らんまん

植物学者・伊藤圭介の孫 / らんまん 第70回

2023/7/7(金)第14週「ホウライシダ」

あらすじ

ある日、万太郎は博物館で研究をしている植物学者・里中のもとを訪ねました。万太郎はそこで伊藤孝光という青年を紹介されました。孝光の祖父・伊藤圭介はシーボルトの助手をつとめた経験を持っている名の知られた学者でした。

孝光が伊藤圭介の孫であることを知った万太郎は、孝光との出会いに心から感激しました。しかし万太郎との会話の中で孝光は「東京大学」という言葉を聞いた途端に怒り出し、出て行ってしまいました。

孝光は祖父や叔父と研究を続けていたトガクシソウを、マキシモヴィッチ博士に既知の植物の一種と検定されていました。しかしその後、田邊教授がトガクシソウを検定に出したところ新種と検定され、そのことを孝光は怒っていたのです。

一方で万太郎は、新種の植物を発表する手立てを里中に相談しました。万太郎に相談された里中は本を出せばいいと助言。それまで思い詰めていた万太郎は、里中の助言によってようやく道を見出すことができました。

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感想

孝光くん

「東京大学」と聞いて怒り出した孝光くんは、次週のどこかで騒動を起こすはずです。

孝光くんがこれから起こす騒動は史実では「破門草事件」という名で記録されています。

事件の一連の流れは以下のとおりです。

リアル孝光くんの叔父上とトガクシソウ
史実では、リアル孝光くんの叔父上がトガクシソウを採集。

東京で植栽し開花に成功させるもののリアル孝光くんの叔父上は20代後半の若さで早逝し、叔父上の研究はリアル孝光くんが受け継ぐことに。

その数年後、リアル孝光くんはロシアのマキシモヴィッチ博士にトガクシソウの標本を送付。

マキシモヴィッチ博士は既知の植物の一種と検定。

リアル田邊教授とトガクシソウ
リアル孝光くんが送付した標本のマキシモヴィッチ博士による検定と前後して、リアル田邊教授もトガクシソウを採集して東京で植栽、開花に成功。

リアル田邊教授も検定を依頼するためにマキシモヴィッチ博士に標本を送付。

するとリアル孝光くんのときには既知の植物の一種とされたものが、リアル田邊教授のときには新種の可能性ありとの検定結果が出たのだとか。

リアル田邊教授の名を冠した学名をつけるにあたり、マキシモヴィッチ博士は追加で標本を送るようにリアル田邊教授に通知。

リアル田邊教授は新種に自分の名前がつけられることをリアル孝光くんに報告。

リアル孝光くんの焦り
自分が標本を送付した際には既知の植物の一種とされたものが、実は新種だった上に学名にリアル田邊教授の名前がつけられそうだということでリアル孝光くんは焦りました。

