らんまん

田邊が非職を命じられる / らんまん 第100回

2023/8/18(金)第20週「キレンゲショウマ」

あらすじ

田邊は伊予・石鎚山への植物採集の旅で発見した新種と思われる植物の研究に没頭しました。同じころ、虎鉄から送られてきた植物が新種ではないかと考えた万太郎もまた、その植物の研究に没頭しました。

その植物を新種として認定するには果実が必要でした。田邊は果実を手に入れるための手配を大窪に指示しました。ほどなくして田邊はその植物の果実を入手し、その植物が新種であると認定。「キレンゲショウマ」と名付けて発表しました。

田邊が新種を発表した植物学雑誌を波多野に見せられた万太郎は、田邊を心から祝福しました。一方で自分を支えてくれた聡子に感謝する田邊は、子供たちを連れて海に行きたいという聡子の願いを受け入れました。

しかし、その直後に田邊は東京大学から非職を命じられました。そして、植物学教室では田邊の後任としてドイツ留学から帰国した徳永が教授に就任。田邊は植物学教室から去って行きました。

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感想

田邊教授の物語が終わりました。

次週の冒頭に田邊教授がらみの重大な出来事がありますが、田邊教授の心の闇が救われたのは間違いなく今回。

そういう意味で田邊教授の物語が終わりました。

そこで、田邊教授の物語の終了を機に、これまでの田邊教授を振り返ってみます。

田邊教授の物語

田邊教授が登場したのは万太郎くんが紹介状を携え植物学教室を訪問したときのこと。

このころの田邊教授には余裕がありました。

徳永さんたちの反対を押し切って万太郎くんが大学に出入りすることを許したり。

他の学生たちを差し置いて、学生でもない万太郎くんを音楽会に連れて行ったりと。

しかし、このころから万太郎くんをうまいこと利用してやろうと考えていたのは間違いない。

そんな腹黒さが日に日に肥大し、ついに徳永さんに違和感を感じさせるほどに。

そして腹黒さが肥大するにつれ、万太郎くんへの嫉妬心もまた肥大したものと思われます。

徳永さんが田邊教授の腹黒さに違和感を感じ始めたころ、万太郎くんは寿恵子ちゃんとの祝言をあげるために故郷の土佐へ。

万太郎くんが土佐に行っている間、万太郎くんのそれまでの研究が認められ、万太郎くんは一躍ときの人に。

ここで田邊教授の万太郎くんへの嫉妬心は一線を超えてしまったのでしょうか。

万太郎くんが土佐から帰って早々のタイミングで、田邊教授が万太郎くんに対して言ったあのセリフが登場します。

「私のものになりなさい」

しかし当然のことながら万太郎くんはこれを拒否。

田邊教授の中での万太郎くんへの嫉妬心が憎悪に変わった瞬間だったような気がします。

その後、万太郎くんは研究成果を次々と発表し快進撃を続けました。

一方で田邊教授は新種発表の機会を奪われる苦難を経験。

その直後の「ムジナモ」騒動です。

田邊教授の指摘により「ムジナモ」が新種であるらしいと判明したにも関わらず、万太郎くんは論文に田邊教授の名を入れることをしませんでした。

この一件で田邊教授は万太郎くんを追放。

その直後に田邊教授が口にしたセリフが

「私の魂はようやく自由になった」

つまり万太郎くんへの嫉妬心や憎悪から解放されたのでしょう。

その後、田邊教授は後ろ盾を失ったことで二つの学校の校長職を失ったものの、聡子さんからの助言で権力欲からも自由になりました。

心の闇から解放されたことでようやく植物学に専念しようと思った矢先での大学からの追放。

波乱に満ちた田邊教授のドラマでした。

海:ネタバレあり

誕生日の祝いをしたいと田邊教授から言われた聡子さんが海に行きたいと言いました。

この場面の田邊教授と聡子さんの会話。

よくありがちな夫婦の会話に過ぎません。

しかし・・・

リアル田邊教授の最期を知っている人ならば。

次週のドラマの中での田邊教授に何が起こるかを知っている人ならば。

あまりにも重く悲しい聡子さんの言葉です。

以下、ネタバレを含みます。

次週、田邊教授は遊泳中に溺死します。

これは史実にもとづいたエピソードです。

史実にあることなのでドラマの中でも再現したのでしょうが、ブログ主には違和感がありました。

これまでのダークな田邊教授と明るい海水浴のイメージがどうしても結びつかない。

その違和感が今回やっと消えました。

海水浴は聡子さんからお願いされたことだったのかと。

これで違和感は消えましたが、今度は聡子さんが心配になってきました。

聡子さんの性格から考えて、田邊教授の死のきっかけを作ってしまったと自分を責めることになるのではないかと。

聡子さんが自分自身を責めないで済むような田邊教授の最期であることを願うばかりです。

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予習レビュー

