虎に翼

毒まんじゅう事件を検証 / 虎に翼 第14回

2024/4/18(木)第3週「女は三界に家なし?」

あらすじ

貧しい家で生まれ育った生い立ちを打ち明けられた寅子たちは、かける言葉を見つけることができませんでした。一方のよねは、裕福な家で生まれ育った涼子や寅子に対して憤りを感じていることも告白しました。

会話が途切れる中で寅子は、法廷劇の題材にした「毒まんじゅう事件」の判例を再検証することを同級生たちに提案。面々の賛同を得た寅子は、はると花江の協力を借りてまんじゅうを作ることにしました。

数日後、女子部の面々は猪爪家に集まり、はると花江の力を借りてまんじゅうを作りあげると意外な事実が判明しました。まんじゅうでは致死量の毒を入れるには大きさが不十分だったのです。

そんな中、涼子が謝罪し始めました。学長が法廷劇用に筋書きを改めていたことに気づいたにも関わらず、そのことを言い出せなかったと。女性の弱い立場を利用して女子部の宣伝をしようとした学長の意図を知った寅子たちは複雑な気持ちを抱きました。

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感想

よねちゃんが弁護士を目指す動機

前回、よねちゃんの壮絶な過去がよねちゃんの口から語られました。

そして、よねちゃんが弁護士を目指す動機がよねちゃんの口から語られました。

よねちゃんが弁護士を目指す動機とは、

「なめ腐った奴らを叩きのめす力がほしい」

です。

以前も裁判所の場面で、よねちゃんは言いました。

「本来、法律とはクズをぶん殴ることができる唯一の武器であるはずなのに」

と。

つまりよねちゃんにとっての法律とは

「なめ腐った奴らを叩きのめす力」
「クズをぶん殴ることができる武器」

ということです。

そして「力」「武器」を手に入れるためによねちゃんは弁護士を目指しました。

では、よねちゃんにとっての

「なめ腐った奴ら」
「クズ」

とは具体的には誰なのか。

よくよく考えてみると、この点がよく見えない。

もしかするとよねちゃん自身も、「なめ腐った奴ら」や「クズ」が具体的に誰かを想定できていないのかもしれない。

だからなのか、今のところよねちゃんは、老若男女問わず誰をも「なめ腐った奴ら」や「クズ」と考えているようにも見えます。

今回、よねちゃんはトラちゃんたちに言いました。

「恵まれた奴らに腹が立つ」

と。

腹が立つ対象であるトラちゃんたちも、よねちゃんにとっては「なめ腐った奴ら」や「クズ」のカテゴリーに入りかねない。

では、恵まれていない人や弱い立場の人なら腹が立たない、守ってあげたいと考えているかという、そうとも言い切れない。

亡き母の形見を取り戻す裁判を傍聴した際には、弱い立場にある原告のために頭を使わないばかりか、原告に勝ち目はないと言い切る。

そして原告に勝ち目がない法律そのものに怒りをぶつけていました。

「なめ腐った奴ら」や「クズ」を叩きのめしたい、ぶん殴りたいという願望は今のよねちゃんの原動力になっています。

しかし、もしかするとこの願望が、これから先のよねちゃんの足かせになるのかもしれないとふと思いました。

よねちゃんの中では「なめ腐った奴ら」や「クズ」が誰なのかが具体的に定義されていない。

仮に定義されていたとしても「なめ腐った奴ら」や「クズ」を、叩きのめし、ぶん殴った後にどんな未来を作りたいのかを、よねちゃんはまだ語っていません。

そのあたりのことに気づいたときのよねちゃんの進化の描写を楽しみにしつつ、よねちゃんの成長を見守りたいと思います。

というわけで、よねちゃんに夢中になってしまっているブログ主でした。

追伸:よねちゃんは選んだ道を誤ったということも考えられます。

「なめ腐った奴ら」や「クズ」を叩きのめしぶん殴ろうとしたところで、法律にそのような武器性能が備わっていなければ目的を果たすことはできません。

よねちゃん、「なめ腐った奴ら」や「クズ」を叩きのめしぶん殴るための武器製造の道、すなわち立法の世界こそがよねちゃんが選ぶべき道かもしれません。

もっとその選択肢ができるのは、まだだいぶ先になってからのこと。

しかし、トラちゃんも法律で人を守るという当初の目的を果たすには弁護士ではなく裁判官になった方が良いと判断。

戦後、女性が裁判官になる道がひらけたときに裁判官の道を進み始めます。

よねちゃんもそんな進路変更があるのかもしれません。

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予習レビューと史実のリアルエピソード

主に創作エピソードが描かれる今週の予習レビュー欄では、第1週&第2週で描かれたエピソードのモチーフとなった史実をご紹介します。

女子部法科への進学を担任の先生に相談

ドラマの中でトラちゃんと直言さんが女学校の担任の先生に、女子部法科に出願するのに必要な内申書の発行をお願いしました。

すると担任の先生が、奥さまの了解は得ているのか。

大学を卒業するころにはトラちゃんは二十代半ばになり、結婚できなくなってしまうと必死になって直言さんを説得する場面がありました。

史実では次のようなエピソードが残されています。

リアルトラちゃんが女学校の卒業証書をもらいに行った際、明治大学専門部女子部に進学する旨を報告。

すると報告を受けた先生は心から驚き進学することに反対。

先生が進学に反対した理由。

それは、法律なんかを勉強したらお嫁のもらい手がなくなってしまうから、というものでした。

そのときリアルトラちゃんの両親は?

リアルトラちゃんは、一人で女学校の卒業証書をもらいに行きました。

ドラマの中で描かれたようにお父上が同行していませんでした。

ただし進学を反対する先生には、父の了解を得ていると告げて納得させました。

しかし、ドラマの中と同様に、そのとき母の了解は得ていませんでした。

リアルトラちゃんが女学校に卒業証書をもらいに行き進学を報告したそのとき、お母上は法事で故郷の香川・丸亀に帰っていました。

この点はドラマで再現されています。

そしてお母上が丸亀から帰って早々に娘が進学を決めたことを初めて知り、これで娘は結婚できなくなったと泣いてしまったのだとか。

なお、リアルトラちゃんのお母上は、娘が女学校卒業後は結婚することが望みでした。

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POSTED COMMENT

  1. よるは去った より:

    涼子「女給ではなくお医者様···········防虫剤ではなくチフス菌············。」

    「かるかん饅頭事件」の被告人は最終的に大阪控訴院から懲役8年の判決を受け服していたのですが、模範囚だったので出所は早かったそうです。
    中国大陸で終戦を迎えて帰国し、医師免許が復活した後は故郷で医師として生涯を終えたそうですね。

  2. 中島立雄 より:

    「何とよねさんに声を掛ければ。」ここは何も言わない方が。生理で突破口のつもりが?涼子さんの素直な言葉が、反感しながらも響いたのかな?法廷劇の検証。まずは凶器の饅頭の再現。寅子さんの名言。流石に?涼子さんの語る、毒饅頭事件の意外な真相。一同驚愕、落胆、立腹。

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