2023/4/11(火)第2週「キンセイラン」
あらすじ
「名教館」に通い始めた万太郎は、入学した初日から武家の子供たちからのいじめを受けてしまいました。「名教館」で勉強することがますますいやになった万太郎は、授業を受けずに帰ろうとしました。
すると「名教館」の門前で、万太郎に水をかけた見知らぬ男が「今こそ変わるときだ」と声をかけてきました。その言葉は万太郎の心をとらえました。しきたりを重んじ変わることを拒むタキのことを万太郎は思い出したのです。
一方、姉の綾は酒造りに対して強い興味を持ち続けていました。そして、その興味を抑えきれなくなった綾は、当主だけが見ることを許されている帳面を見つけ、その帳面を読んでいる現場をタキに見つかってしまいました。
その日の夜、万太郎と綾は向き合いました。そして酒造りを許されないことを嘆く綾に対して、万太郎は言いました。昔からの決まりは変えたらいいと。明くる日、万太郎は意を決して一人で「名教館」に向かいました。
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感想
「今こそ変わるときだ」
武家の子弟だけが入学を許される「名教館」への入学を町人の自分が許された意味が、これまで理解できていなかった万太郎くん。
その万太郎くんが時代が変化していることに気づきました。
気づきの最初のきっかけは、タキさんとは正反対のことを言う門前の謎の男の言葉。
普通の子なら、タキさんと謎の男の言葉のギャップに混乱したまま終わり。
ところが万太郎くんは二人の言葉と考え方のギャップの理由はどこにあるのかが気になる。
万太郎くんが明晰な頭脳の持ち主であることがよくわかるエピソードでした。
さて、謎の男の言葉によって時代が変化しているのかもしれないと気づき始めた万太郎くんのその気づきを強化したのが竹雄くんの言葉。
武家の子供に逆らったことで木刀で撃ち込まれ腕にアザができてしまったものの、竹雄くんは意外にもそのことを「面白かった」と言う。
「昔なら手打ちにされても文句は言えない」
竹雄くん、時代が変化したことをしっかりと認識しているらしい。
竹雄くんのこの反応を「意外な反応」と受け止めて、竹雄くんを通して時代は確かに変わりつつあるようだと万太郎くんは察したのでしょうか。
その日の夜、しきたりに逆らえずにいる綾ちゃんに対して思わず出た万太郎くんの言葉。
「変えたらいい」
しきたりにとらわれる綾ちゃんを見て、しきたりにとらわれることに意味がないことを万太郎くんは気づいたのかもしれません。
万太郎くんが時代の変化を察し、自分も変わるときなのだと悟った瞬間でした。
そして明くる日の朝、時代の変化を学び自分を変えるために一人「名教館」へ。
明日、万太郎くんはどんな景色を見るのでしょうか。
謎の男
「名教館」の門前で万太郎くんに水をかけ、タキさんから野良犬のようにけむたがられた謎の男。
おそらく次回には正体が判明するものと思われますが、尊敬できる人物であるらしいことだけは今回の登場場面ではっきりとわかりました。
この謎の男のキャラクター設定についてブログ主は一つだけ心配なことがありました。
物語の主人公の師匠となる人を「酒浸りの変わり者」として描くのはあまりにも安直なやり方ではないかと。
ギャップ萌え効果を狙いたい気持ちはわからないでもないですが。
でも、今回の話しぶりからただの「変わり者」ではなく、バランスの取れた「変わり者」であることがわかり少しだけ安心しました。
話がそれますが『スターウォーズ』のオビワンも、当初は酒浸りの変なおじさんという設定だったのがアレックスギネス卿の反対により酒浸りを回避。
そんなリアルエピソードもあります。
タキさんと綾ちゃんの会話の場面
タキさんと綾ちゃんの会話の場面が心に沁みました。
当主だけが見ることを許される帳面を見てしまった綾ちゃんを厳しく叱責しながらも、家業に関心を持つことをタキさんはしっかりと評価しました。
そしてそのことが、家業に関心を持たない万太郎くんについてのタキさんの苦悩をよくあらわしていました。
そのタキさんの苦悩を綾ちゃんも察したのでしょう。
嫁に行っても万太郎くんを支えてほしいと頼み込むタキさんの言葉を、綾ちゃんは覚悟を持って受け止めました。
この場面を見て思いました。
本作は傑作として記憶に残る作品になるかもしれないと。
予習レビュー
「名教館」の門前で万太郎くんに「今こそ変わるときだ」と声をかけてきた謎の男、すなわち「名教館」学頭の言葉について詳細は次のとおりです。
これから時代は激変する。
家柄や階級よりも各人の才能で生きてゆく時代だ。
武家の子供たちはそのことを理解しているから、学問に励んでいる。
お前は今のままでいいと思っているのか。
そんな意味のことを学頭は万太郎くんに言うようです。
しかし万太郎くんの生家には代々造り酒屋を営む伝統を重んじる家風があります。
そしてタキさんはことあるごとに伝統を守り変わらないことを万太郎くんに求めてくる。
このギャップに万太郎くんは戸惑うようです。
今週は前週の1867年から4年スキップしているので1871年。
すでに明治です。
前週から今週にかけての「変わるとき」の主な出来事を以下にまとめておきます。
1867年(慶応3年)大政奉還
1868年(慶応4年)江戸を東京と改称、年号が明治に
1869年(明治2年)東京に遷都
1871年(明治4年)廃藩置県
ドラマの背景では前週から今週にかけて、これだけ大きな変化が生じています。
その変化に主人公が初めて気がつくのが今週のお題の一つのようです。
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守るために嫁いできて守るために今まで生きてきたタキさんにとって、変わることはあまりに難しいことでしょう。
自分の存在意義を、ともすれば否定しなくてはならないことだから。
守ることと、変わること。
守らなくてはならないこと、変わらなくてはならないこと。
変わることは、守ること。
守るために、変わる。
何を守り、どこを変えるか。
難しい問題に、直面しますね。
タキさん、自分がいなくなった後万太郎は、そして峰屋がどうなるかと心配で、だからその時には綾が自分同様に、と考えたんでしょう。分家の皆さんの血縁の程度はわからないけど、明らかに万太郎を軽くあしらい、本家を乗っ取る事すら企んでいる様子。だから尚の事万太郎を守らねばならない。まだ死ぬに死ねない。或いはそれは、体を張って跡取りを生んでくれたヒサさんへの約束や誓いなのかもしれません。だからこそ綾さんの酒造業への意欲を知って、複雑な思いを抱きつつも心底嬉しかったと思います。
どんなに関心があっても優秀であっても、女性は蔵にも入れず当主にもなれない
綾ちゃんには絶対に言えないし、自分でも無意識かも知れませんが、綾ちゃんと同じような悔しさ、もどかしさをタキさんもきっと感じたことがあるはず
竹雄君どこまでも献身的、木刀が当たったのは竹雄君の方なのに当たってない万太郎君の心配してる。冷静に考えると士族にとってこの先冬の時代。その焦りが万太郎への八つ当たり。おばあさんその通り。綾さんまた確信犯の盗み読み。綾さん嫁には行かないな多分。でも池田先生は士族の子供たちより万太郎君に見どころあると思ってるな。綾さんしっかりしてて偉いな。綾さんとの会話で万太郎君成長したみたい。
タキ「おまんは・・・・・・・・・・・・・。」
綾「おなごじゃ・・・・・・・・・・・。」
タキおばあ様の心中は、何故に綾ちゃんが男子にうまれてこなかったのだろうという思いも強かったでしょうね。