傳が倒れて三週間が経過 / ばけばけ 14回

2025/10/16(木)第3週「ヨーコソ、マツノケヘ。」

あらすじ

トキが傳の看病に通い始めて三週間が経ちました。松野家の面々も心配するものの、傳の病状は一向に回復の兆しを見せませんでした。トキは傳を献身的に看病し、傳もまたトキと過ごせる時間に満足していました。

そのころトキや機織り工場の女工たちは、傳が回復して復帰するまでに機織り工場の経営状況を改善させようと、これまで以上に働かされていました。そんな中、傳の看病のために夕食の支度をしていたトキがケガをしてしまいました。

ケガをしたトキのもとに駆けつけてきたタエは、トキにある提案をしました。その手で夕食を作るのは無理だ。夕食は自分で作るので作り方を教えよと。トキはタエに夕食づくりを教え、その日の夕食はタエが無事に作りました。

その日の夜、トキが帰った後に傳とタエは向き合いました。そして傳とタエは、実の娘であるトキへの気持ちを打ち明け合いました。その二人の会話を聞いてしまった三之丞は複雑な気持ちを抱きながらその場を去りました。

感想

トキちゃん

トキちゃんが傳さんの看病に通いはじめて三週間が経過。

トキちゃんが傳さんの看病に通いはじめた頃、司之介さんとフミさんはとても心配していました。

傳さんはトキちゃんを取り戻すのではないかと。

でも三週間経って、そんな様子は微塵もないと司之介さんとフミさんは安心しきっている様子です。

トキちゃんに牛乳を持たせたり、シジミを持たせたり。

真実を知ってしまった銀二郎くんも、見事に隠し通しているようです。

なのでトキちゃんは、司之介さんとフミさんがどれほど心配したかということをまるで気がついていない様子です。

銀二郎くんに違和感めいたものも感じていないらしい。

またトキちゃんは雨清水家の中でも、まだ何も気づいていないようです。

トキちゃんが毎日足を運んでくることで、傳さんとタエさんはかなり心がざわついているはずです。

実際に二人はトキちゃんへの気持ちを打ち明け合ったほどです。

そしてトキちゃんの秘密を知ってしまったらしい三之丞くん。

トキちゃん本人だけが自分の秘密を知らない。

そんな状況の中で、いよいよ次回は今週の最終日を迎えます。

ネタバレ含む：三之丞くん

トキちゃんが帰った後の、トキちゃんには絶対に聞かせられない傳さんとタエさんの内緒話。

松野家で司之介さんとフミさんがうっかり口を滑らせてしまったのに引き続き、今度は実の両親がトキちゃんの出生の秘密を語り合いました。

そして司之介さんとフミさんの内緒話は銀二郎くんが聞いてしまいました。

一方、傳さんとタエさんの内緒話はどうやら三之丞くんが聞いてしまったようです。

三之丞くん、このタイミングで隠された真実を知ってしまうのか。

以下、ネタバレが含まれます。

おそらく次回、三之丞くんはトキちゃんの出生の秘密をトキちゃんの前で暴露してしまいます。

次回、機織り工場でちょっとしたトラブルが発生。

その日、体調が良くなった傳さんが機織り工場に足を運ぶとまさにトラブルの真っ最中。

このトラブルはどういうことなんだと傳さんは三之丞くんに詰め寄ります。

しかし三之丞くんからしてみれば、それまで出入りすら禁じられていた工場の事情などわかるはずもありません。

それなのに責任を追及されたら怒るのは当たり前。

三之丞くんは次回、感情を爆発させてしまいます。

そのおりに三之丞くんはトキちゃんの出生の秘密を暴露してしまうようです。

トキちゃんの面前で。

上記の展開は事前に知っていましたが、三之丞くんがトキちゃんの出生の秘密を知る経緯はこれまで不明でした。

なので、三之丞くんはもともと隠された真実を知っているものとばかり思っていました。

どうやら三之丞くんはトキちゃんの出生の秘密を知らなかったらしい。

トキちゃんが実は自分の妹（または姉？）であることを知らなかったらしい。

