2024/5/2(木)第5週「朝雨は女の腕まくり?」
あらすじ
調書と日記の間の齟齬を寅子から問い詰められていた直言が、法廷で自分の罪を否認しました。しかし、寅子の表情は晴れませんでした。寅子は自白を強要したことを検察が認めるはずがないと考えていました。
寅子が案じた通り検察は直言の証言の矛盾を認めようとはしませんでした。穂高は、証拠を積み上げて検察に反論。そんな中で寅子が注目したのは、自傷を防ぐために革手錠を使用したという検察の説明でした。
皮手錠を使用できるのは刑務所長が認めたときだけという法律の存在を思い出した寅子は、そのことを穂高に指摘。穂高は皮手錠を使用する許可を得ているかどうかの一点を検察に追求し、それがきっかけで裁判の行方は直言に有利な流れになってきました。
昭和11年(1936)12月。判決が言い渡される直前、その裁判で判事をつとめる桂馬は、検察畑出身の貴族院議員・水沼から圧力をかけられました。そんな中で迎えた判決が言い渡される日。桂馬は判決文を読み上げ始めました。
第10週 | 第11週 | 第12週 | 第13週
虎に翼|感想あらすじネタバレトップページ
感想
唐突とも言える父親の愛情表現
直言さんが証言をくつがえしました。
恩師の穂高教授の優しい言葉による叱責が効いたようです。
否。
最愛の娘に危害が加えられそうになった。
直言さんにとってはトラちゃんが危険な目にあっているらしいことが一番こたえたのでしょう。
前週の前半、夜遅くに帰宅した直言さんがはるさんの日記を読んでトラちゃんがハイキングに行くことを知りました。
そのハイキングのことで会話する中で、直言さんはトラちゃんに言いました。
トラが幸せになってくれさえすればいいと。
この場面を見たときは、唐突とも言える父親の愛情表現に違和感を禁じ得ませんでした。
直言さん、いきなりどうしたの?みたいな気持ちになりました。
それまで、そんな場面はなかったので。
しかし、あのときの父親の愛情表現が今になって効いてきました。
直言さんの「父親の愛情表現」があったからこそ、今の直言さんがトラちゃんに対してどのような感情を抱いているのかが痛いほどわかります。
話が脱線しますが、トラちゃんが明律大学女子部に進学したいと言い出したとき。
直言さんは宣言しました。
母さんは自分が説得すると。
しかし、はるさんを前にすると直言さんは何も言えない。
トラちゃんが無言の圧力をかけても直言さんは見て見ぬフリを決め込む。
あのときの直言さんの態度を見て、この人は本当に娘のことを大事に思っているのかと心配になったものです。
しかしその心配も消えました。
有事の際に頼もしい桂場さん
自分の感情を滅多に外にあらわさい桂場さん。
感情を外にあらわさないどころか、そもそも感情が動くことも滅多にないらしい。
しかも冷徹に正論だけを口にする。
相手の感情を察しながら言葉や行動を選ぶこともしない。
こんな性格の人は日常生活の中では面倒くさいことこの上ない。
できることなら身近にいてほしくないタイプの存在です。
しかし、こんな性格の人は有事の際には実に頼もしいということを発見しました。
ケチ兵衛判事がどれほど強圧的な態度をとってきても桂場さんは一切動じない。
顔色一つ変えない。
そればかりか裁判所で貴族院議員の水沼大先生から圧力をかけられても反応せず。
桂場さんはこの裁判が始まる前から法曹の世界で生きる者として人生を左右する仕事になるかもしれないと、そのリスクを指摘されていました。
一歩間違ったら冷や飯を食わされるリスクがあるということです。
そして水沼大先生からの圧力はそのリスクが顕在化したということ。
水沼大先生は悪いようにしないと桂場さんに言いました。
これは、判決次第では桂場さんの将来はないと恫喝しているに等しい。
それでも桂場さんは動揺する気配がない。
桂場さん、実に頼もしい人です。(こういう時だけは、笑)
今回は桂場さんが判決文を読み上げ始めた瞬間で終わり。
判決は明日に持ち越しです。
予習レビュー
直言さんが無罪になるまでのプロセス
ドラマの中で「共亜事件」の騒動に巻き込まれてしまった直言さんは、最終的に無罪となります。
直言さんの無罪が確定するまでのプロセスはやや複雑なので、ドラマを鑑賞する際に混乱せぬよう、予習用に情報をまとめてきます。
直言さんに吹く風向きが変わるきっかけは、トラちゃんが見つけた調書の中に記録されている直言さんの自白と、はるさんが書いていた日記とのギャップです。
直言さんが接待を受けたと自白した日、直言さんは家で夕食を食べていました。
しかも直言さんが何を食べたのか、おかわりを何杯したのかまではるさんの日記に記されていました。
直言さんが株式の受け渡しをしたと自白した日。
はるさんの日記によれば、直言さんは体調不良で欠勤していました。
直言さんが、株取引に協力したことで贈られたと自白した着物。
その着物は、はるさんが自分のへそくりで買ったものでした。
他にも、調書の中の自白とはるさんの日記との間のギャップが14箇所もあることが発覚。
このギャップについて問い詰められた直言さんは、上司の圧力によって嘘の自白をしていたことをついに告白。
ここまでのことをトラちゃんに聞かされた穂高教授は、直言さんの弁護にあたって無罪を主張すると弁護方針を決定。
結果として直言さんは無罪になりました。
第10週 | 第11週 | 第12週 | 第13週
虎に翼|感想あらすじネタバレトップページ
見ごたえのある回でした。
腹を括った直言さん。
昨日のラスト「ごめんな」はどっちの意味なのだろう、と思っていましたが、「怖い思いをさせてごめんな」の方だったのですね。
判事の威圧的な態度に抗議する姿に、戦う決意が見えました。
終始穏やかな態度で事実を積み上げていく穂高先生。
ちょっぴり「刑事コロンボ」を思い出したりして…。
そしてさすがの師弟コンピ。
トラちゃんと息ピッタリでした。
桂場さんに、あからさまな圧力。
確かに、運命の分かれ道ですね。
淳三郎「君の正義感を発揮する時は今ではない··········過ごし先··········それに見合う地位に就いた時だ···············。」
森次晃嗣さんは、小さい子供さんがTVを視聴する時間帯に放映するドラマでは「悪役」は引き受けないそうですね。
私が視て来たドラマの中で今まで森次さんが「悪役」を演じていたのは「Gメン75」「必殺シリーズ」等、21時、22時から始まるものばかりでしたからね。
「子どもたちのための正義のヒーロー」のイメージをそれだけ大事にされているということですね。
今回の一件、コメ主様の記述を拝見すると、「昭和天皇物語」とリンクしているように感じます。西園寺公望さんは、昭和史における重要人物であると再確認。直言さん無罪を主張。ついでに悪徳検事を怒鳴りつけ。革手錠が突破口に。しかし粘る検察。黒幕ウルトラセブン登場、桂場判事に懐柔と恫喝。判決前。また優三さん、お腹が。