らんまん

竹雄が働く西洋料理の店 / らんまん 第37回

2023/5/23(火)第8週「シロツメクサ」

あらすじ

東京大学に通い始めた万太郎は、植物学教室の学生たちと一緒に植物の話に花を咲かせるのが望みでした。しかし、万太郎はよそ者扱いをされ、徳永や学生たちは万太郎を受け入れようとはしませんでした。

そんな中、植物画を描くことを請け負っている画工の野宮がやって来ました。万太郎は野宮に話しかけるものの、野宮も万太郎のことを受け入れはしませんでした。野宮もまた万太郎をよそ者扱いしたのです。

東京大学の中で孤立し落ち込んだ万太郎は、りんを誘って竹雄が働いている西洋料理屋「薫風亭」に足を運びました。食事の席でりんは、万太郎が孤立してしまう理由を解き、万太郎を励ましました。

一方、寿恵子はかる焼きを用意して、万太郎が「白梅堂」にやって来るのを待ち構えていました。しかし万太郎が姿をあらわすことはありませんでした。同じころ、万太郎は大学の中で孤立する寂しさを竹雄に訴えていました。

<<前回36回 | 次回38回>>

第8週 | 第9週 | 第10週 | 第11週 | 第12週
第13週
らんまん|感想あらすじネタバレトップページ

Sponsored Link

感想

万太郎くんの孤立

万太郎くんが大学の中で完全に孤立。

万太郎くんの植物の知識の豊富さや標本づくりの腕前が認められ、一時は受け入れられたように見えましたが…

しかし考えてみれば、万太郎くんが受け入れられたように見えたのは田邊教授がいる場所でのこと。

学生たちも助教授も講師も田邊教授には逆らえない。

特に何かと面倒な性格が見え隠れする田邊教授に異を唱えようものななら、その後の報復が大変なことになりそう。

だから田邊教授がいるところでは「よそ者」という本音は出せなかったのでしょう。

しかし田邊教授がいないところなら安心して「よそ者」という本音を出せる。

それが今回の孤立の描写なのかな?

さて、万太郎くんは今の状況からどのように脱却することになるのか?

次回あたりからは、万太郎くんの学生たちの関係に変化が見えてきますように。

万太郎くんが竹雄くんにこぼした一言。

「佐川で一人でいたときより寂しい」

この言葉があまりにも寂しすぎました。

寿恵子ちゃんの中での万太郎くんの存在

寿恵子ちゃんの中での万太郎くんの存在の重要度がいつの間にかアップ!

寿恵子ちゃんといえばこれまでは読本に夢中。

えみさんに鹿鳴館の話を聞かされてからは、まだ見ぬ世界への憧れもそこに加わる。

寿恵子ちゃんの関心事はその2点でした。

そしてそんな寿恵子ちゃんのことをお母上のまつさんは、口を開けば子供だ子供だと言っていたのですが…

寿恵子ちゃんはもう子供ではないようです。

それはともかく、白梅堂にたびたびやって来てはお菓子を求めるだけでなく、寿恵子ちゃんにさりげなくアタックする万太郎くんに心が揺らがないわけがない。

でも寿恵子ちゃんはまだ自分の気持ちの変化には気づいていないかもしれません。

だから、さりげないアタックが途絶えてしまったら、寿恵子ちゃんの中での万太郎くんの重要度は落ちてしまうかも。

そして、ここしばらく寿恵子ちゃんの中で万太郎くんが占めていた位置に、次週、あるいは早ければ今週中に鹿鳴館が入ってくるのかな?

よりによってこんなタイミングで万太郎くんが落ち込み、白梅堂に足を運ぶことを忘れてしまう皮肉。

しかし、そのすれ違いはまた、これからの波乱含みの展開が見え隠れしていて楽しみでもあります。

文太さん

前回、文太さんがヨモギを練り込んだ新作菓子を披露していましたが、その新作菓子を改良したのが今回のボタンの葉のお菓子?

