2024/5/23(木)第8週「女冥利に尽きる?」
あらすじ
寅子が妊娠していることを知った穂高は、そのことを雲野に告げました。雲野と穂高は寅子を気遣い、子育てに専念するように寅子を諭しました。その現場にいたよねも、寅子が妊娠した事実を知ってしまいました。
寅子に黙って事務所を去って行ったよねを追って、寅子はよねが働いているカフェー「燈台」に足を運びました。寅子は妊娠した事実をよねに対して黙っていたことを詫びるものの、よねは寅子を突き放しました。
ほどなくして寅子は雲野に辞表を提出しました。辞表を出したことをはるに報告した寅子は、悔し涙を流しながら六法全書などの資料を箱に納めました。その後、寅子は家族と平穏な日々を過ごしました。
昭和19年(1944年)春、空襲に備えて猪爪家は家の地所を軍に引き渡すことになりました。猪爪家の家族は、直言の工場がある登戸に移転。それからしばらくして寅子は長女の優未を出産。そんなある日、寅子に来客がありました。
第13週
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感想
トラちゃんとよねちゃんの確執
アバンタイトルでのよねちゃんがトラちゃんに告げた一言。
「お前は一人じゃない」
この言葉にグッときました。
トラちゃんが、去って行った仲間たちの夢を自分一人で背負い込んで苦しんでいることを、よねちゃんはしっかりと見抜いていたらしい。
弁護士資格がないばっかりにトラちゃんばかりに負担がかかってしまう状況を、よねちゃんはもどかしく感じていたのでしょう。
これまでよねちゃんが見せてきた秘めた優しさの中でも、最たる優しさでした。
それだけに、よねちゃんの落胆も深かったらしい。
よねちゃんが落胆したのは、トラちゃんが妊娠したことに対してではなく、穂高先生や雲野先生から優しい言葉をかけられほっとした表情を見せたことに対して。
よねちゃんの気持ちもわからないでもない。
でも、よねちゃんにはあと一歩踏み込んでトラちゃんの気持ちを理解してほしかった。
トラちゃんのほっとした表情に対して、よねちゃんは感情的に反応してしまいました。
だから
「私はどうすればよかったの?」
というトラちゃんの問いかけに対して、よねちゃんは何も答えられなかった。
トラちゃんにどのような結論を出してほしいのか、よく考えないままよねちゃんは反応してしまった。
そんな気もします。
あげた拳をおろせないまま、よねちゃんはさらに言ってしまいました。
「女の弁護士はまた必ず生まれる、だからこっちの道には二度と戻ってくるな」
これは厳しい。
最後通牒にも近い言葉です。
しかし、今度はこの「最後通牒」に対して、トラちゃんが反応してしまいました。
「そのつもりです」
と。
「二度と戻ってくるな」
「そのつもり」
トラちゃんとよねちゃんの間に深く確執の溝ができてしまった瞬間でした。
ネタバレあり:トラちゃんとよねちゃんの確執のその後
翌週の終わりごろから翌々週にかけて、法曹界に復帰するトラちゃんの姿が描かれます。
「こっちの道には二度と戻ってくるな」
というよねちゃんからの最後通牒に対して
「そのつもりです」
と返してしまったトラちゃんが、再び「こっちの道」に戻ってくるわけです。
ここまではすでに判明している情報(事実)。
以下はブログ主の推測です。
「こっちの道」に戻ってきたトラちゃんを、よねちゃんが歓迎するわけがありません。
よねちゃんの性格から考えて。
歓迎するどころか、ますます確執が深まるばかりのような気がします。
「こっちの道」とは言ってもトラちゃんは今後、弁護士ではなく裁判官の道に入ります。
だから狭義の「こっちの道」でがありません。
しかし広義の「こっちの道」で、よねちゃんに後ろめたさを感じるトラちゃんと、トラちゃんを許せないよねちゃんが、ともに活動するの図。
息苦しくなるような人間関係の描写になるのかもしれません。
予習レビューと史実のリアルエピソード
女子部の廃止と高等試験の中止
今週、女子部の後輩である小泉さんがトラちゃんのもとを訪問。
そして女子部が閉鎖されることが決まったこと、高等試験が中止になる見通しであることをトラちゃんに伝えます。
そのとき、トラちゃんは雲野法律事務所をやめて無職でした。
一方、同じころのリアルトラちゃんは明治大学で講師をしていました。
昭和15年、リアルトラちゃんは明治大学専門部女子部法科の助手に。
そして昭和19年には、明治女子専門学校の助教授に任命されています。
しかし助教授に任命されたころは、法律の授業よりも防空演習や救護訓練が優先され、リアルトラちゃんも学生たちの訓練にあたりました。
戦況がさらに悪化する中、リアルトラちゃんの授業は中断。
女子学生たちは勤労動員に駆り出された末に、女子部の学生たちは昭和19年に繰り上げ卒業となりました。
これにより、女性が法律を学ぶ場は失われました。
一方、文系の男子学生は学徒出陣によって高等試験の受験資格者が激減。
受験資格者の激減を受けて「高等試験ノ停止ニ関スル件(昭和18年11月8日勅令第852号)」により,昭和19年の高等試験は行われませんでした。
なお、受験資格者が激減したとはいえ、高等試験が行われなかった年にも受験資格者はいました。
高等試験が行われなかった年にも受験資格者はいました。
その年の受験資格者については銓衡委員会の銓衡(せんこう※)を経て試験合格とみなされました。
なお銓衡合格者は134名。
昭和20年11月、戦後になってから証書が授与されました。
※銓衡(せんこう):能力・人柄・優劣などをよくしらべて、適任者やすぐれたものを選び出すこと。「選考」と同義。
第13週
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この日のよねさんの怒り。寅ちゃんとともに「どうすれば良かったのか」ずっと考えてしまいます。
必要以上に「お母さんになるのだから」と言う周囲。寅ちゃんの言うように「はて」と思うけど、実際倒れちゃったから説得力ないよね。もっと働かせてくださいって言えないよね……
難しい。
妊娠が職場の皆に知れ渡り。よねさんあからさまに不信感。よねさんの厳しい指摘。決別?やむ負えず事務所に辞表を。泣きながら六法全書を。でも諦めるの早くないか?余裕を持って地獄をやりすごせなかったのか?でも寅子さんの苦悩を知る優三さんは優しい。直道さんの手紙、検閲されているからねえ。お客って誰?