らんまん

万太郎が植物学教室助手 / らんまん 第106回

2023/8/28(月)第22週「オーギョーチ」

あらすじ

明治26年(1893年)。万太郎が徳永教授に正式な助手として迎えられ、7年ぶりに植物学教室に戻ることができました。そして教室で標本の検定をしていた学生たちを手伝い、万太郎の知識の確かさは学生たちを驚かされました。

助手として迎えた万太郎に対して徳永が命じました。これからは植物学教室の標本を充実させることに専念せよと。続けて徳永は万太郎に言いました。ドイツの植物学の中心は顕微鏡を使った解剖学だと。

そのころの徳永は植物の精虫の研究で世界の頂点に立つことを目指していました。そして、植物学は勝つか負けるかそれがすべてだと徳永は確信していました。徳永の言葉に、万太郎は違和感を感じずにはいられませんでした。

そんな中、大窪が万太郎に言いました。野宮はもう画工ではない。顕微鏡の奥の世界を描かれる画工兼植物学者だ。地べたを這いずるような万太郎の植物学はもう古い。何のために植物学教室に戻って来たのかと。

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感想

万太郎くんが植物学教室に戻って来ました。

今回は万太郎くんが7年ぶりに植物学教室に戻ってきた回。

お祝いムードであふれた回になることを期待していたのですが、お祝いの「お」の字もない。

微妙に険悪な空気と、近い将来への悪い予感がしかない回でした。

徳永教授がドイツで見たこと

徳永教授はドイツ留学中、科学技術の遅れた極東の島国からやって来た「遅れている人」として見下され続けていたのかな?

今回、徳永教授が万太郎くんに言いました。

今や欧米で最もよく知られた日本の植物学者の名は「MAKINO」であること。

「MAKINO」の描いた植物画の精密さが評価されていることを。

そして徳永教授はこの「MAKINO」への評価を苦々しく思っているらしい。

「MAKINO」への評価とは、裏を返せば器用に植物画を描く以外に何の取り柄もないと受け取れなくもない。

徳永教授はこうも言いました。

「日本人は器用だ」と言われたと。

しかもその時の徳永教授の口調はまるで吐き捨てるような口調。

日本の植物学は「器用に植物画」を描けること以外、何もない。

留学先で徳永教授は、そのくらいに言われ続けていたような気がします。

だからこそ余計に勝ち負けにこだわることになるのでしょう。

欧米の植物学者たちを見返すことが今の徳永教授の研究のモチベーションになっているらしい。

万太郎くん、徳永教授のそんな気持ちを受け入れることができるのかな?

大窪さん

大窪さんのことがもっと心配です。

7年ぶりに植物学教室に戻って来た万太郎くんを、波多野くんや野宮さんが歓迎する中、大窪さんだけは複雑な表情を浮かべたまま。

かつて万太郎くんとの共同研究で成果も出せたというのに。

そしてついに大窪さんが口を開いたと思ったら。

「なんで戻って来たんだ」
「切られた」

などなど、訳ありげな言葉の連発。

大窪さん、どうやら植物学教室の変化に乗り遅れたようです。

ドイツから帰国した徳永教授が植物学教室の後任教授となり、植物学教室の研究方針が大きく変化した。

もともと、顕微鏡の中の世界を追求していた波多野くんと、波多野くんを手伝って野宮さんは変化の追い風にうまいこと乗ってしまった。

とりわけ野宮さん。

ただの画工に過ぎなかったのが、今では顕微鏡の奥の世界を描かれる希少な画工にして植物学者です。

植物学教室の中での大窪さんと野宮さんのポジション、逆転したのかもです。

かつては学生だった波多野くんのポジションも、どうやら大窪さんを逆転しているらしい。

変化に乗り遅れてしまった大窪さんの目には、万太郎くんの姿に自分の姿が重なるのかな?

