2023/8/17(木)第20週「キレンゲショウマ」
あらすじ
女学校の廃止が決まり失意の田邊は、聡子に背中を押されながら植物の研究にこれまで以上に打ち込むことにしました。その年の夏、田邊は学生たちとともに伊予の石鎚山に植物採集の旅に出かけることにしました。
同じころに万太郎のもとに、虎鉄から植物標本が届けられました。万太郎のもとに届けられた植物は、虎鉄が伊予の石鎚山で採集したものでした。その植物の標本は万太郎が見たことがないものでした。
一方、田邊と学生たちが植物採集の旅から帰ってきました。田邊たちが伊予の石鎚山で見つけた植物は、誰も見たことがない新種と思われる植物でした。そしてその植物は、万太郎のもとに送られてきた植物と同じものでした。
田邊は学生たちに告げました。伊予の石鎚山で見つけた植物は新種であることが考えられる。植物学教室をあげて研究を進めようと。そんな中、田邊は大学内で失脚するものの、西洋の植物学者に向けてある宣言をしました。
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感想
田邊教授と聡子さん
前週、田邊教授と聡子さんを「モデル」にした新聞小説の騒動が勃発。
この騒動は、その後それほど拡大することなく収束を迎えました。
一見すると、あれほどの騒動が何らの回収のないまま終わったかに見えますが、回収されたのは騒動ではなく騒動に対する聡子さんのリアクションでした。
騒動の渦中、寿恵子ちゃんが田邊邸にやってきましたが、田邊教授はかなり失礼な言葉を寿恵子ちゃんに浴びせかけました。
その田邊教授の態度に対して聡子さんが反論しました。
それは、聡子さんが始めて見せた田邊教授への態度でした。
この聡子さんの変化を見せることが「騒動」を描いた目的だったことが今回の聡子さんの言動ではっきりとしました。
前回の終盤から今回の冒頭にかけて、聡子さんは「騒動」のとき以上に田邊教授に対して凛とした態度を見せました。
「騒動」の際の聡子さんの変化がもし描かれていなかったら不自然に見えていたかと。
あの「騒動」で聡子さんは変わりました。
一方、大学の中では誰の意見にも耳を貸さないような不遜な振る舞いを続ける田邊教授が、家に帰ると聡子さんにだけは妙に優しい。
いつだったから聡子さんが田邊教授のことを「かわいい」と表現しました。
聡子さんがそこまで言うほど、田邊教授や聡子さんに優しいのでしょう。
聡子さんにだけは優しい田邊教授の複雑な性格も今回の冒頭に回収されました。
聡子さんの説得だからこそ田邊教授は失意から立ち直ることができたのでしょう。
聡子さんの説得の言葉が大窪さんから出ていたとしても田邊教授は相手にしなかったに違いない。
仮に万太郎くんが言ったら田邊教授を怒らせるだけ。
田邊教授とその周辺のこれまでの描写が回収され、田邊教授の立ち直りへとつながりました。
しかし次週の月曜日には・・・
これ以上は本欄では伏せておきます。
田邊教授の「日本の植物学史上に残る宣言」とは
今回の最後のナレーションによって説明された「日本の植物学史上に残る宣言」とは『泰西植物学者諸氏に告ぐ』のことです。
泰西とは当時使われていた言葉で「西洋」という意味。
海外向けに発表された宣言のタイトルは「A few words of expla-nation to European botanists」
内容はざっくりと次のとおりです。
私が日本の植物研究を始めてから10年、その間に新種と思われる植物がいくつもあった。
その度に、その植物の標本を欧米の学者に送り研究の協力を求めたものの、満足できる回答を得ることはほとんどなかった。
日本の植物学が始ったころ、日本には研究に使える標本は一点もなく、文献もなかった。
しかし、今では十分な数の植物標本が揃っている。
そこで私は、欧米の学者に頼らず、自力で植物の研究を進め発表する決心をした。
以上が宣言のざっくりとした内容。
