2023/7/20(木)第16週「コオロギラン」
あらすじ
万太郎と藤丸が植物採集の旅に出ました。一方、万太郎と藤丸が旅に出ている間に『日本植物志図譜 第二集』が植物学者の野田と里中のもとに送り届けられました。野田と里中は、涙ながらに万太郎の成果を祝福しました。
『日本植物志図譜 第二集』は田邊のもとに送り届けられました。田邊は、画工の野宮に命じました。万太郎が描いたのと同じ水準の植物画を描くように。これから日本の植物学会の植物画は万太郎の植物画が基準になるのだと。
田邊の厳しい注文に応じるために、野宮は波多野に顕微鏡を使った観察方法を教えてもらえないかと頼み込みました。波多野は野宮の頼みに応じるとともに、自分と組んで植物画を描いてほしいと野宮に頼みました。
万太郎が植物採集の旅に出て三週間が経過。8月になり、万太郎の帰りを待つ寿恵子は妊娠9ヶ月になっていました。そんな中、旅先の万太郎から大量の植物標本が送られてきました。その中に、万太郎が寿恵子に宛てた手紙が添えられていました。
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感想
このところ気を病む藤丸くんや失意の田邊教授などネガティブな出来事が続いていました。
そんな中で描かれた野田先生と里中先生が涙ながらに万太郎くんを讃える場面。
波多野くんと野宮さんが心を通い合わせる場面は、乾いた心に潤いをくれました。
野田先生と里中先生
野田先生と里中先生のお二人が登場するたびに思います。
万太郎くんが、野田先生と里中先生の二人のもとで研究をしていたらどれほど幸福だったのかと。
万太郎くんの学者としての成長を、野田先生と里中先生は見守り続けてくれたはず。
野田先生と里中先生は「自分のものになりなさい」などとも言わなかったはず。
しかし野田先生と里中先生は、東京大学の方が研究の環境が整っていると考え、万太郎くんに推薦状を書いてあげたのでしょう。
田邊教授があんなに面倒くさい人であることも、野田先生と里中先生は知らなかったに違いない。
だから良かれと思って万太郎くんを東京大学に紹介したのだと思います。
というか、そもそも史実の中で、リアル万太郎くんはリアル田邊教授のもとで研究していたのだから、ドラマの中でもそのように描くしかないのですが・・・
今のところ万太郎くんはまだ東京大学への出入りを許されています。
しかし翌々週には、田邊教授から追放されることが確定。
万太郎くんの受難の日々が始まるようです。
史実の中のリアル万太郎くんも、東京大学を追い出されて以降、受難の日々を過ごしています。
受難の日々の中で救いの手を差し伸べてくれる人もいれば、その救いの手をいきなり離されてしまうようなことも。
ドラマの中で、それら受難の日々がどこまで再現されるかはまだわかりません。
しかし万太郎くんの受難の日々の描写を見ながら、より強く思うことになるのでしょう。
万太郎くんが、野田先生と里中先生の二人のもとで研究をしていたらどれほど幸福だったのかと。
波多野くんと野宮さん
田邊教授から厳しい命令を受けた野宮さん。
田邊教授からの難しい注文に応じなければ失職してしまうので必死です。
しかし、あんな仕事の依頼のされ方をして、どれほど苦痛だったか。
野宮さんのような経験豊富な方なら、努力すれば田邊教授が求める水準には達するのでしょう。
多少の時間はかかるかもしれませんが、努力次第で万太郎くんが描く植物画と遜色のない植物画を描けるようになるかと。
しかし、万太郎くんの水準を目指すための努力の意欲が、あんな命令のされ方ではわいてこない。
そんな野宮さんにとって、波多野くんが救いになりました。
波多野くんが野宮さんに求めたことも、かなり難しい仕事です。
しかも万太郎くんがまだ出来ていない仕事を求められたわけです。
しかし波多野くんの頼み方ならば、野宮さんの中で努力への意欲が大いにわいているかと。
野宮さん、救われましたね。
一方の波多野くんも追い詰められていました。
藤丸くんという相棒がいなくなったのが痛手だったのかな?