トガクシソウの研究はリアル田邊教授が取り組む以前から、リアル孝光くんが取り組んでいたことなので、自分こそが新種の発見者だという思いもあったのでしょう。

リアル孝光くんはトガクシソウが新種として発表される前に先手を打って、イギリスの植物学誌にてトガクシソウを新種として発表。

それによってリアル孝光くんの苗字「ito」が新種の学名につけられることに。

そのため、リアル田邊教授の名前がついた学名は無効に。

激怒したリアル田邊教授
リアル田邊教授は新種発見者としてのポジションを失い激怒しました。

ところでリアル孝光くんは、リアル万太郎くんと同様に東京大学の植物学教室に出入りを許されていた在野の植物学者でした。

リアル孝光くんの抜け駆けとも言える行為にリアル田邊教授は激怒。

そしてリアル田邊教授はリアル孝光くんの東京大学の植物学教室への出入りを禁じました。

すなわち破門したのです。

この騒動によりトガクシソウは「破門草」という残念な異名がつけられ、一連の騒動は「破門草事件」と呼ばれることに。

ドラマの中の「破門草事件」
次週、ドラマの中で「破門草事件」が描かれるものと思われます。

一週間後の金曜日に「植物学会を揺るがすほどの事態にまで発展」というエピソードがあり、これが「破門草事件」と思われます。

ドラマの中ではこの事件によって田邊教授は失意のどん底に。

一方、同じころに万太郎くんは植物学者として快進撃を続け、一躍ときの人に。

田邊教授が失意のどん底にいるそのとき、田邊教授が「虫ケラ」とまで言って見下した万太郎くんは注目の植物学者に。

このギャップが田邊教授をますます追い詰めることになるのかもしれません。

とことんまで追い詰められた田邊教授がキレるとき、とても恐ろしいことが起こるような気がします。

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予習レビュー

前回の本欄では、要潤さんが語る田邊教授の胸の内を通して、7月に予想される田邊教授の心の闇について書きました。

さて、田邊教授が万太郎くんへの嫉妬心を募らせる描写が7月に続くことが予想されます。

そして7月の下旬か8月にはついにXデイが描かれるものと思われます。

Xデイとは田邊教授が万太郎くんを大学から追い出す日のことです。

田邊教授が万太郎くんを大学から追い出すまでに、田邊教授と万太郎くんの間に生じるギャップについて、要潤さんが次のような言葉を発しています。

・田邊は教授という立場を利用して万太郎を自分の敷いたレールを歩かせようとする
・それが東京大学のためになるというのが田邊の主張

一方で

・万太郎はもっと広い世界を見ている

東京大学のためになることが一番の関心事の田邊教授。

東京大学という特定の大学ではなく、日本の植物学に対して貢献することが願いの万太郎くん。

この視座の高さの違いが田邊教授と万太郎くんの間に亀裂を生じさせるようです。

ちなみにリアル田邊教授はリアル万太郎くんを大学から追い出した後、ご自身も大学から追い出されてしまいます。

ドラマの中でもそんな展開になったとしたら。

東京大学のためになることが一番の関心事の田邊教授が東京大学を追い出される、実に皮肉な展開になるのかもしれません。

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POSTED COMMENT

  1. 還暦のたつお より:

    「教訓その10 殺しは一度やったらやめられない。」ずんこ様まさか、ここでマカロニウエスタン屈指の傑作「怒りの荒野」が出て来ようとは思いませんでした。後年、この映画の監督トニーノ・ヴァレリは 吉川晃司さん主演で日本、イタリア合作映画「シャタラー」を撮る事になるのですが、日本側のプロデューサーだった渡辺プロの渡辺晋社長が、吉川晃司さん主演の「すかんぴんウオーク」などの演出を手掛けていた大森一樹監督(この人はヴァレリ監督の「さすらいの一匹狼」、「怒りの荒野」をリアルタイムで見ていた。)にヴァレリ監督の印象について解説を求めていたそうです。何を大森氏、が渡辺氏に語ったのか気になる所ですが、お二方とも鬼籍に入られた今となっては知るすべはありません。

  2. ずんこ より:

    寿惠子ちゃんが、健気です。
    自分も寂しいのに、もっと一緒に過ごしたいのに、それよりも万太郎くんの体の方を気遣う。
    竹雄くんからの申し送り、その③。
    なんだか、ジュリアーノ・ジェンマとリー・ヴァン・クリフの『怒りの荒野』ガンマン心得10ヶ条を思い出してしまいました。
    「教訓その3、銃と的のあいだに立つな」。

    伊藤孝光くん。
    彼もまた、なかなか個性的な人物ですね。
    今後万太郎くんと、はたまた田邊教授と、どのような展開が待ち受けているのか。
    楽しみです。

    田邊教授と言えば、奥さまの聡子さん。
    最初は「教授の妻」の役割を果たすことだけを求められる、半ば政略結婚のような辛い立場なのかと思っていました。
    でも聡子さんは田邊教授を慕っているし、教授も聡子さんを大切に思っている様子。
    なんだ、いいご夫婦じゃありませんか。
    万太郎くんを「有用(「有能」ではない)」と称したり、いかに利用価値があるか、どれだけ自分の役に立つかだけでしか人を見ていないように見える田邊教授。
    教授の意外な一面を見ました。

  3. ばなななち より:

    大学の外からの評価が泥棒教授…

    万太郎くんの次の目標が決まりましたね
    目指せ!植物学の本の出版!

  4. 還暦のたつお より:

    野田先生は戦国時代にタイムスリップして、武田家重臣、穴山梅雪として暗躍しているので、今回は出て来ません。武田勝頼に折角の和平案を反故にされたので、多分、勝頼を罠に嵌めようとしています。

  5. 還暦のたつお より:

     長屋の朝、夜なべで研究、うたた寝、寿恵子さんだけじゃなくて自分の事さえ構わない万さん。竹雄さんの存在はまだまだ大きい。伊藤さん、田邊教授と東京大学人脈と確執が。「可憐な花をめぐって人間が争っている。」辛いねえ。シダが好き。こんな所にも田邊教授の性格が。里中先生のアドヴァイス「本を出す」これが新たな苦難の始まり?でも竹雄さんのアドヴァイスも貴重。ちゃんと寝ろよ。「草花みたいに観察しないでください。」そりゃそうだ。

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