というわけで波乱含みの一週間の始まりです。

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予習レビュー

今週は万太郎くんが植物学教室の助手として採用されるところからスタートです。

さて、今週は園子ちゃんが亡くなってから何年も経っている設定となっています。

ドラマの中では園子ちゃん急死の深い悲しみから立ち直ってから3年が経過したころが、寿恵子ちゃんが借金取り対応をしていたころ。

そこからさらに2〜3年後に田邊教授が溺死。

そして今週にいたります。

しかし、史実ではリアル万太郎くんが植物学教室の助手になったのはリアル園子ちゃんが急死したのと同じ年。

史実での出来事を時系列に並べると次の通りです。

明治23年(1890年):植物学教室への出入りを禁止される
明治24年(1891年):マキシモヴィッチ博士の死によりロシア行き断念
明治24年(1891年):実家の家財を整理
明治26年(1893年):植物学教室の助手
明治26年(1893年):長女急死

なお、長女の急死の三年後

明治29年(1896年):植物採集のため台湾への出張命令

という出来事があり、今週のドラマの中でこの台湾出張のエピソードが描かれます。

なお台湾が日本に割譲されたのが明治28年(1895年)のことなので、リアル万太郎くんが台湾に行ったのは、台湾の日本統治が始まってすぐのタイミングでした。

ところで今週のサブタイトルである「オーギョーチ」は台湾の植物です。

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POSTED COMMENT

  1. らんまん荒木 より:

    らんまんには初めて投稿します。結婚以来寿恵子さんの登場がない珍しい回でしたね。

  2. ずんこ より:

    万太郎くん不在の間に、植物学教室はずいぶんと変わってしまったようですね。
    みんな洋装で、学生さんは詰襟だしみんな白衣を着て…。
    特に、徳永教授。
    ドイツ留学から帰って来てから、なんだか雰囲気が変わりました。
    アメリカで祐一郎くんが見聞きしたような、何か忸怩たる経験をされたのでしょうか。
    それで、負けてなるものかッ、という気持ちが強くなったのかもしれません。
    波多野くんがずっと興味をもって追い続けていたものが、今や学界のトレンドになっている。
    波多野くんと野宮さんは、その潮流に乗ったのでしょうね。

    一方、流れに乗り損ねた様子の、大窪さん。
    大窪さんの言葉には、変わってしまった植物学教室への嘆きと、そんな中に戻ってきてしまった万太郎くんを心配する気持ちが混在しているように見えました。
    大窪さんは万太郎くんが好きなんだろうな、と思いました。

  3. よるは盛んに より:

    政市「ドイツ・・・・・・・・確かに行かなければわからなかった・・・・・・・・・・。」

    ドイツという国は学問・研究においては世界で一番進んでいたようですね。
    故・渡部昇一先生の著書「続・知的生活の方法」にあったのですが、「英語学」という学問においてイギリスがドイツに遅れをとっていた時期があったとか。

  4. 還暦のたつお より:

    万さん東大復帰、あれっ全員白衣を着ている、何かが以前とは違っているのか?田邊教授の英語に代わって徳永教授のドイツ語。何か嫌な予感が。「勝ち負けなんだよ。」徳永教授の解剖重視。フィールドワーク重視の万さんとは齟齬が。追い打ちをかけるように大窪さんの嫌味。野宮さんの出世は良かったが。ただ大窪さんは首のなったの?という事は嫌味じゃなくて忠告?

  5. 還暦のたつお より:

    恩田大佐役の近藤公園さん、どちらかと言えばひ弱な役柄のイメージがあったけど今回はその痩身がエリート軍人っぽい雰囲気を醸し出している。財界人、文化人と頻繁に面談しているところを見ると参謀本部付き?そういえば石原莞爾も辻政信も大佐だった。軍、とか師団とか重い責任を背負ちゃう将軍クラスと違って、帝国陸軍にあっては大佐という階級が一番動き易かったのかな?

  6. 名乗る程の者ではございません より:

    宮澤エマさんの祖父は宮澤喜一元首相
    数年前だったかな?
    吉田茂主人公のドラマで若い頃の宮澤喜一さんもえがかれていたけど、勝地涼さんが演じていましたね
    勝地さん、蜷川幸雄さんに鍛えられたから演技力にも定評がありますね、甘いマスクで前田敦子さんの元旦那
    というわけで明日は10年振りに再放送「あまちゃん」に前髪くね男が出ます、ワンクールのレギュラーよりひとつの伝説というエガちゃんの名言を体現したケース、トレンド入り不可避🤣

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