2023/8/3(木)第18週「ヒメスミレ」
あらすじ
万太郎は、ロシアのマキシモヴィッチ博士に手紙を書きました。万太郎はロシアでマキシモヴィッチ博士に雇ってもらうつもりでいました。そして、ロシアまでの渡航費用は峰屋に相談しようと考えていました。
その年、峰屋では綾が新しい酒づくりに挑んでいました。そして竹雄を驚かせるような、爽やかな味わいの酒ができつつありました。新しい酒を試飲しながら、竹雄は幸せを噛みしめていました。
そんな中、峰屋で騒動が起きました。新しい酒に腐造が出たのです。峰屋ではすべての酒を廃棄しました。峰屋は税金を納めることも困難となり、竹雄と綾は峰屋の廃業を余儀なくされました。竹雄と綾は働き手たちに頭を下げて詫びました。
峰屋の暖簾を下ろすことになり、失意の綾を竹雄は励ましました。そのころ、万太郎の家では騒ぎが起こっていました。園子が高熱を出し、熱が下がらなくなったのです。園子を診た医師は、風邪ではなく麻疹ではないかと診断しました。
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感想
峰屋
竹雄くんが綾ちゃんと一緒に暮らせることに幸せを感じていた直後の不幸。
予告映像の中で竹雄くんが血相を変えて峰屋の廊下を走る場面がありましたが、その場面が登場しました。
そして竹雄くんが幸福をかみしめる表情から始まった今回は、一転して竹雄くんと綾ちゃんがすべてを失う展開に。
史実では、このタイミングではリアル峰屋は資金繰りに窮するものの、廃業にまでは至っていません。
そして史実では、リアル峰屋の資金ショートの原因は、当主不在の経営とリアル万太郎くんへの多額の仕送りでした。
ドラマの中では、万太郎くんが当主の座を譲ったため「当主不在の経営」ではなくなっています。
万太郎くんが実家に仕送りも求めなくなったため、こちらの問題もクリア。
リアル峰屋が行き詰まった原因がドラマの中では取り除かれていたわけです。
だから、竹雄くんと綾ちゃんの結婚が決まったとき、ブログ主は二人の前途は明るいものと期待していました。
綾ちゃんが峰屋を、より立派な酒蔵に育て上げる展開を期待していました。
立派な酒蔵に育て上げる過程で、ある程度の困難は経験するだろうとも考えていましたが、まさか廃業にまで追い詰められてしまうとは。
史実よりも厳しい展開となりました。
次週、上京した竹雄くんと綾ちゃんが再起に向けて動き始めるところまでは判明しています。
その先はまだ不明。
竹雄くんと綾ちゃんが再起に成功するかどうかはまだ明らかになっていません。
願わくば、二人には峰屋を再興させてほしいものです。
「火落ちじゃ」
峰屋に騒ぎが起こったとき、親方が「火落ちじゃ」と言いました。
「火落ち」とは何か?