今週、大学を追放された田邊教授はようやく新種の発表を行い成果をあげることができました。

田邊教授が新種として発表した植物が今週のサブタイトルになっている「キレンゲショウマ」です。

リアル田邊教授が愛媛県の石鎚山で「キレンゲショウマ」を採集したのは1888年(明治21年)。

2年後の1890年(明治23年)に、リアル田邊教授は「キレンゲショウマ」を新種として発表しています。

しかし、その翌年の1891年(明治24年)に、リアル田邊教授は東京大学から非職処分を下されました。

参考までに、ドラマの中でも描かれた当時の日本の植物学の出来事を時系列でまとめておきます。

1887年(明治20年):リアル孝光くんが英国で「トガクシソウ」を新種として発表

1888年(明治21年):リアル万太郎くんが発見した「マルバマンネングサ」の学名に「makinoi」と付けられる

1888年(明治21年):リアル田邊教授が「キレンゲショウマ」を採集

1889年(明治22年):リアル万太郎くんとリアル大窪さんの共同研究により「ヤマトグサ」を新種として発表

1890年(明治23年):リアル田邊教授が「キレンゲショウマ」を新種として発表

1891年(明治24年):リアル万太郎くんが「コオロギラン」を新属として発表

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POSTED COMMENT

  1. 名乗る程の者ではございません より:

    いきなり罷免で詳細説明なく察しろという展開で終了、個人的にはキライじゃないかな、余白があったら余韻が残るし
    個人的には朝ドラって伏線回収が多すぎると思うんだ、カムカムとかね
    エヴァンゲリオン見習え、アッチは風呂敷広げっぱなしだったけどあとはオタクたちがネットであれはこうだと勝手に盛り上がってたぞという個人的感

  2. 還暦のたつお より:

    同じ植物をめぐる静かな戦い。敗れた万さんは素直に田邊教授を祝福。ただ凶報が。田邊教授失職。家族、聡子さんの為の海行き。これが彼に更なる悲劇をもたらす事となろうとは。悪意を持っていた男が,善心に.立ち返った時それまでの行為の報いを受けようとは、人生はなんとも皮肉。

  3. よるは去った より:

    彰久「海か・・・・・・・・・・?」

    リアル田邊教授のプロフィールをご存知の方は「不吉」なフラグを感じたのでは・・・・・・・・?

  4. 還暦のたつお より:

    「野菊の墓」の沢井信一郎監督、「吠えろ鉄拳」の鈴木則文監督、共に日本娯楽映画界の巨匠,マキノ正博監督の門下生でした。作風はかなり違うけど。関係ないけど、いま一部で評判の「日本統一」シリーズはマキノ正博監督の代表作「次郎長三国志」シリーズに影響を受けていると思います。勘だけど。

  5. 黒足袋 より:

    この週の田邊は、非職=教授職を解任されたけれど、まだ東大植物学教室には在籍しているのではないでしょうか。そうでないと、学生を連れて採集旅行には行けません。

  6. 名乗る程の者ではございません より:

    私語りで申し訳ございませんが・・・

    私は兵庫県に長く縁がありました
    大学は兵庫県、社会人初赴任も兵庫県、転職した先も兵庫県等々
    阪神間ではいろんなこと学んだなあ、ロクでもない遊びが大半だけど
    ポートアイランドに渡る時に眺める海にはいつもウルトラセブンがキングジョーと闘う姿が心中に映っていたなあ
    城崎温泉にも幾度か行ったなあ
    淡路島の南で鳴門のうずしお眺めたこともあったなあ
    赤穂の牡蠣は今でも大好物です

    震災から立ち直った兵庫県
    そんなたくましい兵庫県の県花が次週のテーマのじぎくです

    • 名乗る程の者ではございません より:

      のじぎくに関してもうひとつ
      野菊の一種ですね
      野菊と言えば伊藤左千夫原作「野菊の墓」
      聖子さん主演映画見に行きましたね、なお百恵さんのドラマは見てなかったです
      民子と政夫の別れのシーン等原作からアレンジされてましたが個人的には良作だったかなと(おでこ全開の聖子ちゃん、めちゃめちゃ可愛い)、人の夢と線で書いて儚いって読むという主題歌「花一色」の歌詞も好きだったなあ
      因みに同時上映が「吼えろ鉄拳」、真田広之さん主演で盲目ながらカンフーの達人の姉が志穂美悦子さん、叔父で両親の敵の悪のシンジケートボスが成田三樹夫さん、謎の男が千葉真一さんとベタなキャストと配役見たらおもしろいに決まってるじゃんという作品(あと、作中で全日から新日に移籍したばかりのブッチャーがノリノリで空手ポーズ披露してましたね)

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