2024/4/30(水)第5週「人生は喜ばせごっこ」
あらすじ
岩男が羽織袴姿で朝田家を訪問し朝田家の家族と向き合いました。岩男は蘭子に求婚しに来たのです。岩男は言いたいことを言うと朝田家を立ち去りました。朝田家の家族はその勢いに圧倒されるばかりでした。
そのころ、のぶとうさ子は女子師範学校で、なぎなたの授業の最中にのぶがうさ子を助けたことで、のぶは担任の黒井と対峙。自分たちの弱さを思い知ったのぶとうさ子はお互いに約束しました。一緒に強くなろうと。
同じころ、嵩は苦手な数学の問題に苦戦。そんな嵩に、寛は問題を解くコツを教えました。一方で千代子は跡取りを産めなかったことや、柳井医院の跡継ぎがいないことを悩んでいました。そんな千代子を寛は励ましました。
ある日、蘭子は岩男との縁談をどう思うか豪に尋ね、豪はいい縁談だと思うと答えました。豪の答えを聞いた蘭子は落胆する気持ちを隠しながらその場を去りました。そして縁談を受けることに決めたと蘭子は羽多子に告げました。
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感想
岩男くん
予告映像の中でも紹介された岩男くんの蘭子ちゃんへの求婚場面が登場。
前回、あんパンの代金をメイコちゃんには決して渡さず、蘭子ちゃんがあんパンを袋詰めするのを待って蘭子ちゃんに代金を手渡しする岩男くん。
このさりげない場面で、岩男くんが蘭子ちゃんに一目惚れしたらしいパン食い競争の一場面の記憶を視聴者によみがえらせる。
その上で今回の岩男くんの蘭子ちゃんへの求婚。
さりげなく緻密にできた脚本です。
さて、岩男くん、のぶちゃんや嵩くんに対してだけでなく、他の人々に対しても態度がデカい。
カマジイの一喝にも動じず、羽多子の言葉もどこ吹く風。
岩男くん、なかなか心臓が強いらしい。
ただし蘭子ちゃんだけには低姿勢です。
しかし岩男くんみたいな性格は、結婚後に豹変する可能性は大。
蘭子ちゃんには気をつけて欲しいです。
蘭子ちゃんのストーリーのフラグ:その1
これまで繰り返しフラグが立っていた蘭子ちゃんのストーリーが始まりました。
待ちに待った蘭子ちゃんのストーリーの始まりを機に、これまで立ったフラグを振り返ってみました。
一番わかりやすいフラグはパン食い競争の場面で描かれました。
カマジイに頼まれてパン食い競争の会場にやって来た豪くん。
豪くんが会場にやって来るなんて想定外だったはずの蘭子ちゃんは実に嬉しそうでした。
そして始まったパン食い競争。
朝田家の人々の期待を一身に背負ってパン食い競争に挑んだ豪くんはビリ。
本人も自分は足が遅いとは言ってましたが、まさかここまで遅いとは。
しかし結果がビリでも豪くんを優しく見守る蘭子ちゃん。
蘭子ちゃん、豪くんの短所も含めてすべてを受け入れていることが分かる瞬間でした。
あの場面では、岩男くんのフラグも立ちました。
パン食い競争の受付で蘭子ちゃんを一目見た岩男くんの目は一目惚れした人の目でした。
そして、子供のころから態度が悪い岩男くんが、蘭子ちゃんにだけは丁寧語。
岩男くんの蘭子ちゃんへの気持ちも分かりやす過ぎるくらいよくわかりました。
パン食い競争の場面で立った蘭子ちゃんの豪くんへの気持ちのフラグ。
岩男くんの蘭子ちゃんへの気持ちのフラグ。
この二つのフラグが今回揃って回収されました。
蘭子ちゃんのストーリーのフラグ:その2
しかし、パン食い競争ではもう一つフラグが立っていました。
蘭子ちゃんの岩男くんへの気持ちのフラグです。
違反行為をした岩男くんに対して蘭子ちゃんが言いました。
食パンの角に頭をぶつけて死んでしまえ。
これが蘭子ちゃんの中にある岩男くんの印象です。
おそらく、この時に抱いた岩男くんへの印象は今もまだ蘭子ちゃんの中に残っていることが考えられます。
そんな相手から求婚されるという皮肉。
しかも、蘭子ちゃんの意中の人は口数が少な過ぎる上に本心を顔に出さないので、何を考えているのかわからない。
蘭子ちゃん、つらいところです。
蘭子ちゃんのストーリーのフラグ:その3
ところで、豪くんは口数が少なく本心を顔に出さないので、何を考えているのかわからないのですが、それでも一回だけ意思表示らしき場面がありました。
それは豪くんがカマジイから、のぶちゃんの婿になって石屋を継げと言われたとき。
カマジイからの提案なのに、豪くんは言葉を選んで断りました。
あの時、豪くんがカマジイに言ったように、人生の学校みたいな存在のカマジイの孫娘を嫁にするなんて滅相もないと思ったのでしょう。
しかし、意中の人がいる中でその姉と結婚なんて考えられない。
そんな気持ちも豪くんの中にはあったのかも。