調べたところ、今回のドラマでブログ主が解せなかった点まで解決できました。
「火落ち」とは「火落ち菌」が繁殖する現象です。
「火落ち菌」とは乳酸菌の一種。
細菌類はアルコールに弱いのですが、「火落ち菌」はアルコール度数が25%程度でも死滅することなくアルコールへの耐性が強いことが特徴。
そして「火落ち」すなわち「火落ち菌」が繁殖し品質が劣化すると「腐造」に。
火落ちした日本酒を飲んでも人体への悪影響はないそうですが、白濁し酸味が強くなり異臭を放つため飲むに耐えない状態になってしまうのだそうです。
ところでブログ主が納得できなかった点。
それは銀行からの融資を受ければ、峰屋の再建はできるのではないか。
なぜ、そうしないのかという点です。
この疑問についてもその答えが見つかりました。
明治の終わり頃まで、腐造のリスクをともなう酒造業は不安定な業種とみなされ、銀行は融資をしなかったのだそうです。
ところで酒造りのプロセスで「火落ち菌」の繁殖を防ぐために加熱をするのですが、峰屋では爽やかな味わいを出すために加熱を抑え気味にしたようです。
そのことが「火落ち菌」の繁殖を招いてしまったものと思われます。
園子ちゃん
不幸続きの回でした。
万太郎くんがロシアまでの渡航費用を峰屋に相談しようと言い出した矢先の峰屋の廃業。
これでロシアまでの渡航費用調達は難しくなったわけですが、今度はロシアへの渡航どころではなくなるような事態に。
しかし・・・
万太郎くんの受難はまだまだ続きます。
「いいことの後には悪いことがある」という福治さんの不吉な予言が呪いのようです。
予習レビュー
史実では、リアル万太郎くんは東京大学への出入りが禁じられ、ロシアへ渡ろうと決意するもののマキシモヴィッチ博士が急死。
それまで快進撃が続いていたリアル万太郎くんは一転して受難続きの状態に。
さて、リアル万太郎くんの受難はまだまだ続きます。
リアル万太郎くんはとにかくお金に困っていました。
出版には多額の費用がかかり、植物採集の旅にもお金がかかる。
その一方でリアル万太郎くんがやっていることはお金にならないことばかり。
ついに研究資金がショートしたリアル万太郎くんは実家に仕送りを頼むと、まさかの回答が返ってきました。
もう仕送りできるお金がない。
当時、リアル万太郎くんは実家の家業の経営を、番頭の和之助氏といとこの猶(なお)さんに任せていました。
おそらく番頭の和之助氏は竹雄くんの実在モデル、猶さんは綾ちゃんの実在モデルかと思われます。
さて、仕送りの催促に対して返信したのはいとこの猶さん。
経営が行き詰まり、もう仕送りできるお金がないと返信してきたのだそうです。
実家の経営の行き詰まりがドラマの中で再現されるかどうかは不明ですが、今週のどこかで綾ちゃんと竹雄くんが窮地に立たされることだけは判明しています。
峰屋もいよいよ危ないのかもしれません。
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宮尾登美子先生の小説「蔵」を思い出しました。NHKがドラマ化した際には盲目のヒロイン烈ちゃんの幼女時代を子役だった井上真央さん、成長後は松たか子さんが演じた名作です。このドラマでも腐造に見舞われた酒蔵が大打撃を受ける様子が描かれました。また、女性が蔵元をめざす、蔵人に恋心を抱く(このドラマでは思いが成就して結ばれる話でした)などの点も似ていて、そのあたりは史実とこの小説とドラマへのオマージュ(小説の舞台は新潟ですが、宮尾先生は高知出身ですから)を織り交ぜているのかな。「らんまん」もそうですが、酒蔵の風景に独特の陰影と空気感を漂うところまで映像化されていて美しいですね。そういう風景に負けない存在感ある女優さんということで、今回の綾様を演じた佐久間由依さんも素晴らしい。井上真央さんや松たか子さんに負けず劣らず、今後の成長がますます楽しみです。
火落ちじゃ
嶋尾康史さん
阪神タイガース在籍時には決して芳しい成績だったとは言えませんが、俳優かつ野球関連のタレントに転身なされてご活躍なされているのは喜ばしいですね
水原勇気編が開始される前の月イチ掲載だった頃の「野球狂の歌」の一編みたいだわ
しかし、あれだけの語学力があるのだから、他に収入の道は無かったのか?研究第一なのは分かるが。幸吉さん。久々に聞く名前。酒蔵としては致命的な腐造を出した。その上酒税の取り立てが。峰屋衰亡の原因が万さんでなかったのはせめてもの救いなのか?万さんのロシア行きにも暗雲が。のれんを下す。倒産というよりは表現が柔らかいが結果は同じ。(昔の大阪発の商家のドラマで良く聞いた言葉)。不幸はたて続けに。園ちゃんの運命、史実通りか?