らんまん

万太郎が印刷を注文する / らんまん 第52回

2023/6/13(火)第11週「ユウガオ」

あらすじ

万太郎の石版印刷の技術は日に日に向上。仕上げた印刷物を見せられた竹雄はその出来栄えに驚き、万太郎自身も納得のいくものをつくれるようになっていました。そして万太郎は、大畑とイチに植物学雑誌の印刷を注文しました。

同じころ、万太郎は東京大学にある植物標本の分類をすべて終えたこと。植物学雑誌の印刷が間もなく始まることを教授の田邊に報告。報告を受けた田邊は万太郎の仕事ぶりを認めるものの、田邊の態度に対して助教授の徳永は異を唱えました。

徳永に対して田邊は言いました。植物学雑誌の出来が悪ければすべて燃やしてしまうつもりだと。田邊の本音を知った徳永は複雑な気持ちをかかえました。徳永は万太郎に話しかけ、ユウガオの和歌を通じて万太郎と徳永の心は通じ合いました。

一方、寿恵子は舞踏練習会の発足式に向けてダンスのレッスンを続けていました。そんな中で寿恵子は、万太郎のことを忘れようと思い立ち、万太郎が描いた植物画を破り捨てようとするのでした。

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感想

ずっと楽しみにしていた瞬間がついにやってきました。

田邊教授の腹黒さが明らかになる瞬間です。

敵の敵は味方

田邊教授、なかなかの策士です。

植物学雑誌がうまくゆけば自分の手柄にする。

出来栄えが悪ければ焼却してなかったことにする。

自分の手柄にする場合でも焼却する場合でも費用負担は万太郎くん。

お金をまったくかけずに美味しとこ取りだけを行い、美味しいとこ取りが出来ない場合でも自分の懐はまったくいたまない。

東京大学の関係者の中で真っ先に万太郎くんを受け入れた田邊教授。

万太郎くんの強い味方のように見えて実は最大の敵でした。

一方、立場上は田邊教授に従うように見せている徳永助教授。

腹の中では間違いなく田邊教授強い反発心を持っているはず。

だから田邊教授が万太郎くんが大学に出入りすることを認めたことも許しがたい。

徳永助教授にとって万太郎くんは敵です。

一方、田邊教授は万太郎くんの敵のポジションを獲得。(万太郎くんの中では田邊教授が敵であるという自覚は皆無ですが)

敵の敵は味方、となるのかな?

