ブギウギ

劇団を去る礼子とアオイ / ブギウギ 第18回

2023/10/25(水)第4週「ワテ、香川に行くで」

あらすじ

スズ子たちが山寺にこもって行ったストライキは、団員たちの要求が全面的に受け入れられたことで終止符が打たれました。スズ子が家に帰ると、梅吉とツヤ、そして「はな湯」の常連客たちがスズ子の帰りを迎えました。

しかし、いつも通りの稽古を始めようとした団員たちに新たな衝撃が走りました。礼子とアオイが騒動の責任をとって劇団をやめることが伝えられたのです。スズ子は泣いて抗議するものの礼子とアオイは自分が下した決断をくつがえしはしませんでした。

礼子とアオイが劇団を去った後、ストライキ前に解雇された新入生と、一度は劇団を辞めた和希が戻って来ました。スズ子たち劇団員は礼子が残したラインダンスの稽古に再び取り組み始めました。

そして、スズ子やリリー、美月たちの世代が中心になった劇団のレビューの日を迎えました。スズ子たちが稽古を重ねたラインダンスが披露。社長の大熊も舞台の袖から見守る中、レビューは大盛況のうちに終わるのでした。

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感想

大和礼子

大和礼子と橘アオイが劇団を去ると聞かされた直後のスズ子ちゃんの悲痛な叫び。

そのスズ子ちゃんの悲痛な叫びに呼応するかのように大和礼子が「やめたくない」と言って泣き出しました。

大和礼子はストライキを始めたとき、自分はやめるつもりでいました。

大和礼子のストライキを橘アオイが阻止しようとしたときの、大和礼子の表情がやめる覚悟を物語っていました。

やめる覚悟は固めていたものの、もちろん本当はやめたくはなかったはず。

しかし自分がやめるくらいのことをしなければ、劇団員たちを守れない、劇団も守れない。

劇団をやめたくないという気持ちと、劇団員と劇団を守りたいという気持ち。

二つの気持ちのどちらかを取ればどちらかを失うことになり、両方の気持ちを取ることはできない。

劇団員と劇団を守ると決めるまで、どれほど悩みぬいたことか。

そんな大和礼子には良き理解者が二人いました。

理解者がいたことが、劇団を去ることになった大和礼子のせめてもの救いだったと思います。

理解者その1:橘アオイ

重い決断を下した大和礼子の二人の良き理解者のうちの一人はもちろん橘アオイです。

大和礼子がどれほどの覚悟を持ってストライキを始めたのかを真っ先に察した一人が橘アオイでした。

また今回、やめないでほしいと泣き叫ぶスズ子ちゃんに対して橘アオイが平手打ち。

劇団員と劇団を守るために大和礼子がやめるということがわからないのか!と橘アオイはスズ子ちゃんに一喝しました。

スズ子ちゃんにはまだ大和礼子の気持ちはわからなかったようです。

しかし橘アオイはしっかりと理解していました。

そして大和礼子の覚悟を自分にも引き受け、ともに劇団を去って行った橘アオイ、あまりにも男前でした。

この先のどこかで、橘アオイの再登場場面がありますように。

理解者その2

大和礼子の二人の良き理解者のうちのもう一人は、大和礼子をやめさせる決断を下した大熊社長です。

もしかすると最大の理解者と言ってもいいかもしれません。

大熊社長は大和礼子の覚悟を誰よりも深く理解していたと思います。

なので、大熊社長は大和礼子をやめさせるしかなかった。

もし大熊社長が、劇団員たちの要求をすべて受け入れた上で、さらに大和礼子をやめさせなければ。

大和礼子は劇団に騒ぎを起こし迷惑をかけただけの存在になってしまいます。

大和礼子に対して心からの愛情を注いできた大熊社長としては、大和礼子が劇団の中でそんな存在になることは耐えられなかったに違いない。

劇団を去る間際の大和礼子が「やめたくない」と泣いたように、大熊社長もまた「やめさせたくない」と泣きたい気持ちだったかと思います。

しかし大和礼子の覚悟を尊重するためにも。

大和礼子という存在を汚さないためにも。

大熊社長は大和礼子をやめさせるしかありませんでした。

大熊社長

前回の本欄で、大熊社長には「涙もろい」一面があることを記しました。

今回、ついに大熊社長のその一面が描かれました。

大熊社長の「涙」こそ画面には出てこなかったものの、大熊社長の後ろ姿とかすかに聞こえる嗚咽する声がすべてを物語っていました。

大和礼子は梅丸にとっては看板スター。

商売という点からも大和礼子を辞めさせるのは痛い。

しかしそれ以上に大和礼子は大熊社長にとって娘のように大事な存在です。

そんな大和礼子を辞めさせる決断を下した大熊社長の胸中はどれほどのものだったのか。

今回描かれた社長室での大熊社長の後ろ姿。

このワンカットだけでブログ主の中では本作のキャラクターのベストワンが確定です。

しかし大熊社長の素敵な姿はそれだけではなかった。

二人のトップスターが抜けた中、残っている劇団員たちがお客さんの注目を浴びるよう林部長に指示を出す場面。

大熊社長の優しさが心に沁みました。

そして大和礼子が残したラインダンスのレビューを舞台の袖から見守る大熊社長。

その姿にも愛情があふれていました。

大熊社長は今後も出番があると思いますが、さらにしびれるような姿を見せてもらいたいものです。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