なおリアル田邊教授は、この宣言の後にシチョウゲ、ヒナザクラの2新種を発表。
ついで新属新種キレンゲショウマを発表。
キレンゲショウマが、今回のドラマの中に登場した伊予の石鎚山で見つけた植物です。
予習レビュー
今週は、万太郎くんを大学から追放した田邊教授ご自身が、大学から追放されるエピソードが描かれます。
ドラマの中では田邊教授の恩人である森文部大臣が暗殺。
後ろ盾を失ったことで田邊教授が失脚するという展開になるようです。
では史実では何が起こっていたのか。
史実の中のリアル田邊教授も東京大学から非職(停職)処分を下されています。
しかし処分が下った理由は諸説あるようで
・東京大学学長との対立
・学内での人間関係の悪化
が理由としてあげられています。
一方、リアル万太郎くんは自叙伝の中でリアル田邊教授のら非職処分の理由に言及。
「その(非職)原因は、菊地大麓先生と矢田部先生との権力争いであったといわれる」
としています。
菊地大麓先生とは、帝国大学理科大学学長。
また、菊地大麓氏とその弟で大学教授でもあった蓑作佳吉氏が結託してリアル田邊教授を大学から追放したという噂が当時の学内に流れていたとの記録も残されています。
よって、上に述べたリアル田邊教授追放の理由の諸説のうちの一つ「東京大学学長との対立」が、大学追放の理由として有力と考えられます。
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聡子さん覚醒。
いったいいつの間に、あんなに強くなったのでしょう。
いえ、聡子さんはもともと、言われたことをするだけの女性ではありませんでした。
「中で待て」と言われても、自分が外で待ちたければ外で待つ、自分の考えを持って行動できる女性でした。
寿惠子ちゃんに触発されたとはいえ、あの強さは聡子さんが本来持っていた強さなのでしょうね。
大切な人を守り、支えなければ。
その思いが聡子さんをさらに強くさせたのでしょう。
うろたえる古株の女中さんを片手で制し記者たちの前に立った姿には、威厳さえありました。
そんな聡子さんの言葉の裡に深い愛情と尊敬の念があったからこそ、田邊教授も素直に受け入れ変わることが出来たのですね。
以前の田邊教授なら、あんなに他人に深々と頭を下げることなんてなかったでしょう。
愛用のバイオリンをケースに仕舞い、埃まみれになっていたどうらんを取り出してその埃を払う。
とても象徴的なシーンでした。
そして再び登場の、なすびさん。
荷物を受け取る側だったのが、今度は荷物を届ける側になっているのが愉快です。
東大学長・菊地教授の後任が山川健次郎
元会津白虎隊で「八重の桜」でも主要人物
というか、演じた勝地涼さん
隣のスタジオで「あまちゃん」撮影してる場にちょくちょく顔出していて出てみるかとなり演じたのが前髪クネ男、イェール大学で物理を学び立派になり帰国したシーンの二日後
ワンクールのレギュラーよりも一回の伝説
エガちゃんの名言を体現してましたね
以前、万太郎くんの天真爛漫力で周囲の人が立ち直ったり、学問の楽しさに目覚めたりして希望の花が咲くと書きましたが、
嫉妬の権化田邊教授に希望の花を咲かせたのは、万太郎くんではなく聡子さんでした
そして、もともと芯は強かったろう聡子さんに、きっかけを与えたのが寿恵ちゃん
借金取りも撃退するし、寿恵ちゃん最強です
長らく学問の成果によって得られる名誉にばかり囚われていた田邊教授でしたが、今回初心に戻って学問そのものの楽しさを思い出しました
彼自身にとっても久しぶりで新鮮な感情だと思いますが、視聴者にとっても初めて見る姿で新鮮です
聡子さんの説得。田邊教授を立ち直らせるか?「ありがとう聡子。」失意からの第一歩。「そんな強いお父様をお守りできるのは、私とあなたたちだけなの。」あなたたちの方が強い。野次馬を一言で退散させた。偶然、石槌山から同じ植物を入手した万さんと田邊教授。美作一派に牛耳られた学内。田邊教授にさらなる受難。せっかく本来の姿に立ち戻ったというのに。