あんぱん

のぶが女子師範学校卒業 / あんぱん 第35回

2024/5/16(金)第7週「海と涙と私と」

あらすじ

昭和13年(1938年)1月。女子師範学校の卒業が近づいてきたある日。のぶ宛てに届く手紙の差出人「柳井嵩子」は偽名ではないかと黒井が疑いはじめました。差出人との関係を怪しむ黒井は、のぶに手紙を提出させました。

そして、便箋に嵩が描いた絵を黒井はハレンチだと非難。しかしのぶは、これまで嵩の描いた絵に救われてきたのだと主張するものの、もう手紙が届くことはないだろうと寂しそうな表情を浮かべました。

その一週間後、のぶの卒業後の配属先が母校の御免与尋常小学校に決まりました。一方、うさ子は女子師範学校に残り、黒井の補佐をすることが決まりました。のぶとうさ子はお互いの将来を称え合いました。

月日が流れ昭和14年(1939年)3月。のぶは女子師範学校を卒業。再び御免与の実家で暮らすことになるのぶを、家族は心から歓迎しました。そして4月、のぶは教師として新たな一歩を踏み出し始めるのでした。

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感想

黒井先生

黒井先生はただの怖くて厳しいだけの先生ではありませんでした。

おそらく黒井先生の出番は今日が最後。

最後の出番で黒井先生の優しさが伝わってきました。

そして黒井先生の悲しみも。

さて、「柳井嵩子」と言う差出人が偽名ではないかと黒井先生は疑いました。

そして黒井先生の読みどおり「柳井嵩子」は偽名。

しかも差出人は男でした。

あの時代の女子師範学校の寮では許されないことでしょう。

なので黒井先生が、ただの怖くて厳しいだけの先生であれば、間違いなく学校に報告しているような状況です。

そうなれば停学だってあり得る。

しかし黒井先生は、学校には報告しないと決めました。

のぶちゃんの言葉と涙に黒井先生は心を動かされたのかも。

お父さんが亡くなったときに支えてくれた人と言ったのぶちゃんの言葉。

その人からもう手紙が来るないだろうと言ったときに流したのぶちゃんの涙。

黒井先生は心を動かされた。

ところが黒井先生の口から出た言葉は「やっぱりあなたは弱い」でした。

でも、この「弱い」と言う言葉。

実は黒井先生はのぶちゃんに対してではなく自分自身に対して言ったのかも。

そんな気がしました。

今回、黒井先生の悲しい過去が明かされました。

結婚して3年経っても子供ができず婚家を追い出されたと言う過去です。

このときの黒井先生の悲しみをこらえる顔。

初めて見せる表情でした。

初めて見せる黒井先生の弱さと言っていいかもしれません。

その弱さを黒井先生は深く自覚しているのでしょう。

それ故に、やたらと強いところばかり見せているのかも。

悲しい過去があるだけに、のぶちゃんが父を亡くした時の悲しみ。

大事な人からもう手紙が来ないであろう悲しみも、誰よりもわかったであろう黒井先生。

しかし、ここでのぶちゃんに共感したら自分の弱さを認めることになる。

自分の弱さと向き合えない黒井先生。

完璧を演じているけれど実は完璧ではありませんでした。

でも、時代の制約の中で懸命に生きた一人の女性として美しい生き様を見せてくれた登場人物でした。

黒井先生、おつかれ様でした。

のぶちゃん

今回は極めて珍しい嵩くんの出番が皆無の回でした。

これまでずっと、場合によっては主人公以上に深い描写も数多くあった嵩くんの出番がない。

のぶちゃん視点からも、嵩くんは遠いところに行ってしまった存在になってしまいましたが、視聴者視点でも嵩くんがそんなふうに見えました。

そして嵩くんの出番がなくなって初めてわかったのはのぶちゃんにとって嵩くんがどういう存在であったかということです。

これまで嵩くんにとってのぶちゃんが特別な存在であることはわかりやす過ぎるほどよくわかりました。

しかしのぶちゃんにとって嵩くんがどんな存在なのかが今一つ見えて来なかった。

ただの幼馴染みぐらいにしかブログ主には見えませんでした。

でも、そう見えていたのは、狙ってそう見せていたのかも。

今回、のぶちゃんにとっても嵩くんが特別な存在であると強調するために。

あるいはのぶちゃん自身が、今になって初めて嵩くんがどのような存在なのかがわかったのかもです。

そして次週予告の中でメイコちゃんの音声がそのことを語っていました。

見合いをするらしいのぶちゃんに対してメイコちゃんが言いました。

お姉ちゃんには大事に思う人がいるものだと思っていたと。

のぶちゃん、失って初めて嵩くんへの気持ちに気づいたのでしょうか。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

