2025/5/29(木)第9週「絶望の隣は希望」
あらすじ
陸軍の中佐が、のぶが勤める小学校に講演のために来訪。講演の後、のぶは中佐に紹介されました。その場で中佐はのぶにある依頼をしました。中佐は、朝田パンで乾パンを焼いて陸軍に納入してもらいたいと依頼したのです。
陸軍からの注文を、釜次たちは名誉な役目を引き受けることになったと歓迎。陸軍からの注文を受けるきっかけとなったのぶは、草吉に乾パンを焼いてほしいと頼むものの、草吉は頑なに断りました。
釜次は、草吉がその仕事を拒み続ける理由がどうしても理解できませんでした。そんな中で蘭子だけは、草吉の気持ちが分かる気がすると言いました。最後は羽多子が、嫌がる草吉に無理強いはできないと判断し、陸軍からの注文を断る決断を下しました。
のぶは小学校の校長に陸軍からの注文を断ることになったと報告。羽多子も婦人会の民江に注文を断ることを報告。しかし民江は納得しませんでした。一方でのぶと蘭子は対立。家族がギクシャクし始めたことをメイコは嘆きました。
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感想
ヤムおじさんの生き方
浮かない表情を浮かべて歩く千尋くん。
ブログ主は最初、のぶちゃんの祝言が決まったことで落ち込んでいるのかなと思いました。
もちろん、寛先生が亡くなった悲しみもあるのでしょうが。
そんな千尋くんの異変にヤムおじさんが気付きました。
ヤムおじさん、今日も優しい。
そして、ヤムおじさんがあんパンを持って空き地に行くと、千尋くんがそこで読んでいたのは法律書ではなく医学書でした。
千尋くんが読んでいる表紙を見てブログ主は納得しました。
寛先生が亡くなってしまい、柳井医院は将来的な後継ぎでなく今すぐにでも医師が必要な事態になってしまった。
だから千尋くんが再び医師を目指すことになったのかなと。
一方でそんな千尋くんの選択に対してヤムおじさんはどう応じるのか興味深々で今回のドラマを見守りました。
「わしがやるしかないがです」と言う千尋くん。
その千尋くんの言葉に対するヤムおじさんの返しが今日も秀逸すぎます。
「医者は嫌々やるような仕事じゃない」
本当にごもっともな話です。
嫌々やっている医者に診てもらいたいとは誰も思いません。
続けてヤムおじさんは言いました。
神様は人間に得手不得手を与えた、だからどんなに頑張っても嫌なものは嫌。
ヤムおじさんは畳み掛けるように言います。
「お前が苦しんで背負い込むことをあの先生は望んでいない」
「お前が望む人生を生きろ」
そんな中、千尋くんが再びあの話を持ち出しました。
銀座のパン屋にヤムおじさんの写真があったというあの話です。
ちなみに、このタイミングで視聴者に思い出せたあの話は、次週には回収されます。
あの話はともかく、これまでヤムおじさんと千尋くんの二人きりの場面はなかったので、とても新鮮でした。
改めて口は悪いけど実は優しいヤムおじさんが好きになりました。
そして、どうしてヤムおじさんと千尋くんのこんな会話場面を挿入したのだろうと思っていたら、それにはワケがありました。
嫌なものは嫌
千尋くんに対して「嫌なものは嫌」とアドバイスしたヤムおじさん。
今度は自分のためにその言葉を言うことになりました。
のぶちゃんから乾パン作りを懇願されても、キッパリと断るヤムおじさん。
そして「嫌なものは嫌」。
「嫌なものは嫌」という生き方を千尋くんにアドバイスしたヤムおじさんが、その直後にそのとおりのことを自分でも実行。
ヤムおじさんと千尋くんの会話の場面がここで効いてきました。
さて、ヤムおじさんが乾パン作りを拒む理由をカマジイは理解できない。
のぶちゃんはそれ以上に理解できないかと。
一方で分かる気がすると蘭子ちゃん。
のぶちゃんと対立する蘭子ちゃんも言いました。
「嫌なもんは嫌や」
分断が進む朝田家。
そんな状況を嘆くメイコちゃん。
ちょっとネタバレになりますが、次週の前半にヤムおじさんが乾パン作りを拒む理由とともにヤムおじさんの過去も明らかになりました。
そして朝田家の分断は収まるその一方で、のぶちゃんの苦悩が始まります。
予習レビューと史実のリアルエピソード