桃色争議のその後

桃色争議で会社側に出された待遇改善の主な内容は前回の本欄に記したとおりです。

しかし、水の江瀧子が会社側に提出した要求は「26ヶ条の要求」としてまとめられ、要求した項目は他にもあったようです。

ドラマの中でも描かれる通り、これら要求はほぼすべてが受け入れられることになりました。

そして東京で騒動を最初に起こし、一時は会社側から懲戒解雇を通告されていた水の江瀧子は数ヶ月の謹慎処分を経て復帰。

一方、大阪で騒動を主導した飛鳥明子(大和礼子の実在モデル)は退団。

他の劇団員たちはお咎めなしで賃金カットも行われませんでした。

なお、ドラマの中では再現されませんが、ストライキ中に会社側に寝返ったトップスターが出たり、水の江瀧子が警察に勾留されるなどもしました。

実際の桃色争議はドラマの中で描かれるものよりも波乱に満ちたものだったようです。

桃色争議を経て「松竹少女歌劇部」は「松竹少女歌劇団」に改称。

改称を機に松竹本社の直轄の組織となりました。

なお「松竹少女歌劇団」は終戦後の昭和20年(1945年)11月に「松竹歌劇部」として再出発。

「松竹歌劇部」は平成8年(1996年)に解散しました。

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POSTED COMMENT

  1. ばなななち より:

    アオイさんまで去ってしまうのか…
    ピアニストの人との恋模様が楽しみだったのに、残念です

    キャラの深掘りが無いからか、応援したい推せるキャラが少ない分あっさり味ですね
    お風呂での梅丸の回想シーンは、メイン2人とのお別れのときに流れたら面白くなったと思います

  2. 丹善人 より:

    トップスター2人がいなくなっても、客の入りは安定。まあ一部の個人ファンは
    去ったかもしれないが。宝塚もトップが次々と変わっても安定人気あるのと
    同じかも。娯楽の少ない時代だからなおさら。
    主人公達、いろいろ学びますね。責任を持つとはどういうことなのかとか。

    で、週半ばなのに1つの事件が終わりを迎えて、明日から新展開に。
    やたらと週またぎが多いドラマですね。
    この後、役名不明の(本人も謎の人物とメールでコメントしていたが、)
    湖条千秋さんも登場予定。予告に映っていた。

  3. 名乗る程の者ではないでおま より:

    くっそ~、めっちゃかわいいじゃね~か
    スズ子ちゃんでもなく他の団員でもなく
    和尚さんの隣でちょこんと座っている小坊さん、脳内で「マルコメ、マルコメ、マルコメ、マルコメ♪」がリフレインしとるわ
    団員が下山したから今日で出番おしまいか
    もう少し見ていたかったかな、マルコメ君

  4. 還暦のたつお より:

    凱旋帰還、ただその代償を鈴子さんはまだ知らない。両エースの退団。泣いて抗議する鈴子さんへの橘さんのビンタ。暴力と言えばそれまでだけど愛はある。泣く社長やはり苦渋の決断。代わりに新入生と桜庭さん帰って来ました。二人の置き土産のラインダンス見事に花開きました。

  5. 還暦のたつお より:

    名乗る程の者様、ハリウッドゴジラに対するあなたの評価には同感です。「やっぱり魚食ってる奴は駄目だ。」(「ゴジラファイナルウオーズ」におけるX星人(北村一輝さん)の台詞)
     あと「次元大介」ご覧になりましたか。次元氏は愛用のペルメル吸ってましたね。愛煙家の友人がある小説に登場するこの煙草の表記がポールモールだったので、あれはペルメルだって怒ってたけど実は両方とも正しくて、英国ではぺルメル、米国ではポールモールと呼ばれているそうです。「次元大介」でたばこ屋のお姉ちゃんが言ってた通り、もう買えません。ただしお姉ちゃんが間違っていたのはこの煙草メーカーが生産中止するので日本だけでなく、全世界で手に入りません。あと「次元大介」での草笛さん。オリジナルよりも性能の良い密造銃を作っていた凄腕のガンスミスの役でしたね、男前でカッコ良かったです。以上長々と余談を書いてしまいました。皆さまごめんなさい。

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