期せずして敵を共有することになった万太郎くんと徳永助教授の関係の今後に注目です。

徳永助教授

徳永助教授の意外な優しさが心に染みる回でした。

そして徳永助教授の意外な一面が描かれる今回もまた待ちに待った回です。

さて、何かと権威を振りかざす欠点は持っているものの、そんな欠点など取るに足らないと思わずにはいられない優しさを徳永助教授は持っていました。

万太郎くんが石版印刷の技術を膨大な時間をかけて必死になって習得したこと。

そのために授業料まで負担していたこと。

徳永助教授は万太郎くんの努力をしっかりと観察してくれていた模様。

徳永助教授は、万太郎くんの大学内での振る舞いは勘弁できない。

しかし徳永助教授は、万太郎くんの大学の外での努力はしっかりと認める度量を持った人物らしい。

さらにグッときたのは、田邊教授が植物学雑誌が一定の水準に達していなければ燃やすと言い出したときの徳永助教授の反応です。

学生と同じ年頃の若者にそこまで負担させてしまっていいものなのかと。

その後、遊びにゆこうとする学生たちを一喝。

植物学雑誌のための論文を早く書き上げろと。

徳永助教授が万太郎くんの味方についた瞬間でした。

そして万葉集の和歌を通じて万太郎くんと徳永助教授の心が通じ合う描写の美しいこと。

ブログ主の中で、本作で最も好きな回の一つになりました。

田邊教授の今後

田邊教授は徳永助教授や大窪講師の敵。

田邊教授は学生たちからも少なくとも慕われてはいなさそうなので敵。

あの性格では学内は敵ばかりでしょう。

そして敵と戦うために策士っぷりを発揮する日々を送っているのでしょうか、いつか策に溺れる日が来るのではないか。

実際、史実の中のリアル田邊教授は学内の人間関係の悪化が理由で大学から追放されています。

ドラマの中でも同様のことが起こるのかもしれません。

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予習レビュー

寿恵子ちゃんのストーリーが大きく動き出す今週は、万太郎くんのストーリーもまた大きく動きはじめます。

大畑印刷所で見習い工として経験を積んだ万太郎くんは技術が格段にアップ。

他の職人さんたちから、大畑印刷所で働き続けてほしいと言われるほどまでに印刷の腕を磨きます。

幼少期に神童ぶりを発揮した万太郎くん、再びその才能を全開させます。

そんな中で寿恵子ちゃんがロックオンを通り越してリーチされてしまったという情報が竹雄くんによってもたらされます。

しかし万太郎くんはすぐには寿恵子ちゃんのもとへ駆けつけようとはしない。

印刷の技術はあがったけれど、そして植物学の雑誌の発行まで目前というところまで来たけれど、自分はまだ何者でもないと万太郎くんは考えます。

万太郎くん、かなりストイックな性格です。

自分が何者かにならないうちは寿恵子ちゃんのもとには決して駆けつけないと覚悟を決めた万太郎くん。

その覚悟は、寿恵子ちゃんが危機的な状況であることを聞かされても揺らぐことはありません。

とは言っても、心の中は揺れに揺れているものと思われます。

そんな万太郎くんの心の葛藤の描写は、今週の注目ポイントとなることでしょう。

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POSTED COMMENT

  1. ばなななち より:

    植物学である朝顔昼顔夕顔クイズから、
    日本文学が好きと絞り出すように話し出す教授
    ユウガオでの問答で、万太郎くんが日本文学が好きという気持ちを受け止められる人柄であることがわかる
    この部屋で四字熟語はやめたまえ!という教授とは違いますね!

    教授と助教授とのたった数分のやり取りで助教授の行動に深みが出ました
    学生を怒るシーンとか、学生を本当に思ってのことなんでしょうね

    万太郎くん達の学会誌、出来が悪ければ燃やしてしまえばいい。とは…自分が本物ではないと思うもの、利益にならないものは切り捨てる。
    教授、なんて最低な価値観なんだ!
    その人の美学、価値観がある敵キャラは作品を熱くするので好きです

  2. 名乗る程の者ではございません より:

    還暦のたつお様

    伊藤歩さんと言えば個人的には國村隼さんとのサントリーオールドCMですね、3作とも泣けます
    斎藤工さんは私にとって「シンウルトラマン」よりも「シン・仮面ライダー」の政府の男ですね、最後に竹野内豊さんと共に名前を名乗るシーンで「うお~っ、おやっさんと滝、ずっと近くにいたんだ!」と心中で叫びながら見てました

  3. 名乗る程の者ではございません より:

    朝顔って夕方で咲いてる?
    ググったら万葉集の朝顔は実は桔梗だったという説が有力とのこと
    桔梗、明智光秀の家紋の花
    助教授が教授への謀反を起こすフラグ?
    実際に光秀も本能寺の前に謀反起こすぞという短歌詠んでいるしね

    古典の短歌は好き
    スイーツ短歌は大嫌いなワイ

  4. よるは去った より:

    政市「私は日本文学が好きなのだ・・・・・・・。」

     本当は日本文学研究の道へ進みたかったのでしょうね。
     そんな徳永助教授にとって、心から好きな「植物学」を研究というより楽しんでいる万太郎君の姿は「羨ましい」の一言なのでしょうね。

  5. 還暦のたつお より:

    名乗る程の者ではございません様、テレビ版の後日譚である映画版「昼顔」ですが、別に見る必要はありませんが、結末がほぼホラー映画でした。この時ほど伊藤歩さんという女優さんを恐ろしく思った事はありません。また被害に遭うのが人間離れした役の多い斎藤工(ウルトラマン)さんだったし。伊藤さんの.主演でクリント・イーストウッド監督の「恐怖のメロデイ」のリメイクしないかな。
     夜食はいつものうどん。「辞めるのか?」下町定番の早とちり。前田さん役の阿部亮平さん、ジャニーズに同姓同名の人がいますが、別人です。太めの大男で、悪役が多いのですが、愛嬌のある顔立ちなので善人役も多いです。朝ドラでは他に「つばさ」に出演しています。
     田邊教授、腹黒全開。徳永助教授、ユウガオと「万葉集」万太郎さんへのシンパシー。

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