2023/11/29(水)第9週「カカシみたいなワテ」
あらすじ
スズ子に弟子入り志願した小林小夜をしばらくの間だけ下宿に居候させることにし、スズ子は梅吉の世話を小夜に託しました。小夜と梅吉はあっという間に打ち解け合い、小夜は梅吉を「父ちゃん」と呼ぶようになりました。
一方、そのころの劇団は徴兵によって人員が減り続けていました。スズ子も三若四方の枠の中で歌うことを強いられ続けており、派手さが失われたことで客足は遠のき、空席が目立つようになっていました。
劇団のことを案じたスズ子は、劇団の状況を辛島に尋ねました。そしてスズ子の問いかけに答えて辛島が打ち明けた事実がスズ子を驚かせました。劇団の演目が不謹慎だという苦情の手紙が梅丸楽劇団に大量に届いていたのです。
辛島から劇団の現状を知らされたスズ子が下宿に帰ると梅吉と小夜が酒を飲んで大騒ぎをしていました。激怒したスズ子は小夜を下宿から追い出し、そのことがきっかけでスズ子と梅吉は激しく対立してしまうのでした。
第14週
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感想
前回に引き続き、劇団の受難と梅吉さんのダメっぷりの重苦しい回でした。
しかし前回、その重苦しさを破るように登場した小夜ちゃんが最後に明るさを少しだけ取り戻してくれました。
ところが今回、その小夜ちゃんが梅吉さんのダメっぷりを加速させることに・・・
梅丸楽劇団の受難
今週に入ってから劇団は派手な演出が行えなくなり、派手な演出の中心的な存在であるスズ子ちゃんは三尺四方の中で歌うことを強要されました。
しかし観客の反応が悪いことを察したスズ子ちゃんは三尺四方から飛び出すものの、その公園は中止に。
それが月曜日。
火曜日の回のスズ子ちゃんは劇団に迷惑をかけないようにと三尺四方の中で歌うものの、観客も満足せずスズ子ちゃんも満足できず。
そして今回、舞台の上のスズ子ちゃんはさらにおとなしくなっていました。
そんなスズ子ちゃんのステージをあくびをしながら眺めている観客たち、しかし観客席は空席だらけ。
しかし観客席に空席が目立つのは、三尺四方の中でおとなしく歌うスズ子ちゃんの歌が退屈だからという理由だけではないようです。
辛島さんが見せた苦情の投書の山!
劇場に来なくなったお客さんの何割かはスズ子ちゃんのステージが退屈だからなのでしょうが、何割かは周囲の目を気にして劇場に来れなくなったに違いない。
周囲の目、今でいう自粛警察です。
逆にいうとあくびをしながらステージを眺めてはいても、こんなご時世に劇場までやって来る人たちの度胸は大したものです。
でも、こうした大した度胸の持ち主たちも、これからさらに減ってしまうのかな。
これまでの朝ドラの戦時下の描写は、主に家庭で食べるものに不自由するなどの描写が中心でした。
そんな時代を経験したことがないブログ主には、食べるものに不自由するような世の中は想像の外にある世界でした。
しかしエンターテインメントが規制されるような世の中はこの数年で体験済み。
なので、梅丸楽劇団の受難の描写はものすごくリアルに見えます。
年内の放送は、こんな状況が続くのでしょう。
『東京ブギウギ』の大ヒットによって明るさを取り戻すのはいつ頃のことになるのかな?