そんな豪くんの気持ちのフラグらしきものも、今回の蘭子ちゃんからの問いかけの直後の豪くんの姿によって回収されました。
蘭子ちゃん、岩男くん、そして豪くん。
三人の感情が複雑にからまり合ったストーリーが始まりました。
予習レビューと史実のリアルエピソード
浪人生の嵩くんの進路が決まる
受験で失敗した嵩くんは今週は浪人生です。
そして、前週に引き続き嵩くんは将来の夢が見つからない状態のままです。
将来を決められないので、千代子さんは改めて医者の道を考えてほしいと懇願。
でも、千代子さんの期待に応じられない。
応じられないが、でも自分が何をしたいのかわからない嵩くん。
そんな状態から今週の嵩くんがスタートします。
嵩くんは悩み続けています。
何のために生まれて何のために生きるのか、寛先生の言葉が頭の中を駆け巡って大混乱。
この苦悩が嵩くんが大人になった時の仕事につながるのだとは思いますが。
何のために生まれて何のために生きるのか、これはやなせたかしさんの言葉なので。
さて、将来の夢が見つからない嵩くんは千尋くんとの会話の中で、ついに将来の夢を見つけることができます。
千尋くんが嵩くんに言うんです。
兄貴は医者になりたくはないのだろう、違う道を探しているのだろうと。
その言葉に反応した嵩くんの口から出てきた言葉、それは
「本当は絵を描いて生きていきたい」
嵩くんが自分の人生を生きると決めた記念すべき瞬間です。
絵を描いて生きていきたい
千尋くんに問い詰められ「本当は絵を描いて生きていきたい」と言った嵩くん。
この嵩くんと千尋くんの会話、寛先生と千代子さんに聞かれてしまいます。
千代子は動揺します。
そして、それは正気なのか?と嵩くんを厳しく問い詰めます。
しかし、その場に寛先生がいたのは幸運でした。
寛先生は千代子さんを黙らせた上で、嵩くんの夢を尊重しつつもも、極めて現実的なアドバイスをしてくれます。
「絵では食べていけない」
「現実と折り合いをつけるしかない」
「図案なら食べていける」
図案とは今でいうデザインのことです。
図案なら就職先があると寛先生は考えたようです。
そして、図案を学ぶために美術の学校に進めと寛先生は嵩くんにアドバイス。
嵩くん、自分の道をついに見つけます。
ところで、自分の道を見つけた嵩くんはのぶちゃんにそのことを報告。
嵩くんから報告を受けたのぶちゃんのセリフは、将来の二人を暗示するような言葉です。
「嵩は絵を描くために生まれてきた人」
嵩くんが美術学校に進学
今週は嵩くんが美術の学校を受験し合格するまでが描かれます。
嵩くんが受験するのは二校。
京都高等工芸学校と東京高等芸術学校。
一校目の京都高等工芸学校は不合格。
そして二校目の東京高等芸術学校の図案学科は京都以上に狭き門、
京都と東京の美術学校を受験し、京都は不合格になり狭き門のはずの東京で合格、というのは史実に同じ。
また、嵩くんの合格発表の場面では、あの登美子さんがまたしても登場。
しかし今週の登美子さんは嵩くんの前には姿をあらわしません。
そして陰で嵩くんを見守り「おめでとう」の一言。
登美子さんはもう一回出番が用意されています。
もう一回の場面では都美子さんの母性愛が描かれるのですが、今週の都美子さんの登場場面はその時のフラグになるのかもしれません。
『虎に翼』へのオマージュ
将来が決められない嵩くんと、すでに法学の道に進むと決めた千尋くん。
このギャップも前週のままですが、法律家になると決めた千尋くんのセリフに『虎に翼』ネタが登場します。
実は『虎に翼』ネタは第3週でも登場しました。
千尋くんが法律家を目指すと宣言した直後、千尋くんは家で図書館で借りてきた法学の本を読んでいる場面がありました。
その本のタイトルは『法窓夜話』。
この本の著者は法学者・穂積陳重氏で、氏はトラちゃんの生涯の師であった法学者・穂高教授の実在モデルです。
第3週の『虎に翼』ネタは実在モデルの著書を登場させる間接的なものでした。
しかし今週は『虎に翼』ネタがそのまま登場します。
千尋くんが新聞で読んだ「共亜事件」に言及するんです。
「共亜事件」は、トラちゃんのお父上の直言さんが嫌疑をかけられた事件です。
千尋くんは「共亜事件」で嫌疑をかけられた人々に同情を示し、「正しいことが正しいと認められる世の中にしたい、そのためにも一日も早く法の道に進みたい」と熱く語ります。
猪爪家が窮地に陥っていたころ、高知にこんな頼もしい法律家の卵がいたんですね。
『虎に翼』にも『ブギウギ』の団体や登場人物が出てきましたが、本作にも『虎に翼』の事件がそのまま登場。
『ブギウギ』『虎に翼』そして『あんぱん』は同じ世界の物語のようです。
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