だとしたら、これまで三之丞くんの複雑な気持ちはなおさら良くわかります。

両親が自分を無視するその一方で、両親はよその家の子であるトキちゃんばかりチヤホヤすることに嫉妬心を抱いていたんでしょう。

前週、繰り返し描かれた三之丞くんの複雑な表情はよその家の子への嫉妬だったようです。

しかし、よその家の子と思い込んでいたトキちゃんは実は妹だった。

三之丞くん、かなり混乱しているかと。

そんな混乱している状態で、いきなり思い責任を押し付けられ、そのことで責め立てられたら感情を爆発させてしまうのは当たり前。

次回はなかなかヘビーな回になりそうです。

真実を知ってしまったトキちゃん、どんな反応を示すのでしょうか。

予習レビューと史実のリアルエピソード

松野家の零落

第1週で、司之介さんが借金して大量のウサギを仕入れた直後にウサギに相場が下落。

松野家は多額の借金を抱えることになりました。

松野家の零落の瞬間でした。

第1週の最後には松野家が借金を抱えた十年後が描かれました。

十年経っても借金の返済は終わらず、その返済のためにトキちゃんは雨清水家が経営している織物工場で働くことになりました。

司之介さんがウサギの商売を始める前、ただでさえ松野家は切り詰めた生活を送っていました。

その頃、武士の誇りを捨てられない司之介さんは働いていませんでした。

収入源はフミさんの内職だけ。

そして貯金を切り崩しながら口糊をしのぐ日々。

質素を極めた松野家の食事がすべてを物語っていました。

そんなギリギリだった状態の松野家が収入源が失われた状態で、多額の借金を背負ってしまったわけです。

松野家は一気に零落しました。

一方で松野家の遠縁の雨清水家は安泰でした。

トキちゃんがお茶（？）の稽古で雨清水家を訪ねる場面や、傳さんとタエさんの二人きりの場面で、経済状況は安泰であることが表現されていました。

今週、その雨清水家にも暗雲が・・・

雨清水家の没落

今週、傳さんが経営する織物工場は経営が傾き始めます。

それに加えて傳さんは重い病気を患い、織物工場を指揮するのも困難な状況に。

経営が傾いている上に経営者も病気。

最悪の状況です。

そんな中、傳さんは織物工場の経営を三男の三之丞くんに託します。

ちなみに三之丞くんは家督を継ぐ立場ではないため、これまでずっと雨清水家で自分の居場所も役割もありませんでした。

居場所も役割もない。

すなわち親からまったく期待されていない立場です。

三之丞くん、これまで孤独でとてもつらい思いをし続けてきたことが考えられます。

そんな三之丞くんがいきなり経営を任されるわけですが、いきなりそんな大役を任されても引き受けられるわけがありません。

後継ぎとして教育されてきたわけでもないので。

そのため織物工場の経営はますます悪化。

そして傳さんの死去。

雨清水家は坂道を転げ落ちるような零落が始まります。

【史実】リアルでは何があったのか？

雨清水家の実在モデルである小泉家は機織会社を経営していましたが、経営悪化の末に倒産。

また機織会社の倒産を機に、広大な屋敷も失いました。

屋敷を追われた小泉家は、かつて家来を住まわせていた長屋に転居。

その長屋すら追い出され、縁者の家の厄介に。

しかし、その縁者の家からも転居を余儀なくされました。

そんな困難に直面する中、小泉家の次男の武松さんが病死。

傳さんの実在モデルである小泉湊さんは息子の死を深く悲しみましたが湊さん本人もリウマチを発症。

小泉家の受難はまだ続きます。

家督を継ぐはずだった長男の氏太郎さんは町家の娘と駆け落ちして行方知れずに。

小泉で残された唯一の男子、三男の藤三郎さんは趣味の小鳥の飼育に没頭し家族のことなど関心を払わない。

藤三郎さんの行状へのストレスから湊さんの症状はますます悪化。

小泉セツさんの結婚はそんな状況下でのことでした。