ばけばけ

銀二郎出奔/トキが上京 / ばけばけ 17回

2025/10/21(火)第4週「フタリ、クラス、シマスカ?」

あらすじ

銀二郎が出奔しました。勘右衛門は刀を売り払い、トキはその金を旅賃にして銀二郎がいる東京に向かいました。しかし銀二郎が住んでいるはずの東京本郷の下宿にいたのは、トキの見知らぬ男性でした、

トキは自分が銀二郎の妻であることを告げると、その男性はトキを部屋に招き入れてくれました。疲れ切っていたトキは、そのままその部屋で居眠り。目を覚ますと、松江出身で帝大に通っている若宮と根岸という名の男性がいました。

トキが最初に出会った男性は松江随一の秀才・錦織友一であることを根岸と若宮はトキに説明。根岸と若宮はまた、帝大の前で倒れていた銀二郎を助け、今は銀二郎も一緒に暮らしていることをトキに語って聞かせました。

そのころ松江では、司之介、フミ、勘右衛門らが、トキはこのまま銀二郎と東京で暮らし始め、松江には戻らないのではないかと不安を募らせていました。一方東京では、その日の仕事を終えた銀二郎はトキが待つ下宿に向かっていました。

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感想

新キャラ

トキちゃんが東京に着いた前回の最後の続きから。

銀二郎くんが暮らしているという下宿は意外なほどすぐに見つかりました。

すぐとは言っても、その下宿に着くまでの長旅で大変な思いをしたのは間違いなさそうですが。

さて、下宿はすぐに見つかるもののそこに銀二郎くんはいませんでした。

それが銀二郎だと思い込み、外から呼びかけたのはトキちゃんの知らない男性でした。

うっかり居眠りしてしまったトキちゃんが目を覚ました後に部屋の中にいた若宮くんと根岸くんによれば、トキちゃんが最初に会った男性は松江一の秀才。

若宮くんと根岸くんの態度からも、その男性=錦織くんがどれほど敬意を払われた人物であるかがよく分かります。

さらに、若宮くんと根岸くん、そして最後に名前が判明した錦織くんの三人は松江出身。

このタイミングでの松江出身者の登場は次週以降のフラグであることは明らか。

ちょっとネタバレになりますが、錦織くんは次週の月曜日か火曜日から本格的に登場します。

なので今回の登場は間違いなくそのときへのフラグです。

そして新キャラが続々と登場する新たなフェーズへのフラグでもあるのでしょう。

トキちゃんの上京手段

トキちゃんが9日間かけて上京した手段がネットユーザーの間で話題になっていますが、どのような手段で上京したのか。

ざっくりとまとめてみました。

松江から最初に使う移動手段は蒸気船です。

松江を出港した蒸気船は西に向かい下関を経由して瀬戸内海へ。

そして瀬戸内海を通って大阪か神戸へ。

松江から大阪あるいは神戸への直行便があったのかどうかは不明。

直行便がなければ下関あたりで乗り換えが必要です。

これで3〜4はかかりそうです。

トキちゃんが上京した当時、東海道本線は全線開通していません。

トキちゃんが上京したのは明治19年ですが、新橋と神戸を結ぶ東海道本線の全線が開通したのは、明治22年です。

よって、東海道本線の開業区間は鉄道を利用。

未開業区間は人力車あるいは馬車。

松江から大阪あるいは神戸に到着するまでに3日ほど費やしていることを考えると、近畿地方から新橋に向かうまでに5日。

新橋に着いた後も本郷まではそれなりに距離があります。

仮に新橋から本郷まで徒歩で移動した場合、道路が整備されている現代でも4〜5時間はかかるかと。

新橋から本郷までの間は皇居もある東京の中心地なので当時でも道路の整備はそれなりに進んでいたかと思います。

なのでやはり4〜5時間。

本郷の街をヨタヨタしながら歩くトキちゃんの姿。

あの姿は新橋駅から徒歩で数時間歩いた後の疲れ切った姿と思われます。

なお、明治20年ごろの本郷界隈の写真が残されていますが、今回登場した映画村(?)のセットとよく似ています。

実際の当時の本郷の道幅の方が若干広いですが。

本郷

明治10年(1877年)に東京帝国大学が開校。

それを機に、いくつかの学校が本郷とその周辺に開校、または移転。

学生が増えたことで本郷には下宿屋が多数開業しました。

当時、下宿屋が最も多く開業している東京の街は神田でした。

東京帝国大学が開校した十年後の明治20年(1887年)の時点で神田が394軒、本郷が355軒。

しかし、その五年後の明治25年(1892年)には本郷が371軒、神田が315軒と逆転しています。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

傳の機織り工場閉鎖

前週、傳さんの機織り工場が経営危機に。

機織り工場の状況はより正確にいうと資金難におちいり傳さんが資金調達のために奔走するような状態でした。

十年ほど前だったかトヨタ自動車を舞台にしたドラマで、資金難におちいったトヨタ自動車の経理責任者が資金調達に奔走する強度のストレスで急死する。

そんな場面があったことを思い出します。

傳さんもそんなストレスにさらされていたのでしょうか。

しかも傳さんは元は武士です。

資金難に悩むとかそんな経験はしてこなかったはずです。

ただでさえ重い病気を患っていたという傳さん。

資金調達に奔走するストレスによる消耗はどれほどのものか。

そして、ついに傳さんが死去。

前週は、雨清水家を相次ぐ不幸が襲いました。

そして今週はついに傳さんが遺した機織り会社が倒産。

工場も閉鎖されてしまいます。

機織り工場の閉鎖によって、トキちゃんと松野家の暮らしにも大きな影響が及びます。

トキちゃん解雇

機織り工場の閉鎖によって、トキちゃんは仕事を失ってしまいます。

当時、女性が働く場所はかなり限られていたはずです。

まして武士の娘となるとさらに限られるかと。

そんな状況下で、武士の娘が仕事をする機会を提供する。

傳さんの機織り工場にはそんな社会的な意義もありました。

というわけでトキちゃんは失業。

代わりの新しい仕事がすぐに見つかるわけもなく・・・

トキちゃんの稼ぎは、これまで松野家にとって貴重な収入源でした。

それがいきなりなくなったわけです。

まだ多額の借金を抱えたままの松野家の家計は、かなり厳しくなるかと。

そんな中、働き者の銀二郎くんはそれまでやっていた荷運びの仕事だけでなく、さらに仕事を増やします。

今でいう副業です。

そして、銀二郎くんの新しい仕事がさらなる悲劇を招くのですが、詳しくは次回の本欄で。

【史実】小泉家の機織り会社

傳さんの実在モデルである小泉湊は、家禄奉還によって手に入れた資金を元手にして機織りの会社を起こしていました。

その機織りの会社は士族の娘を集めて機織りの仕事を提供。

そして、そこでつくられた製品は大阪などで販売されていました。

トキちゃんの実在モデルである小泉セツさんもこの機織り会社で働く女工の一人でした。

小泉セツさんが機織り会社で働き始めたのは11歳のとき。

創業当時、機織り会社の経営は順調でした。

しかし、やがて経営が悪化。

小泉セツさんが18歳のころに小泉家の機織り会社は倒産。

機織り会社が倒産するだけでなく小泉家は広大な屋敷をも失うことになりました。

ドラマの中でも、大河ドラマのセットのようだと言われている雨清水家の屋敷もやがて失われることになるのかもしれません。

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