梅吉さんのダメっぷり
劇団も日に日に壊れてゆきますが、梅吉さんもまた日に日に壊れてきています。
ツヤさんが生きているころ、梅吉さんが泥酔するような場面はほとんどありませんでした。
しかし今週は梅吉さんがシラフのときのほうが少ない。
しかも圧倒的に少ない。
今回の朝の下宿での場面、シラフの梅吉さんが登場したのは久しぶりかも。
そして小夜ちゃんを前にしておだやかな表情すら見せていました。
日々、スズ子ちゃんから責め立てられているであろう梅吉さんとしては、ようやく味方を見つけることができた。
そんな気持ちなんでしょう。
そして、その後の小夜ちゃんとのドンチャン騒ぎ。
梅吉さんがやらかしたことの良し悪しは脇に置いておくとして、こんなに楽しそうな梅吉さんの姿を見るのは久しぶりのこと。
六郎くんが帰ってきたら小夜ちゃんを嫁に迎えようというのは本気なんでしょう。
でもそんな楽しいひと時も、あっという間に失われてしまった梅吉さん。
明日からまたダメっぷりをさらすことになるのでしょうか。
でも、ちょっとだけネタバレすると次週には梅吉さんは立ち直り、新たな出発をします。
そして史実では、梅吉さんの実在モデルは戦後になって、娘の笠置シヅ子さんの故郷凱旋コンサートを実現するのだとか。
梅吉さんも物語後半でそんな活躍を見せてくれますように。
予習レビューと史実のリアルエピソード
今週、「李香蘭(りこうらん、リ・シャンラン)」という女優の名前がドラマの中に登場します。
李香蘭の本名は山口淑子。
日本人ではあるものの中国で生まれ育ち中国語も堪能だったことから、昭和13年(1938年)、満洲映画協会から中国人の専属映画女優としてデビュー。
昭和14年(1939年)映画『『白蘭の歌』の主題歌『いとしあの星』
昭和15年(1940年)映画『支那の夜』』の主題歌『蘇州夜曲』
これら二作品の主題歌は服部良一氏が作曲しています。
また、昭和16年(1941年)2月11日の紀元節に日本劇場(日劇)で開催された「歌ふ李香蘭」に出演。
一週間で十万人の観客を集め日本劇場の観客動員数の第1位を記録。
当時、笠置シヅ子さんが「敵性歌手」としてのレッテルを貼られ活動の場を制限される一方で絶大な人気を博していたのが李香蘭でした。
なお戦後になって笠置シヅ子さんが日本劇場でのワンマンショーで1週間で7万人を動員。
日本劇場の観客動員数の第2位を記録しています。
第14週
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冨田さん、歌上手め~!
ふせさん、「拭こうか」台詞の間が絶妙
趣里さんの怒り演技にたまに見られる杉下右京の怒りシーンが見えた
何気にスゲー回だったなあ
「お父ちゃんだけ、ずるい」
この一言に、スズ子ちゃんの苦悩が全て詰まっているように思いました。
お母ちゃんを亡くし、ただ一人の弟の六郎くんは出征。
ステージで思うようなパフォーマンスは禁じられ、客足は遠のき、周囲からは批判の目や声が多く寄せられているのを知ってしまった。
楽団員も減り続けている。
八方ふさがりの状況でも、誰にも頼れず、誰にも甘えられず、ひたすら頑張るしかない。
スズ子ちゃんだって、泣きたい、逃げたい、誰かに甘えたい。
なのにお父ちゃんだけ泣いて、逃げて、甘えて…。
お父ちゃんだけ、ずるい。
スズ子ちゃんの肩に置いたチズさんの手が、優しくて暖かい。
「君誰?」そりゃそうだ。「自分の部屋と思って。」あんたが家賃払ってないでしょ。楽団員出征。小夜ちゃんまるで「おしん」。あの「父ちゃん」って赤の他人ですけど。抗議の手紙今ならネット民のバッシング。辛島さんまたも板ばさみ。今回は諦めムード。梅吉さん小夜ちゃんいくら何でも調子に乗り過ぎ。ただスズ子さんの怒りも八つ当たりぽい。追い出された小夜ちゃんどうするんだろう?「拭こうか。」何気ない台詞なのに心に沁みる。
お父ちゃん、娘とこんな風にして飲んで騒ぎたかったのでしょうね。
でも、娘の方にはそんな余裕がずっとなかった。この先もないのかも。
個人警察、あれから70年以上経っても、いまだに変わらない。
歴史から何も学ばない日本人。
昨日放送回で茨田さんはどこにも所属しないで自分の楽団持ってという台詞がありましたが、実際に淡谷のり子さんも楽団持っていたことがあります
その楽団にいたメンバーのひとりがティーブ釜萢さん、戦後日本にジャズを普及させた一人です
因みに息子さんはムッシュことかまやつひろしさん、ザスパイダースのメンバーでありかつ大半の曲を作曲し日本にGSブームを起こした方のひとりです