虎に翼

試験会場に現れない梅子 / 虎に翼 第29回

2024/5/9(木)第6週「女の一念、岩をも通す?」

あらすじ

高等試験を終え寅子が帰宅すると、猪爪家に梅子から手紙が届いていました。梅子は夫から離婚を言い渡されていました。そのため梅子は三男の光三郎を連れて家を出ることになりました。梅子は自分が果たせなかった想いを寅子に託していました。

昭和13年(1938年)3月、寅子たちは筆記試験を通過。ほどなくして寅子は口述試験の日を迎えました。寅子は焦りました。いつもより早く月経が来てしまったのです。具合が悪い中、寅子は口述試験に挑みました。

具合が悪い中での口述試験の出来栄えが不安だった寅子は、落ち込み続けていました。そして一ヶ月後、寅子は高等試験に合格しました。轟、中山、久保田も合格。それは初の女性弁護士が誕生した瞬間でもありました。

一方、優三は不合格となり、高等試験に挑むのはこれに最後にすると決断。優三の決意を聞かされた直言は、再度の受験を勧めるものの優三の決意は変わりませんでした。そんな中、高等試験に合格したものの寅子の気持ちは晴れませんでした。

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感想

前回、魔女ファイブのうち3名が離脱。

トラちゃんが高等試験に合格する今回は、悲しすぎる前回から一転して明るい回になるのかと思ったら、前回以上に陰鬱な回でした。

「ごめんなさい、さようなら」

魔女ファイブからの3人目の離脱者、梅子さんの悲劇が前回に引き続き描かれました。

狙い撃ちするかのように高等試験のタイミングを見計らっての離婚届。

しかも離婚届を出して早々に再婚。

梅子さんの受けたダメージはどれほどのものだったのか。

ご主人の前では「すんっ」でしたが、それ以外の場面では常に笑顔を絶やさなかった梅子さん。

梅子さんの周囲にはいつも春風が吹いているようでした。

魔女ファイブは梅子さんがいたからまとまりがあったとも言えます。

朝鮮に帰ってしまったヒャンちゃんも梅子さんに懐いていました。

そんな梅子さんがいなくなるのは痛い。

これから、登場人物たちは困難な時代を迎えます。

トラちゃんも受難の日々が続くはず。

そんな中、梅子さんがいなくなるのは実に痛い。

ただし、梅子さんは再度の出番があります。

それがわかっているのがせめてもの救いです。

本作第1回でトラちゃんが見せた涙の意味

本作第1回、新憲法制定を報道する新聞を読んだトラちゃんは涙を流していました。

あのとき、トラちゃんの涙の意味は分かりませんでした。

しかし今回、あのときのトラちゃんの涙が何を意味しているのかがようやくわかりました。

今回描かれたトラちゃんの「はて?」=違和感の数々が、あの涙で回収されていたようです。

久保田先輩は前年の口述試験で結婚の意思の有無を聞かれたとか。

そんなことは、弁護士資格とは何の関係もない。

受験者が男性だったら、そんなことは質問されなかったかと。

女性も高等試験を受験できるようになり、形の上だけは女性にも道が開けているように見えますが、変わったのは形だけ。

人の考え方は変わっていません。

そこに気がついたトラちゃんは「はて?」。

次の「はて?」は桂場さんの言動です。

男性と女性が受験するなら、男性の方を合格にするのは当然だと言い切る桂場さん。

誰をも凌駕する成績を残さなければな女性は日の目を見ない、みたいなことも言いました。

桂場さんのこの言葉、言い換えると普通の成績でも男性ならOKということです。

桂場さんの言葉もまた物語っています。

形の上だけは女性にも道が開けているように見えますが、変わったのは形だけということを。

こんな「はて?」ばかり。

しかも魔女ファイブの仲間たちは理不尽な理由で3人も離脱を余儀なくされた。

高等試験に合格して見えた景色は「はて?」ばかり。

従前と変わらぬ景色でした。

ちょっとネタバレになりますが、これからもしばらくの間は今回の同様の理由によるトラちゃんの「はて?」は多発する模様です。

そんな「はて?」が積もりに積もった末の新憲法制定。

それが第1回の河原の場面かと思われます。

さらに言うと、トラちゃんが涙を流したあの河原はトラちゃんにとっての思い出の場所になるようです。

第1回ではその意味がわからなかったトラちゃんの涙。

あの場面が回収されるときは、視聴者もトラちゃんの涙に共感できるのかもしれません。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

リアルトラちゃんは高等試験に一発で合格

ドラマの中で、トラちゃんは高等試験一発合格を目指していました。

そして昭和12年、名律大学の最終学年のときに一発合格を目指して高等試験に挑むものの、残念ながら一回目の受験では合格にいたらず。

一浪して、法律事務所で働きながら法律の勉強を継続。

昭和13年の二回目の受験によってようやく高等試験に合格します。

一方、リアルトラちゃんは「一発合格」しています。

リアルトラちゃんが高等試験に挑んだのは昭和13年。

ドラマの中のトラちゃんが二回目の受験に挑んだ年です。

この一回目の受験でリアルトラちゃんは合格しています。

「一発合格」という事実は、リアルトラちゃんが如何に優秀だったかを物語るエピソードかと思います。

しかしリアルトラちゃんがどれほど優秀だったかを物語るエピソードはこれだけではありません。

リアルトラちゃんは、高等試験に合格した年の春に明治大学法学部を卒業しています。

卒業時の成績は、リアルトラちゃんは男女合わせた全生徒の中でトップでした。

そのため卒業式では総代として卒業証書を受け取ることになりました。

ちなみにリアルトラちゃんの成績が優秀であることは在学中から学生たちの間で知られていました。

そのため、試験中にカンニングの協力を求められることもあったのだとか。

一方のリアルトラちゃんは、それだけ優秀でありながら試験問題を占ってもらうなど、今でいうスピ系の力に頼るようなこともあったそうです。

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POSTED COMMENT

  1. ずんこ より:

    桂場さんの言葉は女性蔑視ではなく、今はそういう時代でそれはすぐには変わらないのだから男と同等ではなく男を凌駕して有無を言わせぬ成績を収めろ、選ばざるを得ない状況を作れ、という桂場さんなりのエールに聞こえました。
    皮肉にも生理痛が幸いしたのか、トラちゃん合格。
    でも、よねちゃんと優三さんは、ダメだったのですね。
    力いっぱい挑んで限界を知ってしまった優三さん。
    これからどうするのでしょう。

  2. あさのあさみ より:

    優三さんは今までずっと試験時に腹痛になり実力を出し切れてなかったのですね
    腹痛さえなければ受かるかも知れないという未練?からずっと浪人を続けて来ましたが、今回腹痛がなくても不合格
    加えて、体調万全ではなかったトラちゃんが合格
    体調が万全でなくても実力があれば合格する、腹痛のせいにするのは卒業しようと優三さんは決心したのでしょう
    時間はかかりましたが、全力でやりきり、本人が心から納得し、清々しい気持ちで撤退することができ良かったです

  3. 還暦のたつお より:

    試験開始。終了後、届いた梅子さんからの悲しい手紙。結果発表、筆記は合格。桂場さんの厳しい助言。続けて口述試験、よりによってこんな時に月経。落ち込む寅子さん。ここで温かい母の励まし。
    合格発表。各々,悲喜こもごもの結果。優三さん引き際見事。おめでとう寅子さん。

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