2023/11/9(木)第6週「バドジズってなんや?」

あらすじ

羽鳥とスズ子の厳しいマンツーマンレッスンはその後も続くものの、羽鳥は相変わらずスズ子の歌を認めませんでした。そして大和礼子のようになりたいと言うスズ子に羽鳥は言いました。スズ子は「福来スズ子」を作らないといけないと。

行き詰まったスズ子は、演出家の松永に相談。羽鳥をよく知る松永はあるアドバイスをスズ子にしました。羽鳥を嫌いになりそうだという気持ちのまま、今の自分の気持ちに素直になって歌ってみてはどうかと。

松永のアドバイスの通りにやってみようと心に決めたスズ子は、意を決して羽鳥の自宅へと向かいました。そしてスズ子は歌の稽古をつけほしいと羽鳥に頼み、スズ子の願いを受け入れた羽鳥は、スズ子を自宅に招き入れました。

スズ子は松永の言葉を胸に、「羽鳥を殺す」つもりで踊りながら歌いました。そんなスズ子の歌を羽鳥はようやく認めました。一方、羽鳥の妻・麻里は、ジャズを歌える歌い手と出会えたと羽鳥が喜んでいることをスズ子に告げました。

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感想

「笑う鬼」

演出家の松永さんの言葉を借りるなら羽鳥先生は「笑う鬼」。

笑っているときが実は羽鳥先生が一番怖いとき?と昨日までは考えていました。

しかし今回、その考えを少しだけ改めました。

羽鳥先生が笑っているときは、シンプルに嬉しく笑っているときもあるらしい。

それがわかったのは羽鳥先生の奥様の言葉から。

羽鳥先生の奥様の麻里さんスズ子ちゃんに言いました。

「いい歌い手さんと出会えたって。あなたのことでしょ?」

この言葉で、羽鳥先生はスズ子ちゃんのことを認めていると確信できました。

さて、羽鳥先生は今回の冒頭でスズ子ちゃんに言いました。

「君はどんな歌手になりたいの?」
「大和礼子は二人いらない」
「福来くんは『福来スズ子』をつくらないといけない」

羽鳥先生は、スズ子ちゃんが「第二の大和礼子」ではなく「第一の福来スズ子」になることを期待しているらしい。

「第一の福来スズ子」が生まれる瞬間が、本当にやりたいジャズができるとき。

今回の羽鳥家での稽古によって「第一の福来スズ子」が生まれる瞬間が少しだけ近づいたのかな?

「第一の福来スズ子」

「第一の福来スズ子」誕生のヒントは、麻里さんの言葉の中にあったような気がします。

羽鳥先生とスズ子ちゃんの稽古をはたで聞いていた麻里さんが言いました。

「お歌とピアノが喧嘩しているみたい」だと。

この麻里さんの言葉で気がつきました。

大和礼子のスタイルは演奏と歌と踊りが一つに融合されていること。

今回までのスズ子ちゃんは演奏と歌と踊りの融合を目指していたのかな?

一方の羽鳥先生は演奏から歌と踊りが飛び出すことをスズ子ちゃんに期待しているらしい。

スズ子ちゃんに何かを見出した演出家の松永さんも、スズ子ちゃんならそれができるだろうと見抜いたと思われます。

演出家の松永さんには「第一の福来スズ子」の誕生の瞬間が見えているらしい。

羽鳥先生も「第一の福来スズ子」の誕生を期待している。

残るはスズ子ちゃん自身の目標が「第一の福来スズ子」になることです。

ライフワーク

前回の本欄にも記しましたが、スズ子ちゃんは第2週ですでに歌と踊りの世界に入り、自分の生きる道を見つけました。

これまでの朝ドラと比較した場合、自分の道を見つけるまでのスピードは異例のはやさです。

しかし、もしかするとスズ子ちゃんは自分の道を見つけていないのかもしれません。

早くから歌と踊りの世界に入ったので自分の道を見つけたように見えてはいましたが、実は自分の道を見つけてはいなかった。

ではスズ子ちゃんの自分の道は何かといえば、それが「第一の福来スズ子」です。

「第一の福来スズ子」が生まれる瞬間が、スズ子ちゃんが自分の道を見つける瞬間。

かつて大和礼子が「あなたの歌はいつか大化けする」とスズ子ちゃんに言いましたが、大化けする瞬間が「第一の福来スズ子」誕生の瞬間。

その記念すべき瞬間がようやく見えてきました。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

古関裕而氏と軍歌

今週描かれる昭和13年(1938年)ころには戦時歌謡(軍歌)が盛んに作曲されていました。

朝ドラ『エール』の主人公の実在モデル・古関裕而氏も昭和13年(1938年)の前後には

昭和12年(1937年)
「彈雨を衝いて」
「露営の歌」
「続 露営の歌」

昭和13年(1938年)
「愛國の花」
「婦人愛國の歌」
「憧れの荒鷲」

などを発表しています。

服部良一氏と軍歌

一方、同時代に活躍した服部良一氏はどうだったか。

ドラマの中では羽鳥善一の奥様による「軍歌を書いて稼いでくれたらいい」というセリフがあったり。

また羽鳥善一本人も「僕には軍歌を書く才能がない」というセリフがあったり。

また史実の中の服部良一氏は軍歌を一切書かなかったという伝説もあったりします。

しかし実際には服部良一氏も戦時歌謡(軍歌)を何曲も残しています。

音楽之友社の『日本軍歌全集』の中に、服部良一氏による戦時歌謡(軍歌)が収録されています。

収録曲は以下の通りです。

「いとしあの星」(サトウハチロー詞・服部良一曲)
「湖南進軍譜」(佐伯孝夫詞・服部良一曲)
「銃後の妻」(朝倉安蔵詞・服部良一曲)
「祖国の柱」(大木惇夫詞・服部良一曲)
「蘇州夜曲」(西條八十詞・服部良一曲)
「沈黙の凱旋に寄す」(新居あづま詞・服部良一曲)
「チャイナタンゴ」(藤浦 洸詞・服部良一曲)

服部良一氏も軍歌を発表していますが、古関裕而氏のようなヒット曲は出なかったようです。

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