実際、藤丸くんが大事にしていたウサギを波多野くんは抱いていたので。
波多野くんがあそこまで追い詰められていた理由はよくわかりませんが、波多野くんも野宮さんに救われたようです。
予習レビュー
前回の本欄で紹介した「破門草事件」について、詳細を時系列に沿ってまとめてみます。
まずはリアル孝光くんの動きから・・・
1875年(明治8年)
リアル孝光くんの叔父上・伊藤謙が戸隠山で「トガクシソウ」採集し小石川植物園に植栽。翌年に開花。
1880年(明治13年)
伊藤謙が28歳で早逝し、リアル孝光くんが叔父上の研究を引き継ぐ。リアル孝光くんはこのとき13歳。
1883年(明治16年)
リアル孝光くんは、叔父上が小石川植物園に植栽した「トガクシソウ」の標本をロシアのマキシモヴィッチ博士に送付。
1886年(明治19年)
マキシモヴィッチ博士は「トガクシソウ」を、ロシアの学術誌「サンクト・ペテルブルク帝国科学院生物学会雑誌」にメギ科ミヤオソウ属の一種として発表。
一方、リアル田邊教授は・・・
1884年(明治17年)
リアル田邊教授は戸隠山で「トガクシソウ」を採集し小石川植物園に植栽。
1886年(明治19年)
リアル田邊教授が小石川植物園に植栽した「トガクシソウ」が開花。
1887年(明治20年)
リアル田邊教授は「トガクシソウ」の標本をマキシモヴィッチ博士に送付し検定を依頼。
1888年(明治21年)
マキシモヴィッチ博士は「本種はメギ科の新属であると考えられ『Yatabea japonica Maxim.』の学名をつけたいが、正式な発表前に標本を送ってほしい」と回答。
一連の流れをリアル田邊教授から聞いたリアル孝光くんは・・・
1888年(明治21年)
イギリスのケンブリッジ大学に私費留学していたリアル孝光くんが帰国。
1888年(明治21年)
自分が発表した「トガクシソウ」は、ミヤオソウ属の一種ではなく新属であることを知り、その新属名にリアル田邊教授の苗字が付けられることも知る。
1888年(明治21年)
焦ったリアル孝光くんは、イギリスの植物学雑誌「Journal of Botany, British and Foreign」に「トガクシソウ」を新属「Ranzania T.Itô」として自分の苗字をつけて発表。
1888年(明治21年)
リアル田邊教授の苗字がついた学名は無効となり、激怒したリアル田邊教授はリアル孝光くんを植物学教室の出入り禁止処分に。
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藤丸くんが可愛がっていたウサギの世話をする波多野くん。
浮かない表情は、波多野くんにも藤丸くんが発した言葉が刺さったのでしょうか。
一方、天才・万太郎くんの画力によって日本の植物学会の植物画のスタンダードが塗り替えられてしまい、そのニュースタンダードに合わせた絵を描くよう田邊教授から無茶振りされ、苦悩する野宮さん。
その野宮さんから依頼され話をするうち、波多野くんは自らの原点を再発見したようです。
分からないことを知りたい、見えないものを見たい。
それが、学問の原点なのでしょう。
徐々に情熱を取り戻していく波多野くんの様子は、見ていて胸が熱くなりました。
親友である藤丸くんが大学を辞めてしまうかもしれない状況
教授に万太郎くんと同じレベルの研究内容を求められる状況
ダブルパンチで波多野くんが絶望してましたね…
波多野くんが野宮さんが協力するシーン。
藤丸くんが見えない未来を探していることに影響された、そんな背景を想像させてワクワクしました!
植物学に関係する人が前に進んでいるが、教授はどう変化していくのか
先が気になります
万さん、妊婦の奥方を置いて植物採集の旅へ、同じことをうちでやったら殺される。図譜が植物園へ、出来栄えに感動する里中先生と穴山梅雪。田邊教授、焦りからパワハラ全開。野宮さん可哀そう。波多野さんにとばっちりが。ただ波多野さんのアドヴァイスと協力が野宮さんを救う。波多野さんがいて良かった。寿恵子さんを心配する長屋女性陣。早産だと確かにまずい。標本だけが帰って来る。作業が大変。同封された手紙とは?