも行われました。
第1回のトラちゃんの涙が前回から今回にかけて回収され、第1回でトラちゃんが法務省に向かう場面も今回ですべて回収されました。
猪爪家の家族が相次いで亡くなる
今週は猪爪家の家族が相次いで3人も亡くなる週でした。
しかも亡くなった3人は、いずれも笑いをとってドラマを明るくしてくれたキャラばかり。
さらに猪爪家の女性たちの伴侶ばかり。
そんな三人が亡くなるタイミングは水曜日の放送までに集中。
本作始まって以来、最もつらい一週間でもありました。
直道くんに捧ぐ:今週の振り返り
月曜日、新しい一週間が始まって早々に直道くんの戦死の知らせ。
直道くんの戦死の知らせを受け、その場で泣き崩れる花江ちゃん。
花江ちゃんは直道くんを亡くす前にはご両親も空襲で亡くしています。
ご両親を亡くし夫まで亡くし、どれほどつらかったことか。
花江ちゃんといえば思い出すのは女学校時代のちょっとお姉さん気取りのすました様子。
そしてクセになりそうなおっとりとした独特の喋りかた。
女学校時代には、不幸とは一生涯無縁に見えた花江ちゃんがこんなに苦労するなんて。
話を直道くんに戻します。
ブログ主が本作は面白い作品になるかもと、そんな予感を初めて感じたのは直道くんの存在でした。
東京の朝ドラは大阪の朝ドラと比較して、クセのあるキャラが少ない印象があります。
でもブログ主はクセのあるキャラが大好き。
直道くんは第1回から「俺にはわかる」の決めゼリフでクセのあるキャラを全開に。
その後もいちいち笑わせてくれました。
また、最近お目にかからなくなりましたが、朝ドラ定番の「変な叔父さん」キャラのポテンシャルも直道くんは持っていました。
朝ドラ定番の「変な叔父さん」は「ヒロインの叔父」ではありますが、ヒロインの娘の叔父のポジションで「変な叔父さん」であって欲しかった。
惜しいキャラを亡くしました。
追伸:直道くんの戦死を受けてはるさんが悲しむ場面がなかったのはせめてもの救いでした。
息子を亡くした母親の姿はつらすぎるので。
優三くんに捧ぐ:今週の振り返り
続いて優三くんが戦病死。
優三くんもまた第1回から「机に頭ゴツン」のコントを繰り返し、楽しませてくれました。
そんな優三くんの本質が見えてきたのはトラちゃんと結婚した後のこと。
書生さんとして猪爪家にいるときは、優しいけれど頼りなさを感じたこともしばしば。
しかしトラちゃんと結婚してわかりました。
優三くんはとっても器の大きな男であることが。
自分が高等試験に落ち続けたその一方で妻が高等試験に合格、こんな状態では普通の男なら妻への嫉妬にもだえ苦しむところです。
しかし優三くんはトラちゃんが高等試験に合格したことを素直に喜ぶ器の大きさを見せました。
一方、前のめり気味のトラちゃんを常に客観視。
さりげなくトラちゃんに対してアドバイスを行い、トラちゃんがそのアドバイスに反発しそうになると、すぐに自分の発言を引っ込める。
これも器が大きいからこその態度です。
弁護士として活躍するトラちゃん、弁護士をやめた失意のトラちゃん、トラちゃんがどんな状況でも優しく見守ってくれていた優三くん。
いつも優三くんがいるところ、春風が吹いているようでした。
そんな大切なキャラもいなくなってしまいました。
直言さんに捧ぐ:今週の振り返り
直言さんもまた視聴者を楽しませてくれたキャラでした。
直言さんのキャラクター発表があったとき、ブログ主は娘が夢を叶えるためには妻との対立も辞さない普通に立派なお父さんを想像していました。
しかし直言さんはそんな単純ないいお父さんキャラではありませんでした。
トラちゃんが明律大学に進学したいと言い出したとき、はるさんの説得は任せろと啖呵を切ったものの、実際には説得から逃げまわる。
娘を応援したいけど奥様には頭があがらない。
そんな安定感のなさすぎるちょっとダメなお父さんキャラを最後の最後まで見せてくれました。
亡くなる数日前の家族との最後の会話の場面すらも、涙の場面ではなく笑いの場面にしてしまった、朝ドラ史上最笑のお父さん。
笑えるお別れの場面では、いきなり居眠り。
あの居眠りの姿は、眠るように逝った直言さんの最期を暗示しているのでしょうか。
トラちゃん
相次いで家族が3人も亡くなりトラちゃんは心が折れてしまいました。
目の前に起こる諸々の出来事に対して、トラちゃんの感情は麻痺しているようした。
しかし、スンデのところでトラちゃんははるさんに救われました。
初めて涙を見せたトラちゃん。
それが前回。
涙を流すことで、心が軽くなったトラちゃんはいよいよ行動を開始。
次週から、また明るい朝を迎えられそうです。
次週予告
早めの折り返しを経て、次週からは新展開。
新キャラも続々と登場する予感でいっぱいです。
異例の速さで折り返し地点を過ぎてしまった本作、次回からの後半はどこに向かうのでしょうか。
予習レビューと史実のリアルエピソード
今回はいよいよ、本作の第1回の冒頭で描かれた主人公のトラちゃんが新聞に載っていた新憲法を読んで涙を流す場面。
そして裁判官として採用してほしいと直談判する場面が描かれます。
記念すべき物語冒頭の回収の瞬間までは、以下のような出来事が積み重なります。
直言さんの工場は軍からの注文によって成り立っていたため、終戦と同時に仕事がなくなり工場の経営は圧迫され猪爪家の家計も窮地に。
そんな中で東京帝大に進学するつもりで岡山の進学校で寄宿生活をしていた直明くんは、東京に戻ると進学を断念し働いて一家を支えると決意。
トラちゃんもまた一家を支えるつもりであるものの弁護士の仕事は見つからない。
一方で直言さんとの死別をトラちゃんは経験します。
そんな中での新憲法の制定。
再び法律の世界で、今度は裁判官として働いて一家を支え直明くんには進学させてあげようとトラちゃんは決意。
そして冒頭の場面へとつながるわけです。
この一連の出来事のモチーフとなったリアルトラちゃんはどんなことを経験したのか。
以下にまとめました。
昭和22年、終戦の翌々年にリアルトラちゃんはご両親と死別。
そんな中で、直明くんの実在モデルと思われる弟の泰夫さんが東京大学に進学するために岡山から帰郷。
そこでリアルトラちゃんは一家を支え弟の泰夫さんの学費を工面するために働くものの、明治女子専門学校の教授職の給料では不足がありました。
しかし弁護士の道に戻るとしても、女性弁護士に依頼が安定して入らないという厳しい現実が考えられる。
さらに、依頼主のためには白を黒と言いくるめねばならない弁護士という職業の矛盾にも疑問を感じていた。
そこで新憲法下では女性も判事になれるだろうと考え司法省へ。
リアルトラちゃんは「裁判官採用願」を司法省人事課に提出しました。
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家族会議。というか寅子さんの一方的な宣言。正論だけど。「僕、勉強していいの?」やはりそうだったの。進駐軍、群がる夜の女、戦後のいつもの風景。直明君入学。いざ司法省へ。そこにいたのはよりによって天敵桂場さん。予告編、登場人物増えている。朝ドラ受けは直言さん。