2024/5/8(木)第6週「くるしむのか愛するのか」
あらすじ
自分の気持ちを伝えろとのぶに背中を押された蘭子は、作業中の豪のもとへ行きました。しかし蘭子は、自分の気持ちを伝えることができませんでした。豪もまた自分の気持ちを打ち明けようとするもののお礼の言葉しか口にできませんでした。
そんな中で豪の壮行会が始まりました。豪は朝田家の人々に感謝の気持ちを伝え、釜次に促された朝田家の三姉妹は「よさこい節」を披露。蘭子の姿を見ていた豪はたまらなくなり、席を外すと一人朝田家を出発しようとしました。
朝田家を去る豪を蘭子は追いかけました。自分を追ってきた蘭子に対して豪は言いました。お願いがある。無事に戻ってきたら結婚してほしいと。蘭子は豪の申し出を心から喜び、戻ってきてほしいと豪に言いました。
そこへ羽多子が駆けつけました。羽多子は、間も無く入隊する豪と蘭子を二人きりにしてやろうと、蘭子の着替えを用意してきたのです。羽多子とのぶに見送られ、豪と蘭子は夜汽車に乗って一夜だけの旅に出るのでした。
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感想
今回だけで、一編の独立した短編映画のような回でした。
ブログ主の中では神回としていつまでも記憶に残る回になりそうです。
蘭子ちゃんを演じる河合優実さんと、豪くんを演じる細田佳央太さん、二人の名演が美しすぎました。
気持ちを告げられなかった蘭子ちゃんと豪くん
「今回だけで一編の独立した短編映画」とは言いましたが、やはりこれまでの積み重ねが今回に効いてきたのは確かです。
前回、豪くんはヤムおじさんに誘われ釣りへ。
そしてヤムおじさんとの会話の中で豪くんの意中の人が確定しました。
ヤムおじさんが、のぶでないことは確かだろう、メイコはまだ子供と消去法を使って豪くんを追い込み、豪くんもその消去法を受け入れるような言葉を返しました。
この会話で確定です。
そして豪くんの意中の人が確定したことを受けて今回。
のぶちゃんに背中を押された蘭子ちゃんは、自分の気持ちを打ち明けようと仕事をしている豪くんのもとへ。
しかし豪くんを目の前にして自分の気持ちを言い出せなくなる。
一方の豪くんも、蘭子ちゃんに対して「ずっと・・・」と言いかけました。
きっと、ずっと好きでしたと言いたかったのでしょう。
豪くんも自分の気持ちを打ち明けたかったに違いない。
そしてそのチャンスは今にしかないと考えたのでしょう。
しかし「ずっと・・・」の後の数秒の沈黙の後に出てきた言葉は「ずっとお世話になりまいた」というただの挨拶の言葉。
こんな言葉を言われてしまったら蘭子ちゃんはもう何も言えません。
蘭子ちゃん、挨拶を返して立ち去ってしまいました。
蘭子ちゃんが立ち去った後の豪くん。
悔やんでも悔やみきれない気持ちだったかと。
蘭子ちゃんと豪くんが一夜だけの旅に
そして豪くんは、蘭子ちゃんに気持ちを伝えられないまま壮行会へ。
よさこい節を歌う蘭子ちゃんの姿、豪くんはこれ以上見ていられなくなったらしい。
壮行会に集まった面々が酒に酔って騒いでいるすきに豪くんはそっと立ち去ろうとする。
長年、お世話になった朝田家に深々と頭を下げて一人立ち去る豪くん。
いかにも豪くんらしい去り方でした。
しかし、豪くんが席をはずす瞬間を蘭子ちゃんは見逃しませんでした。
豪くんのことを誰よりも理解しているであろう蘭子ちゃん。
豪くんが朝田家を去ってしまうことを察したのでしょうか。
蘭子ちゃんは豪くんを追いかけました。
そして、蘭子ちゃんが口にした言葉が泣けます。
「豪ちゃんは足が遅いき弾に当たらんか心配や」
蘭子ちゃんが自分を追いかけてきたこと。
そして蘭子ちゃんのこの言葉。
豪くん、やっと自分の気持ちを打ち明けようと心が固まったらしい。
「無事に戻ってきたらわしの嫁になってください」
朝ドラ史上、最も美しいプロポーズの場面となりました。
羽多子さんのはからい
羽多子さんのはからい、最後にダメ押しされました。
「今夜は戻ってこなくていい」
「蘭子をよろしくお願いします」
「花嫁衣装も用意してやれんでごめんね」
この簡潔な言葉だけですべて分かります。
羽多子さんは蘭子ちゃんと豪くんを一夜だけ夫婦にしてあげたのでしょう。
羽多子さんのはからいもまた美しすぎました。
予習レビューと史実のリアルエピソード
これまで一定の距離は保ちながらも、いつも心と心がつながっていたのぶちゃんと嵩くんのすれ違いの始まり。