女子師範学校の卒業の日が近づくころ

今週の後半は年が明け、のぶちゃんの女子師範学校の卒業の日が近づくころ。

のぶちゃんの配属先は決まっていません。

また、今週のぶちゃんは慰問袋の活動が評価されます。

その事実を受け、校長先生が黒井先生の補佐をやってほしいとのぶちゃんに頼む。

そんな場面もあるようです。

のぶちゃんは即答できないものの、のぶちゃんに届く「柳井嵩子」からの手紙の主が男性であることが黒井先生にバレてしまいます。

この手紙をめぐってのぶちゃんと黒井先生は対立。

黒井先生は嵩くんが手紙の中で書いた絵をハレンチだと言い、一方ののぶちゃんは嵩くんが書いた絵で何度も救われたと反論。

のぶちゃんと黒井先生が対立します。

この対立がきっかけとなり、のぶちゃんは黒井先生の補佐の件を断ろうと決意します。

黒井先生の過去

嵩くんの絵に何度も助けられたと言うのぶちゃんに対して黒井先生が言います。

あなたは弱いと。

しかし、黒井先生に真正面から反論できるほどになったのぶちゃん、十分に強くなりました。

のぶちゃんに対してあなたは弱いとまで言い切った黒井先生が続けます。

結婚して家庭に入るのも忠君愛国の道だ。

その道に進むなら止めはしない。

しかし、女子師範学校に残るのなら鍛え直す必要があると。

結婚して家庭に入る道を黒井先生は否定しません。

当時、それが女子の王道だったからでしょう。

ところでこの時、黒井先生も結婚した経験があることが判明します。

結婚して家庭に入る道を黒井先生が選ばなかった理由をのぶちゃんが尋ねるのですが、そののぶちゃんの問いかけに対して黒井先生が答えるんです。

一度は結婚したものの、子供ができずに婚家を追い出されたことを。

黒井先生、実はこんな悲しい過去があったようです。

悲しい過去を忘れるために、あんなに厳しい教師になったのかも知れません。

卒業後ののぶちゃん

のぶちゃんが黒井先生の補佐を断った一週間後、のぶちゃんの配属先が決まります。

配属先は母校の御免与尋常小学校です。

のぶちゃん、再び御免与に戻れることになります。

ほどなくしてのぶちゃんは女子師範学校を卒業。

受験の際、のぶちゃんが閉門ギリギリで駆け込んだ校門で、のぶちゃんは黒井先生に別れを告げます。

黒井先生に最敬礼をしながら。

黒井先生もまたのぶちゃんに「愛国の鑑たれ!」という言葉を贈り、女子師範学校のエピソードは終了。

今週の最後は昭和13年(1938年)4月。

のぶちゃんが御免与尋常小学校の教壇に立つ場面になるかと思います。

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POSTED COMMENT

  1. ずんこ より:

    三年子無きは去れ、といった時代だったのでしょうね。
    子どもが出来なくても千尋くんを養子に迎え、「家と結婚したのではない」と言い切り、仲睦まじく暮らしている寛さんと千代子さんの穏やかな家庭との落差を感じます。
    もう二度と手紙は来ないと涙をこらえるのぶちゃんの様子に、離婚経験のある黒井先生は共感したのでしょうか。
    男女の間に友情はない、と言う黒井先生は、のぶちゃんの気持ちをのぶちゃんよりも理解したみたいですね。

    鋳型に嵌められた愛国教師の大量生産。
    のぶちゃんも、嵩くんがそんな先生は嫌だと言っていたような先生になってしまうのでしょうか。

  2. 名乗る程の者ではございません より:

    次女は子供できてなかったんだね、一夜の契りでという展開としては映画「大日本帝国」や「ターミネーター」であったからありがちかな展開として避けたのか?

    しかし、旦那の方が種無しかもという発想というか知識はこの時代はなかったのか?同級生の女性が過去(といっても平成だが)にこの理由で離婚したけど、その後三人出産しとったけどな

  3. 黒井先生の悲劇、割合最近でも田舎ではこういう話、特に旧家ではあったなあ。黒井先生良い先生だった。軍国教育はNGだけど。戦後の公職追放が心配だなあ。

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