らんまん

失われた植物標本と原稿 / らんまん 第124回

2023/9/21(木)第25週「ムラサキカタバミ」

あらすじ

地震後の火災から逃れるために、万太郎、寿恵子、千歳、そして千鶴たちは大量の標本を背負って「山桃」がある渋谷までたどり着きました。渋谷一帯は家屋の倒壊や火災の発生もなく、寿恵子の「山桃」も無事でした。

地震発生から4日目、百喜と大喜が「山桃」に姿をあらわしました。再会を喜びあった後、百喜と大喜は東京の惨状を万太郎たちに告げました。しかし惨状を聞かされても万太郎は標本を確かめるために十徳長屋に行くと言い張りました。

万太郎は十徳長屋に足を運びました。十徳長屋で万太郎は虎鉄と再会できました。しかし、十徳長屋は倒壊した上に半焼し、万太郎が40年近くの歳月をかけて集めてきた標本や原稿が灰になってしまいました。

万太郎は打ちひしがれました。そんな中で万太郎は焼け落ちた十徳長屋の片隅で花を咲かせる「ムラサキカタバミ」を目にしました。万太郎は「ムラサキカタバミ」の生命力の強さに勇気をもらいました。

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感想

「来年もまた花を咲かせるのだろう」

百喜くんも無事、大喜くんも無事、そして虎鉄くんも無事。

前回の段階では消息が分からなかった三人の無事が確認できました。

無事が確認できて一家はどれほど安堵したことか。

しかしその一方で標本、原稿、印刷のための設備、そして思い出の品々は無惨なことになってしまいました。

焼け落ちた十徳長屋でからくも難を逃れた品々を集める万太郎くんの姿が切なかった。

しかし、そんな中で万太郎くんが花を咲かせた「ムラサキカタバミ」を見つけて一言。

「来年もまた花を咲かせるのだろう」

まるで自分に言い聞かせるような言葉。

明日も来週も来月もむり。

しかし来年なら失ったものの多くは取り戻しているに違いない。

それができるかどうかはわかりませんが、それを信じたい万太郎くんの気持ちが痛いほど伝わるセリフでした。

震災による渋谷の被害

ドラマの中では、山桃とその周辺では家屋の倒壊や火災はなかったということですが、リアルの渋谷の被害はどうだったのか。

『新修渋谷区史』によれば
・全壊31戸
・半壊139戸
・死者13名
・負傷者56名

ただしこの数字は現在の渋谷区全体の数字です。

山桃とその周辺に限った数字ではありません。

山桃とその周辺に限定した数字はありませんが、ドラマの中で語られたとおり被害は少なかったものと思われます。

(ドラマの中のナレーションも調査した上でのナレーションなのでしょう)

なおリアル万太郎くんは震災当時はドラマの中とは異なり渋谷に住んでいました。

そして震災によって

・「植物研究雑誌」第三巻第一号が全焼
・残ったのは見本刷七部

ということで、渋谷に住んではいたものの被害が皆無というわけではありませんでした。

なおリアル万太郎くんは、震災から二年後に渋谷から大泉に転居。

大泉に転居するエピソードは次回あたりに登場するものと思われます。

震災による渋谷の被害

憔悴しきった寿恵子ちゃん

第25週の予告映像の中で、一つだけ気がかりなカットがありました。

それは憔悴しきった寿恵子ちゃんの表情のカットです。

このカットはもしかして寿恵子ちゃんの体調の異変の始まり?

そんな心配をしていたのですが杞憂に終わりました。

寿恵子ちゃんが憔悴しきっていたカットが登場したのは、十徳長屋から山桃に避難してきた場面でのこと。

寿恵子ちゃん、ただ単に疲れ切っていただけのようです。

しかし、憔悴しきった表情で寿恵子ちゃんが口にした言葉が悲しい。

「いつか園ちゃんのところにゆく時に・・・」

その「いつか」が遠くない将来にはやって来ることを思うとあまりにも切ない。

『らんまん』残り一週と一日です。

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予習レビュー

今週のドラマの中の大きなイベントは関東大震災です。

ドラマの中の万太郎くんは東京での生活を始めて以来、ずっと根津(現在の文京区)の十徳長屋で暮らしています。

一方、史実の中のリアル万太郎くん一家は家賃滞納などにより、数十回の転居を余儀なくされています。

そして関東大震災の年にはリアル万太郎くん一家は渋谷の荒木山在住でした。

渋谷の荒木山とはドラマの中の寿恵子ちゃんが「待合茶屋」を開業した土地です。

さて、ドラマの中の万太郎くんが関東大震災に対してどのような反応を示すのかは、今のところ不明です。

一方、史実の中のリアル万太郎くんは大地震に対して特異な反応を示しています。

リアル万太郎くん曰く

私は元来天変地異というものに非常な興味を持っていたので、私はこれに驚くよりもこれを心ゆく迄味わったといった方がよい。当時私は猿又一つで標品を見ていたが、坐りながらその揺れ具合を見ていた。
引用:牧野富太郎自叙伝

リアル万太郎くん、大地震に驚くどこから興味津々で観察していたようです。

しかも観察の仕方が甘かったと後悔しているような言葉も残しています。

後に振幅が四寸もあったと聴き、庭の木につかまっていてその具合を見損ったことを残念に思っている。
引用:牧野富太郎自叙伝

ドラマの中で、はたしてこんな天然ぶりは描かれるのでしょうか?

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POSTED COMMENT

  1. A より:

    現在、日本放送協会の放送センター本部は渋谷区神南におかれています。
    もしかして、それ?

  2. ずんこ より:

    槙野家のみんな、無事でよかった。
    渋谷の「山桃」も、お隣の荒谷のおじさんも、無事でした。
    おじさんのおにぎり、さぞ美味しかったでしょうね。

    大畑の大将、町を守ったのですね。
    町の衆にげきを飛ばす姿が、目に浮かぶようです。
    さすが、江戸の町火消し。

    焼け野原に咲く、ムラサキカタバミ。
    あの花。
    うちの庭にも咲いていて、子どもの頃あの葉っぱでよく葉っぱ相撲をした花でした。
    ムラサキカタバミ、というのですね。
    今日、初めて知りました。

  3. 還暦のたつお より:

    関係無いけど「ガンニバル2」制作決定、やれやれ。何か映画版「ミステリと呼ぶ勿れ」や「ハヤブサ消防団」「ガンニバル」とどれも横溝正史作品のテイストが濃ゆいなあ。
     なんとか渋谷到着、被害少なくて良かった。震災後の酷いパニック。だが敢えて戻る万さん。瓦礫だけならどかせばいいけど焼けてる。大畑さん不死身か?自警団を作る物騒な連中もいれば、必死に火災と戦った人達もいる。「すぐに子株も増やせる。」自然は脅威だが励ましてもくれる。

  4. 名乗る程の者ではございません より:

    総天然色の映像がリアルで不気味だ
    虐殺に関して少しは触れたね
    今まで見た朝ドラの中で一番生々しい関東大震災だったかな
    警察官の言うことは正論、火事拡大するリスク回避のため
    荒谷さん、初登場の時に飲んだくれてたのに誰より優しい
    大畑さんの生存にほっとした

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