朝田家に陸軍から注文が入る
のぶちゃんが次郎さん結婚し、高知の新居から御免与尋常小学校に汽車で通勤を始めてからしばらくした頃のこと。
陸軍中佐の有賀という人物が講演をするために御免与尋常小学校にやって来ます。
この有賀さん、学生時代に愛国の鑑と称えられたのぶちゃのことを知っていたらしい。
そんな有賀さんが、のぶちゃんにある「重要なお願い」をします。
重要なお願いというのは、朝田パンで乾パンを焼いて陸軍に納入してほしいというもの。
のぶちゃんは朝田家の人々にそのことを報告。
陸軍から乾パンの注文に家族は歓喜します。
しかし・・・
戦争の話題が出るたびに強い反応を示し続けていたヤムおじさんが、乾パン作りを拒絶。
しかも、かなり強い調子で。
羽多子さん、嫌がっているヤムおじさんに対して無理じいするわけにはいかないと、乾パン作りを断念。
ここから朝田家の窮地が始まります。
朝田家の窮地
羽多子さんが乾パンづくりを断ったことに対して、国防婦人会の民江さんが激怒。
お国のために乾パンを焼けないというのか?みたいな怒り方をするわけです。
そして、その日から朝田パンに来客がなくなってしまいます。
朝田家の窮地のストーリーの始まりです。
そんな中、羽多子さんは国防婦人会の集まりへ。
羽多子さんは慰問袋を詰める作業を手伝おうとするものの、そこにいる誰もが羽多子さんにやらせようとしない。
朝田パンの客足が途絶えた理由は国防婦人会のご婦人方の営業妨害確定です。
ところが、乾パンづくりを断ったことに真っ先に腹を立てた民江さんが、どうしたわけか羽多子さんに妙に愛想よく声をかけます。
「大丈夫、うちに任せといて、悪いようにはしない」
民江さん、何か算段しているようです。
窮地を脱する朝田家
ヤムおじさんが乾パンづくり拒んだことがきっかけとなり窮地におちいった朝田パン。
そんな中、あのカマジイが低姿勢になってヤムおじさんに乾パンを焼いてほしいと懇願します。
陸軍の仕事を受けることで名誉がほしいわけでもない。
金がほしいわけでもない。
羽多子さんや孫たちが不憫なだけなのだと。
ヤムおじさん、カマジイにそこまで言われても簡単には乾パン作りを引き受けないらしい。
ところがその翌日、どうしたわけか乾パンの材料が朝田家に運び込まれます。
業者曰く、陸軍からこれを届けろと言われたのだとか。
しかし、朝田家の人々には寝耳に水。
羽多子さんだけが気づきます。
婦人会の集まりで、妙に愛想が良かった民江さん。
どうやら民江さんが勝手に手配したらしい。
しかし、この時点でヤムおじさんは乾パンづくりを受け入れてはいません。
なので、カマジイがこれは何かの手違いだと、業者と一緒にやってきて憲兵に伝えようとすると、ヤムおじさんが製造の手順書を憲兵からひったくる。
ヤムおじさんが乾パンづくりを無言で引き受ける瞬間です。
ヤムおじさん、カッコいい。
乾パンづくりには羽多子さんやメイコちゃんも手伝い、乾パンは納期までに納入。
納入の日、民江さんがやって来て羽多子さんの耳元でささやきます。
「すべてうまくいきましたね」
この日から朝田パンは陸軍御用達となり窮地を脱するわけですが、朝田パンを救った民江さんという人物の狙いは何かあるのかな?
民江さんの行動の動機、ブログ主には謎だらけです。
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現在売られている乾パンには、三立やブルボンで作っている小ぶりの物と、カニヤで作っている大ぶりの物がります。小ぶりの物は旧陸軍で、大ぶりの物は旧海軍の為に作られた物がベースになっているようです。主に店頭で買える物は小ぶりの物が多いようです。大ぶりの物はアマゾンなど通販で買えますが、呉の大和ミュージアムではお土産として売っています。乾パン食べると口の中の水分を持って行かれるため、商品によってはドロップや金平糖が付属している物があります。これは自衛隊など公用に使われる物が多いようです。
けどさあ、最終的に乾パンを食べるのは日本人じゃん、日本人が汗水垂らして作ったお米がスーパーから消えて倉庫にあったり他国に流れている現代よりまともな状況だと思うんだよなあ