それが、ブログ主の中での今週の二大トピックの一つです。
ブログ主の中での今週の二大トピックのもう一つ、それは次回の本欄でお伝えします。
今回の本欄では、のぶちゃんと嵩くんのすれ違いの始まりについて予習レビューをまとめます。
のぶちゃんと嵩くんのすれ違い
のぶちゃんと嵩くんの間にすれ違いが生じてしまう理由。
それは、二人が入学した学校の校風の違い。
そして二人の担任教師の考え方の違いにあります。
のぶちゃんが入学した女子師範学校では、のぶちゃんの受験の日から怖そうな先生がその後のフラグとして登場していました。
受験会場に閉門直前で迎えた、門を閉める眼光の鋭い先生。
面接試験では、のぶちゃんに対して厳しい言葉を次々に浴びせかけ、のぶちゃんが合格の自信を失う原因にもなった怖い先生。
あの怖い先生はまた、規律を愛し自由を嫌う先生です。
そんな先生の考え方が、入学後ののぶちゃんの考え方をじわじわと変えていきます。
一方、嵩くんが今週から通い始める美術学校の担任教師は、女子師範学校の怖い先生とは正反対のキャラです。
自由を愛し生徒たちにも自由にさせる、そんな先生です。
女子師範学校の先生は、生徒たちの卒業後の在り方まで決めてしまいます。
卒業後の在り方とは具体的には大和魂を持ったお国のために尽くす教師です。
それ以外の将来像は認めません。
一方、美術学校の先生はデザインを学んだからといってデザイナーになる必要なんてないとまで言い切る自由な考え方の持ち主。
卒業後、タップダンサーになったって構わない。
将来像は完全に生徒任せです。
そんな正反対の先生に学んだら、のぶちゃんと嵩くんがお互いに別世界の人になってしまっても不思議ではありません。
戦争の緊張感はまだない東京高等芸術学校
女子師範学校では、戦争が始まったことで戦争への女子としての心構えが訓示されます。
一方、美術学校では戦争の「せ」の字すら出ない。
戦争の緊張感はまだありません。
そんな中、嵩くんの目下の悩みは画力に自信を失いかけたこと。
自分のことで悩んでいられるほど平和ということです。
そして自信を失いかけているタイミングで、嵩くんは図案コンクールに応募して入選します。
賞金は50円。
賞金が大金なので、それなりの権威ある図案コンクールなのでしょう。
画力に自信を失いかけているタイミングだったこともあり、嵩くんは浮かれてしまうようです。
大金も入り気持ちが大きくなってしまう嵩くん。
高知の千尋くんに電話します。
当時、遠距離通話はかなりな高額になるはずです。
高知まで電話してしまうところに嵩くんの浮かれっぷりがよくあらわれています。
さて、嵩くんからの電話が来たとき、のぶちゃんは実家に帰ってきていました。
そこで千尋くんは気を利かせてのぶちゃんを柳井家に連れてきます。
嵩くんとの電話を一旦切って、のぶちゃんが柳井家に来たタイミングで、もう一回のぶちゃんに電話してもらうわけです。
ところで嵩くんが高知に電話した際、嵩くんの背後では浮かれた美術学校の学生たちが大騒ぎしています。
その大騒ぎを電話越しに耳にしたのぶちゃんが嵩くんに言います。
兵隊さんは命がけで戦っている、そんな時に嵩は何をしているのだと。
そしてのぶちゃんは、「ドアホ!」と一喝して電話を切ってしまいます。
のぶちゃんと嵩くんのすれ違いが顕在化する瞬間です。
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蘭子ちゃん、良かったね。
豪ちゃんの気持ちも知れたし、自分の気持ちもちゃんと伝えることが出来た。
汽車の中の幸せそうな2人が印象的でした。
羽多子さんの、粋な計らい。
ちゃんと一人ひとりをよく見ていて家族思いで愛情深く、決断力があって行動力もあって…。
あんなお母さんでありたかった。
いつになく生真面目なヤムさん。
やっぱりヤムさんは戦争経験、従軍経験があるのでしょうか。
戦争の、戦場のリアルを知っているからこそ、豪ちゃんをそんなところに行かせたくはなかった。
観念だけで名誉だ武運だと浮かれている釜じいたちが、我慢ならなかったのかな。
思いが伝わらないほうが今後つらい思いをしないのではないか、
限られた時間がせまる中それでも娘の気持ちを後押しすることに賭けた母の
花嫁衣装も用意してやれんでごめんね
母の思いに感涙しました。
羽多子さん、見事なタイミングで一触即発の事態を止める。それにしてもヤムおじさん見ているとこの前の「ファミリーヒストリー」の三国連太郎さんの戦時中のエピソードを思い出すんだなあ。