寿恵子ちゃんが持っていたボタンの絵を見るなりなにかのひらめきを得たらしい文太さん。

その絵を寿恵子ちゃんから借りると、狭い店内でどうしてそこまで慌てるのか?と疑問に思うほどのあわてぶりで菓子工房に入ってゆきました。

文太さん、前回披露した新作菓子の試作品の出来栄えに満足していなかったのかな?

味覚は寿恵子ちゃんが満足していたのでその点は合格。

でも何かが違う、何かが足りない。

何かが不足しているという違和感が残るものの、その違和感の正体が見えてこない。

そんなふうに悶々していた文太さんの目の前にあらわれたのが寿恵子ちゃんが手にしていたボタンの花。

新作菓子の試作品に足りなかったものがはっきりとわかった文太さん。

そのひらめきが消えてしまわないうちに、あわてて試作品の改良をしたのでしょうか。

もしそうだとすると、職人さんの仕事を尊敬しているブログ主としては、ディティールまで徹底してこだわり抜く文太さんを尊敬せずにはいられない。

地味な存在ですが、ブログ主の中では文太さんの存在感が急にアップした回でした。

Sponsored Link



予習レビュー

竹雄くんが「薫風亭」という名の洋食屋さんで給仕の仕事を始めますが、この仕事は当時の最先端の仕事と思われます。

というのも東京で初と言われる西洋料理店「築地精養軒」が開店したのは1873年。

続いて1876年には上野に「上野精養軒」が開店。

このころより西洋料理屋が普及し始めたとのこと。

とは言っても明治期の西洋料理屋は、一部の上流階級の人たちだけのもの。

そんな西洋料理が洋食として一般の人にも普及したきっかけは1923年の関東大震災。

震災によって多くの西洋料理屋は営業ができなくなり、料理人たちが失職。

そして職を失った料理人たちは自分で店を持ったこと。

また欧米から送られてきた支援物資の中に含まれていた西洋の食材が、庶民の手に渡ったこと。

これが洋食屋の普及につながったのだとか。

ちなみに万太郎くんの生まれて初めての上京は1881年。

そして東京暮らしを始めた今は、初めての上京の一年後なので1882年。

西洋料理はまだまだ庶民には高嶺の花の時代、竹雄くんはそんな最先端のお店で仕事を得たわけです。

余談ですが『ごちそうさん』のヒロインの生家は洋食屋でした。

ヒロインが生まれたのは関東大震災より前のことなので、今にして思えば時代の先をゆく商売をする家でヒロインは生まれていたのですね。

<<前回36回 | 次回38回>>

第8週 | 第9週 | 第10週 | 第11週 | 第12週
第13週
らんまん|感想あらすじネタバレトップページ

POSTED COMMENT

  1. 還暦のたつお より:

    名乗る程の者ではございません様。深作監督が撮った「里見八犬伝」、「魔界転生」のファンタジー系と「宇宙からのメッセージ」、「復活の日」のSFどちらが似合っているかと言えば?どれも深作監督は全力で撮っているのですが、向き不向きがあるのですね。でも大昔に深作監督が撮った「宇宙大作戦ガンマ3号」は割と好きです。

  2. 名乗る程の者ではございません より:

    還暦のたつお様

    あと加齢により食の好みが変わったこともあるかもしれませんね、牛肉と先日コメントしましたが鯨肉がありましたら迷うことなく私は鯨選択します
    あと本日夜に映画「里見八犬伝」がBSPでありますね、また明日のコメント欄に感想書く所存です
    ポイントは、舞台や時代は違えど同じような話で同じ監督で同じようなJACの面々が出演していて(JAC以外ですと、成田三樹夫さんが同じく敵役で福本清三さんは同じく斬られます)なぜ映画「宇宙からのメッセージ」はあんなにつまらなかったのかということです、個人的には

    • 名乗る程の者ではございません より:

      あ~っ、すいません
      昼間に放送されていたんですね
      見逃した、録画もしていない

      誤情報すいません🙏

  3. ずんこ より:

    寿惠子ちゃん。
    初登場の時から、ただのお菓子屋の娘にしては気品があるなと思っていました。
    お母さんが元売れっ子の新橋芸者と聞き、なるほどと思いました。
    きっと、幼い頃から厳しい躾と修業を続けてきた元売れっ子新橋芸者のお母さんに、キチンと躾けられて育ったのだろうと想像しました。
    況してや、お父さんは元お武家様(武士の娘!)。
    妾腹とはいえ可愛がられて育ったようだから、そちらでもそれなりのお行儀は仕込まれたでしょう。

    そんなお父さんの遺品の『八犬伝』の、牡丹の花。
    寿惠子ちゃんの中で、八犬伝の牡丹の花がだんだんと「万太郎くんの牡丹の花」になりつつあるような。

  4. たいとうみほ より:

    私にとって今日のツボだったのは「西洋レストランに掛け軸」というミスマッチぶりでした。東京美術学校(の前身)ができたのが1876年なのでまだまだ洋画を描ける日本人は少ないし、日本人でも馴染みやすい印象派のスタート(第1回印象派展)は1874年、それ以前の西洋画の主流は宗教画や肖像画ですから当時の日本人には恐らく違和感ありあり。そもそも絵というのは好き好きの世界ですし、目利きできる画商がまだ日本にいなければ、この当時の民間経営の店ではとても西洋画を飾る事はできないのでしょう。そんな美術史の側面を考えてしまいました。

  5. ばなななち より:

    第三者目線の万太郎くんへのイメージを、万太郎くんがキャッチするいい回でした
    研究室に出入りするよそ者から、どのように研究室の仲間になるか、気になりますね!

    竹雄くん、体の半分が脚!かっこいい!
    寿恵子さん、嬉しいことを万太郎くんにすぐ伝えようとする!かわいいです!

  6. 還暦のたつお より:

    名乗る程の者ではございません様。同感です。ガストやビッグボーイやいきなりステーキで割と安くステーキが食べれるようになってから有難みが失せた気が。昔みたいに一家の父親が奮発して年に一回食べにいくのがビフテキ。今日のビフテキみたいにレモンとパセリバターが乗ったやつ、皿のライスは当然フォークの裏で。記憶が美化されているのか昔食べた物の方が美味しかった気がします。

  7. 名乗る程の者ではございません より:

    ステーキではなくビフテキと呼ばれていた時代の方が美味く感じたよね、ワイだけかな?ただ、ワケわからないテーブルマナーでフォークとナイフ使う以外なくフォークの裏にライス乗せていた頃よりも箸で食ってもいい現代の方がいい時代だとも思う

    個人的にステーキが一番美味く見えた作品は「プロレススーパースター列伝」、画力もあるでしょうが昭和のプロレスラーに血の滴るステーキは絶妙に似合っていた

  8. 還暦のたつお より:

    あからさまに避けられている万太郎さん。画工さんまで、誰かに因果を含められたか。文太さん、万太郎さんの絵で新作和菓子のインスピレーション湧いたか?竹雄さんの職場、洋食店、レモンとパセリバターの乗ったステーキじゃなくてビフテキ。りんさん鋭い。人生の機微がわかってらしゃる。竹雄さん日本人離れした体形と風貌で女性客に人気。でも綾さん一筋。万太郎の深い孤独感解消されるか?

  9. 還暦のたつお より:

    昨日の放送分のクールポコさんの一件で、他のサイトでいくつか批判的な意見がありましたが、これを投稿して人達は、楽屋落ちという言葉の意味を知らなかったのだろうか?知らなかったとしても別に目くじら立てて怒るほどの事では無かったと思うのだが。もっと心に余裕とユーモアのセンスを持って欲しい。

コメントを残す